(目的)
1.本基準は、無償資金協力における契約認証の審査基準を定め、無償資金協力の適正な実施に資することを目的とする。
(適用範囲)
2.本基準は、外務省国際協力局無償資金・技術協力課(以下、「無償資金・技術協力課」という)が実施する無償資金協力のうち、契約認証が必要な業務、すなわち、一般プロジェクト無償、水産無償、人材育成研究支援無償、食糧援助、テロ対策等治安無償及び防災・災害復興支援無償の契約認証業務に対し適用する。
(定義)
3.本基準において次の各号に掲げる用語は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)交換公文(Exchange of Notes、以下「E/N」という)
書簡の交換という形で、2つ以上の国家、国際機関との間の国際法上の権利義務関係を設定する明示的合意の一形式である。無償資金協力では、通常わが国政府と被援助国政府との間で合意された援助供与内容がE/Nにより記述される。
(2)本邦契約企業
無償資金協力事業において、被援助国との契約に則り、被援助国に役務の提供、又は、生産物及び役務の調達を実行する日本人または日本人により支配された日本法人である。設計、入札、調達監理等に関連して被援助国に役務を提供する本邦契約企業をコンサルタント、生産物及び役務の調達を実行する本邦契約企業を契約業者と呼ぶ。
(3)契約認証
無償資金協力において、E/Nに基づき、被援助国政府が本邦契約企業との間で契約を締結することになる。契約認証とは、これらの契約がE/Nにより合意されたところに適合するか否かを日本政府が審査・確認することである。契約認証は、E/N上では贈与の適格要件として位置づけられる。
(審査項目)
4.無償資金・技術協力課は、契約認証にあたって、以下の項目を審査しなければならない。
(1) | プロジェクト名がE/Nと一致しているか(E/N第1条) |
(2) | E/N署名日が正しい日付となっているか |
(3) | 契約金額がE/N限度額を超えていないか(E/N第1条) 同一案件の他契約との合計額が供与限度額を超えないかも確認する。 |
(4) | 履行期限がE/N期限内であるか(E/N第2条) |
(5) | プロジェクト内容はE/Nの記述内容と整合しているか(E/N第3条) |
(6) | 調達先国はE/Nに定める適格国であるか(E/N第3条) |
(7) | 日本円による契約であるか(E/N第4条) |
(8) | 金額は正確に記述されているか 数字表記と文字表記が一致しているか、各々の支払額の合計が契約額と一致するか、支払額がパーセンテージと概ね一致しているか、及び端数処理が適切かを確認する。 |
(9) | 契約者は日本人または日本人により支配されている日本法人であるか(E/N第4条) |
(10) | E/Nの規定に則り贈与に適格とするためには、日本政府による認証を必要とする旨の記述があるか(E/N第4条) |
(11) | 支払い方法は適切か(E/N第5条) 支払が工期等の進捗に比し、前倒しになっていないか、支払時に提出すべき書類が明確になっているかを確認する。 |
(12) | 被援助国政府負担事項はE/Nと照らし適切であるか(E/N第6条) |
(13) | 認証すべき契約が修正契約の場合、当該修正契約の契約日と、原契約の履行期限及びE/N期限の延長に関する口上書の交換日との間に整合性が取れているか |
(審査結果)
5.無償資金・技術協力課は、上記4.の審査項目を満足していない場合、または他に契約を認証すべきでないと判断するに足る不備事項がある場合、その不備が是正されるまで契約を認証してはならない。
(本審査基準の変更)
6.本基準を変更する場合は、無償資金・技術協力課長の決裁によりこれを行う。