ODAとは? ODA評価

(仮訳)

第1回ODA評価ワークショップ
(記者発表)

廣野ODA評価東京ワークショップ議長
平成13年11月7日、8日


 11月7日から8日まで、「ODA(政府開発援助)評価東京ワークショップ」が外務省で開催された。このワークショップは、外務省が主催した画期的なワークショップであった。

 ワークショップには、アジア15カ国から援助関係機関の政府高官及び国際機関(世界銀行、アジア開発銀行、国連開発計画、開発援助委員会(DAC))の評価関係者他、60名が出席した。また、我が国からは、国会議員や外務省、その他の政府機関関係者、JICA、JBIC関係者他が出席した。ワークショップの参加者は、特に、評価手法、ODA評価において被援助国の果たす役割、被援助国の評価能力の向上等のODA評価の経験について意見交換や議論を行った。

 我が国だけでなく、他の援助国においても、援助のプログラムや援助政策の効果を高めるための努力がなされている。我が国においては、援助の透明性を確保するとともに、国民に対するアカウンタビリティ(説明責任)を果たしていくことが必要とされている。このような状況の中、ワークショップの議論が一般国民にも広く公開されて行われたことは有意義であった。

 ワークショップの参加者は、貧困削減、感染症、紛争予防等の様々な開発の課題を認識しつつ、それらに対処するためには、今後もODAが重要な役割を果たすべきであるとの共通認識に達した。また、より効果的なODAプログラム及び援助政策のための評価の重要性、評価においてアジアの被援助国の果たす役割が極めて大きいことが強調された。さらに、被援助国における評価能力を強化する必要があることについて合意が得られた。

 今回のワークショップにおいて、アジア諸国からの参加者がODA評価について意見交換を行い、その経験を共有したことは極めて有意義であった。このワークショップでの議論は、効果的なODA評価の実施のための共通のアプローチ及び評価の制度的な枠組みの構築に着手するための第一歩であった。

 全てのアジア諸国は、日本がこのワークショップを開催したことを評価するとともに、ODAのより強い役割を通じてアジア諸国の開発のための自助努力を支援するとの日本の変わらぬ強いコミットメントに対して歓迎の意が表明された。

 このワークショップにおける注目すべき主要点は、次の通り。

 援助国及び被援助国における幅広い関係者のニーズを満たすためにODA評価体制の更なる改善が必要であるとの共通の認識が得られた。また、被援助国及び国際援助機関との合同評価の重要性と有用性が強調された。

 被援助国を評価のフィードバックのしくみの中に取り込むことが不可欠である。途上国のキャパシティー・ビルディングを進めることが重要である。援助計画の立案、モニタリングや援助戦略において評価のフィードバックが活かされることが必要である点について合意が見られた。これによって開発援助の有効性が改善され、また、国民に対する説明責任が増すことになる。また、必要な指標を設定することの必要性も強調された。

 参加者の多くは、プロジェクト・レベルの評価に加え、政策及びプログラム・レベル評価の重要性が高まっていること、更には事前評価、モニタリング、継続的評価が重要であるとの共通認識を得た。しかしながら、事前評価、モニタリング、政策・プログラム評価の困難性に鑑み、これらの課題について更に議論を重ねていくことで合意した。

 多数の被援助国は、これらの課題に取り組むに当たり、その負担を軽減するため、ODA評価に関する共通の枠組みの形成またはマニュアル作りを行うことを提案した。

 多数のアジア諸国の参加者から、将来、同様なワークショップが被援助国の開発援助機関及びNGOを含む援助関係者が参加して開催されるべきことが提案された。この関連で、日本は、同様のODA評価ワークショップを明年東京で開催する用意があることを表明した。

 適切なフィードバックなくして、評価の存在理由とその意義は失われる。ODA評価の真の意味は、その評価がいかに現在のプログラムや将来の援助政策に反映されるかによって、判断されるべきである。

 このワークショップの結果は、来週パリで開催されるOECD/DAC評価作業部会において、報告される。また、ODA評価東京ワークショップの要約は報告書に取りまとめられ公表される予定である。

 アジアの被援助諸国からの参加者は、今回のワークショップでの成果を持ち帰り、それぞれのODA評価の改善に寄与するよう努力する。また、それぞれの参加者が今回のワークショップ後に行ったフォローアップ措置については、次回のワークショップにおいて発表されることが期待される。

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