地球環境

国連持続可能な開発会議(リオ+20)(概要と評価)

平成24年6月24日

1 日程及び参加国

  1. (1)6月20日から22日までリオデジャネイロ(ブラジル)で開催され,国連加盟188か国及び3オブザーバー(EU,パレスチナ,バチカン)から97名の首脳及び多数の閣僚級(政府代表としての閣僚は78名)が参加したほか,各国政府関係者,国会議員,地方自治体,国際機関,企業及び市民社会から約3万人が参加した。
  2. (2)我が国からは玄葉外務大臣及び長浜内閣官房副長官を始め,関係省庁(外務省,環境省のほか,内閣官房,総務省,財務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省)及び政府顧問(市民社会の代表)からなる政府代表団130名が参加した。
  3. (3)我が国政府代表として参加した玄葉大臣は,政府代表演説(20日)に加えて全体会議の議長代行も務めた(21日午前)ほか,20日のジャパンイブニング,21日の日本政府公式サイドイベント等に出席した。また,主催国であるブラジルのパトリオッタ外相及びヌコアナ=マシャバネ南ア外相との二国間会談を行った。長浜官房副長官は,21日のハイレベル・ラウンドテーブル,日本政府公式サイドイベント等に出席したほか,22日には政府顧問との意見交換を行った。

2 会議の概要

(1)我が国政府代表演説(「緑の未来」イニシアティブ)

 会議初日の20日,玄葉外務大臣は政府代表として演説を行った。その中で,未曾有の大震災を経験した我が国にとって「持続可能な社会とは何か」という問題に世界ととともに答えを見いだしたいということ,全てのステークホルダーが共通の利益のために力を合わせる必要があることを訴えた。
 また,「人間の安全保障」の考え方に立ち,「緑の未来」イニシアティブを実行していくことを明らかにした。その中で,環境未来都市の世界への普及,世界のグリーン経済への移行,強靭な社会づくりの3本柱を中心とする貢献策(概要(PDF))を発表した。具体的には,(ア)世界各国の国づくりに役立てるため,長年,省エネやリサイクルに取り組んできた我が国の経験を活かした「環境未来都市」の成功事例を発信していくこと,(イ)我が国の優れた再生可能エネルギー技術を活用して各国のグリーン経済への移行を支援していくため,今後3年で1万人規模の緑の協力隊を編成して途上国の人づくりに協力するとともに今後3年で30億ドルの支援を行うこと,(ウ)世界中で防災に対する関心を高め,強靱な社会をつくるため,本年7月に「世界防災閣僚会議in東北」を開催するとともに,今後3年で30億ドルの支援を行うこと等を表明した。

(2)成果文書(「我々の求める未来」)

 事前の事務レベルの交渉により,成果文書「我々の求める未来」(全283 パラグラフ, 49ページ)は19日昼に実質合意され,首脳及び閣僚級による3日間の議論を経て22日夜に採択された。 同文書は,(ア)グリーン経済は持続可能な開発を達成する上で重要なツールであり,それを追求する国による共通の取組として認識すること,(イ)持続可能な開発に関するハイレベル・フォーラムの創設等,(ウ)都市,防災を始めとする26の分野別取組についての合意,(エ)持続可能な開発目標(SDGs)について政府間交渉のプロセスの立ち上げ,(オ)持続可能な開発ファイナンシング戦略に関する報告書を2014年までに作成することなどを主な内容とする(成果文書概要(PDF)

(3)日本パビリオン(PDF)

 我が国の優れた環境技術や省エネ技術,自然資本の持続的利用による農林漁業等の恵みを発信するとともに,東日本大震災を経験した我が国として災害に強い社会作りに貢献する姿勢をアピールすることを目的に官民が協力して設置(6月13日から24日までに,のべ18,127名が来場)し,政府・民間企業等による展示やセミナーが開催された。特に,6月20日には,「ジャパンデー」として,東北地方の復興と日本の多面的魅力をアピールするために,「東日本大震災からの復興・教訓~持続可能な開発の観点から」をテーマにセミナーを開催したほか,同日夜には,「ジャパンイブニング~Tohoku Forward」として,玄葉外務大臣によるあいさつ,東北関係者によるスピーチ,東北の郷土料理を含む日本食・東北産日本酒の試飲・試食,文化・芸能披露を行った。

(4)環境未来都市に関する日本政府主催公式サイドイベント(Future Cities We Want)

 21日午前,環境未来都市に関する日本政府主催公式サイドイベントを開催した。ミャンマー副大統領,カザフスタン環境保護大臣及びマラウイ環境・気候変動管理大臣ほか多くの参加があった。イベントでは,我が国の「環境未来都市」構想に関する取組を紹介するとともに持続可能なまちづくりに関する取組を進めている共催機関によるプレゼンテーションが行われた。冒頭には,玄葉大臣が,我が国が持続可能なまちづくりを重視し,省エネや防災技術を国際社会と共有していく考えであることを表明した。また,会議の締めくくりとして長浜内閣官房副長官が,来年,我が国で環境未来都市に関する国際会議を開催することを表明した。

3 評価

  1. (1)会議では,(ア)グリーン経済に向けた取組の推進,(イ)持続可能な開発を推進するための制度的枠組み,(ウ)防災や未来型のまちづくりなど日本にとっても関心の高い分野の取組が議論され,今後の国際的取組を進展させる上で重要な成果が得られた。
     特に,グリーン経済への移行について途上国が理解を深め,国際社会全体としてグリーン経済に取り組んでいくことについて前向きなメッセージが出せたことは重要である。制度的枠組みについても,新たにハイレベルのフォーラム設置やUNEPの強化に合意したほか,持続可能な開発目標(SDGs)がポストMDGsに統合されるべきことに合意するなど,将来の開発の在り方に筋道が付けられた。ただし,グリーン経済,制度的枠組みについては,参加国間の考え方に依然隔たりが多い点もあり,今後,更に議論を深める必要がある。
  2. (2)我が国は,政府代表演説で玄葉外務大臣から,(ア)「環境未来都市」の世界への普及,(イ)世界のグリーン経済移行への貢献,(ウ)災害に強い強靱な社会づくりの3つを柱とした「緑の未来イニシアティブ」を表明し,今回会合の重点に沿った具体的な貢献であるとして,多くの参加国から評価された。
     また,我が国は今回,環境未来都市構想を一貫してアピールしたが東北地方の復興を踏まえた日本らしい貢献として関心を呼ぶことになった。
    さらに,日本パビリオンにおいては,多くの来場者を得て,我が国の優れた環境・省エネ技術を広報するとともに,東北の復興と魅力をアピールすることができた。来場者の評価も高く,官民をあげて準備を進めた成果と考えられる。


Adobe Acrobat Readerダウンロード Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る