第3節 MDGsの達成状況
こうした日本の取組をはじめ、国際社会が共同して様々な取組を推進してきた結果、MDGsは達成期限である2015年までに一定の成果を挙げることができました。
一方で、すべての目標が達成されたわけではありません。2015年までには達成することができなかった目標や、地域ごとの達成状況のばらつきなど、引き続き課題も残されています。こうした状況は、国連が発行する「ミレニアム開発目標報告書」にまとめられています(以下の数値は、いずれも同報告書2015年版によるもの)。
1.達成された成果

たとえば、MDGsの一番初めに掲げられた極度の貧困の撲滅という目標については、極度の貧困に苦しむ人口の割合を2015年までに(1990年と比べて)半分にするという具体的なターゲットが掲げられました(目標1のA)。結果として、極度の貧困に苦しむ人々の割合は、1990年には世界人口の約36%(約19億人)を占めていましたが、2015年には約12%(約8.4億人)と、当初の3分の1にまで減少し、目標は達成されました。この背景には、極度の貧困人口を多く抱えていた中国やインドが急速な経済発展を遂げた影響が大きいとされています。ただし、目標達成にもかかわらず、現在でも、サブサハラ・アフリカ地域を見ると、人口の41%が依然として極度の貧困状態にあるという事実を忘れてはなりません。
飢餓に苦しむ人口の割合を1990年の水準の半数に減少させるという目標(目標1のC)もおおむね達成されました。開発途上地域における栄養不足の人口の割合が、1990-92年期の23.3%から、2014-16年期には12.9%(推定値)まで減少しました。ただし、地域的なばらつきも大きく、サブサハラ・アフリカ地域や南アジア地域、西アジア地域での飢餓削減の進捗(しんちょく)には遅れが見られます。
また、感染症対策の分野でも指標の大幅な改善が見られました。たとえば、2000年から2014年までに世界の新規HIV感染者数は約35%減少しました。また、対策の進展によって、マラリアについては2000年から2015年までに全世界で約620万人以上の命が、結核については2000年から2013年までに約3,700万人の命が救われたと推定されています。
