ODAとは? 援助政策

エジプト国別援助計画/【注釈】

<1>最近の政治・経済・社会情勢

(2)経済情勢

*1:コンディショナリティ

 国際通貨基金(IMF)等は融資をするにあたって借入国が採るべき経済調整プログラムの履行を融資条件とする。この融資条件となる経済調整プログラムをコンディショナリティという。

*2:財政赤字

 1.3%(95/96)、0.9%(96/97)、1.0%(97/98)、1.0(98/99)
 インフレ率
 7.3%(95/96)、6.2%(96/97)、4.2%(97/98)、4.0%(98/99)
 失業率
 9.2%(95/96)、8.8%(96/97)、8.3%(97/98)

*3:エジプトの外貨収入源

 エジプトの4大外貨収入源は観光収入(約32億ドル、年間観光客約479万人)、海外労働者送金、石油輸出及びスエズ運河収入である。

*4:エジプトの国内貯蓄率

 6.0%(95年)

*5:エジプトの人口増加率

 2.1%(70ー95年)

<2>開発上の課題

(1)エジプトの開発計画

*6:DACの新開発戦略

 1996年5月、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)において、21世紀の援助の目標を定めるものとして「新開発戦略(21世紀に向けて:開発協力を通じた貢献)」と題する文書が採択された。この開発戦略は、地球上の全ての人々の生活向上を目指し、具体的な目標と達成すべき期限を設定している。具体的には、(A)2015年までの貧困人口割合の半減、(B)2015年までの初等教育の普及、(C)2005年までの初等・中等教育における男女格差の解消、(D)2015年までの乳幼児死亡率の1/3までの削減、(E)妊産婦死亡率の1/4までの削減、(F)性と生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス)に係る保健・医療サービスの普及、(G)2015年までの環境資源の減少傾向の増加傾向への逆転という目標を掲げている。この目標達成に向け、先進国及び開発途上国が共同の取り組みを進めていくことが不可欠として、グローバル・パートナーシップの重要性を協調している。

(2)開発上の主要課題

*7:BHN(Basic Human Needs

 従来の開発援助が開発途上国の貧困層の生活レベルの向上に必ずしも結びついていないとの認識に基づき、生活必需品や基本的な社会サービスなど低所得層の民衆に直接役立つ援助を提供しようとする援助概念。

(3)主要国際機関との関係、他の援助国、NGOの取組み

*8:スタンドバイ取極め

 短期の国際収支困難に陥った国を支援するIMFの融資制度。

*9:構造調整融資

 世界銀行が1980年3月に打ち出したもので、経済構造上の理由から国際収支赤字を引き起こしている開発途上国に対し、これを調整するための計画に融資しようというもので、プログラム援助の一種。

*10:パリクラブ

 特定の国の公的債務に関して債権国が集まり協議する非公式グループ。

*11:主要ドナーの援助動向(1997年、支出純額)

 1位 米国(542百万ドル)、2位 ドイツ(397.2百万ドル)、
 3位 フランス(283.9百万ドル)、4位 日本(125.4百万ドル)

<3>我が国の対エジプト援助政策

(2)ODA大綱原則との関係

*12:ODA大綱(政府開発援助大綱)

 我が国のODAの理念と原則を明確にするために、援助の実績、経験、教訓を踏まえ、日本の援助方針を集大成したODAの最重要の基本文書であり、平成4年6月30日に閣議決定された。内容は、基本理念、原則、重点事項、政府開発援助の効果的実施のための方策、内外の理解と支持を得る方策及び実施体制の6部から構成される。「基本理念」において、(A)人道的見地、(B)相互依存関係の認識、(C)自助努力、(D)環境保全の4点を掲げている。また、「原則」において、「相手国の要請、経済社会状況、二国間関係等を総合的に判断」しつつ、4項目への配慮、すなわち(A)環境と開発の両立、(B)軍事的用途及び国際紛争助長への使用回避、(C)軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入等の動向に十分注意を払うこと、(D)民主化の促進、市場指向型経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払うこと、を定めている。

(3)我が国援助の目指すべき方向

*13:南南協力(三角協力)

 経済開発のより進んだ途上国(南)が他の途上国(南)に対し支援を行うもの。我が国は、様々な機会に南南協力の推進を促しており、98年5月には、「新興援助国(経済開発が順調に進んだ開発途上国で、援助を受けながら、他方で他の開発途上国の開発の支援も一部行う国)」が一同に会し、今後の対応策について協議するための、南南協力支援会合を沖縄で主催した。98年10月に我が国が主催した第2回アフリカ開発会議(TICADII)においても、南南協力の一つの具体化として「アジア・アフリカ協力」を推進することとされた。また、国連開発計画(UNDP)を通じて南南協力を支援するため、99年度には550万ドルをUNDPに拠出した。

*14:第三国研修

 第三国研修とは、開発途上国において、社会的あるいは文化的環境を同じくする近隣諸国から研修員を受け入れて行われる研修を我が国が資金的・技術的に支援する手法をさす。例えば、エジプトに対して我が国が実施した技術移転をベースとして、アフリカ諸国の第三国より研修員をエジプトに招き、第三国への技術移転を行う事業を我が国が支援する。

*15:プロジェクト技協(プロジェクト方式技術協力)

 専門家派遣、研修員受入、機材供与の3つの要素を、一つの協力事業(プロジェクト)として有機的に組み合わせて、計画の立案から実施、評価までを一貫して実施する技術協力の形態。

*16:日本・エジプト・パートナーシップ・プログラム

 99年4月のムバラク大統領訪日の際、日・エジプト二国間の協力を促進していくために同大統領と小渕首相が発表したプログラム。(A)平和と協力、(B)経済、貿易及び投資、(C)環境、(D)文化交流、(E)教育、青年・学術交流の5本柱から成る。

(4)重点分野・課題別援助方針

*17:BOT方式

 先進国企業が開発途上国において高速道路や通信事業などのインフラやプラントなどを建設し、一定期間自らが操業した売り上げにより総資金を回収した後当該国の政府機関などに所有権を譲渡する方式。

*18:PHC(プライマリヘルスケア)

 地域で住民があらゆる意味において受け入れやすい必要不可欠な基礎医療が、住民参加を通して、地域状況にあったレベルで提供され保持されること。

*19:エジプトにおける死亡率

 乳児死亡率 51/1000(98年)、乳幼児死亡率 69/1000(98年)、妊産婦死亡率 170/100,000(98年)
 (出典:ユニセフ世界子供白書2000)

*20:TICAD II

 正式名称「21世紀に向けたアフリカ開発:東京行動計画」。1998年10月のTICADの場において採択された行動指向的指針である。21世紀に向けたアフリカ開発のため、アフリカ諸国とそのパートナーの具体的な政策に指針を与えることを目的としている。アフリカにおける貧困を削減するため、また急激にグローバル化している世界経済にアフリカ経済が一層参画できるようになるため、短期的な緊急課題について、アフリカの指導者とその開発パートナーの長期にわたる議論に基づき作成された。次の分野で具体的目標を定め、優先的政策行動につき合意した。
 (1)社会開発:教育、保健と人口、貧困層を支援する施策、(2)経済開発:民間セクター開発、工業開発、農業開発、対外債務、及び(3)開発の前提:良い統治、紛争予防と紛争後の開発

*21:第三国専門家

 我が国の技術協力を一層効果的に実施するため、協力対象の開発途上国に他の途上国から派遣される第三国国籍の専門家。例えば、エジプト人を溶接技術分野のJICAの第三国専門家としてタンザニアに派遣する事業。

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