2015年版開発協力白書 日本の国際協力

第3節 MDGsの達成状況

2.残された課題

ザンビアのチサンバ郡で母子健診を受ける農村の親子たち(写真:渋谷敦志/JICA)

こうした成果が着実に挙げられてきた一方で、特に教育、母子保健、衛生といった分野では、達成が困難な課題が残されています。

教育の分野では、2015年までの初等教育の完全普及の達成が掲げられていましたが、1990年に80%だった開発途上地域の就学率は、2015年には91%までしか上昇しませんでした。若年層の識字率の向上、男女格差の解消などは見られましたが、目標達成には至りませんでした。

母子保健の分野では、世界全体の5歳未満児死亡率が1990年から2015年の間に53%減少しましたが、1990年と比べて3分の1まで削減するとの目標の達成には至りませんでした。妊産婦死亡率についても、2015年までに1990年と比べて4分の1まで削減するとの目標が掲げられていましたが、結果的に減少は45%にとどまりました。

衛生の分野では、改良された衛生施設を利用できない人の割合を半減するとの目標が掲げられていました。この割合も、1990年の46%から、2015年には32%に減少するにとどまり、半減には至りませんでした。

MDGsの達成状況が、全世界で一様ではないことも注意を要する点です。先ほど極度の貧困の撲滅の目標の達成状況との関連で述べたように、サハラ以南のアフリカの状況の改善は遅れがちです。南アジア、オセアニア(島嶼(とうしょ)国)などの地域でも開発目標の達成の遅れが目立っています。こうした地域ごとのばらつきも、残された課題です。

グラフ:5歳未満児死亡率(出生数1,000に対して乳幼児の死亡数)・妊産婦死亡率(出生数10万に対し妊産婦の死亡数)
改善された点・積み残された課題
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