ODAとは? ODA評価

第3回ODA評価東京ワークショップ最終報告書

議長サマリー

廣野ODA評価東京ワークショップ議長
平成15年11月13日


 11月12日及び13日の2日間、京王プラザホテルにおいて、「ODA(政府開発援助)評価東京ワークショップ」が外務省主催で開催された。このワークショップは、一昨年、昨年に次いで第三回目の評価ワークショップである。

 ワークショップには、アジア18カ国から援助関係機関の政府高官、ドナー国及び国際機関の評価関係者、我が国からODA関係府省、国際協力機構(JICA)及び国際開発銀行(JBIC)の関係者、学識経験者など、約50名が出席した。また、多数のオブザーバー参加があった。

 ワークショップの参加者は、国際社会が連携・協調して開発課題やグローバルな課題に取り組んでいくことが重要であることを認識した。開発及び開発援助の効果を高めるためには、長期的かつ包括的な開発戦略とそのマネジメント体制の構築が重要である。このワークショップを通じ、参加者は、パートナー国のオーナーシップの下、ドナーとパートナーが協力することの重要性を共有した。特にドナーとパートナーが合同で実施するモニタリングや評価は、開発援助、更には開発活動全体を管理するための有効な手段であることが認識された。

 アジア諸国からの参加者は、二国間や多国間の援助機関からの参加者を交え、開発援助を合同で管理する方策について議論を行い、知識と経験を交換した。より包括的な開発アプローチの重要性を踏まえ、参加者は自らの経験に基づき、主として開発援助をより効果的にマネージしていくための方策や合同評価を行う際の課題と問題について意見交換を行った。

 各国国内において、政府の活動の透明性、説明責任、国民参加への関心は高まっている。このような状況の中、今回のワークショップが一般に公開されて行われたことは有意義であった。

 ワークショップの参加者は、モニタリング・評価、更にはアジア諸国及びドナー側との連携の重要性についての理解を深めることを目的として第三回目のワークショップを開催した日本のイニシアティブに対し、謝意を表明した。

 このワークショップの議論における主要点は、次の通り。
 パートナー国における開発の効果を最大限にするためには、計画策定、実施、モニタリング・評価のマネジメント・サイクルを整備することが必要である。特に、開発と開発援助の効果をあげるためには、その国の開発プロセス全体の中にモニタリング・評価の体制をいかに組み込むかが鍵となる。その際、パートナー国のオーナーシップやドナー国が多様であることの重要性を認識し、プロジェクト・レベルに加え、セクターや国レベルもカバーすることが重要である。種々の困難を伴うものの、ドナーとパートナーが共通の枠組みで活動することは、一般的にはトランスアクションコストを削減すると考えられる。

 ドナーとパートナーが連携して開発課題に取り組むためには、共通の開発目標に合意することが必要である。パートナー国における政府、自治体のみならず民間や市民社会も含む関係者が必要に応じて計画の策定プロセスに参加すべきである。また、パートナー国の開発優先課題に各ドナー国・機関がいかに調和して対応するかを考える必要がある。柔軟性を保ち、各国の特性に応じて連携が行われるべきである。また、限られた資源を効率的に活用するためには、長期的かつ包括的な戦略目標が重要である。この意味で、MDGsの達成は1つの課題となっている。

 開発活動をマネジメントするには、目標の達成度を評価するための指標が設定されるべきである。より信頼できる定量的な指標が必要なだけでなく、定性的な指標の重要性も看過されてはならない。成果に着目した指標も重要だが、プロセスや副次的な効果をいかに評価するかも重要である。また、設定した指標を定期的に測定するためには、データ収集・分析能力を高める必要がある。

 評価の検証結果が効果的に活用されれば、開発の有効性は高まる。従って、フィードバックするメカニズムを確立し、評価の結果が計画策定や実施に反映されることが必要である。開発機関は、評価の結果を積極的に活用することが期待されている。

 パートナー国におけるキャパシティ・ビルディングが鍵である。これまでも人材育成のためのドナー・パートナー間協力や南南協力が多数行われてきている。本ワークショップは、ドナー及びパートナー国がモニタリング及び評価に関しての知識や経験を分かち合う機会を提供した。今回のワークショップでは、パートナー国における評価学会の創設に加え、アジア諸国の間で評価関係者のネットワークを強化することが提案された。ワークショップは、来年、共同評価セミナーを開催するとタイが提案したことを、また、ベトナムがキャパシティ・ビルディングの効果に鑑み、共同評価の実施を提案したことを歓迎した。この関連で、日本評価学会が他の同様の組織と協力してこのような努力をフォローアップするとしたことも歓迎された。

 今次ODA評価東京ワークショップの概要は、報告書に取りまとめられ公表される予定である。アジアのパートナー国からの参加者は、今回のワークショップの成果を持ち帰り、それぞれのマネジメント体制の改善に寄与することが期待されている。
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