国際法
大陸棚限界委員会
(CLCS: Commission on the Limits of the Continental Shelf)
令和6年7月31日
1 大陸棚の延長と大陸棚限界委員会
- (1)国連海洋法条約は、沿岸国の領海を越える海面下の区域の海底及びその下であって領海の基線から200海里の距離までのものを当該沿岸国の大陸棚とするとともに、大陸縁辺部が200海里を超えて延びている場合、同条約が定める一定の条件の下で200海里を超えて大陸棚を設定できる旨規定している。
- (2)沿岸国が領海の基線から200海里を超える大陸棚を設定しようとする場合は、200海里を超える大陸棚に関する情報を大陸棚限界委員会に提出する。大陸棚限界委員会は、国連海洋法条約の関連規定及び同委員会が採択した「科学的・技術的ガイドライン」に従って、沿岸国が提出した情報を検討し勧告を行う。沿岸国がその勧告に基づいて設定した大陸棚の限界は、最終的なものとし、かつ、拘束力を有する。
2 大陸棚限界委員会の構成・任務
- (1)大陸棚限界委員会は、国連海洋法条約附属書II第1条に基づき設置された。
- (2)大陸棚限界委員会は、21人の委員で構成される。委員は、地質学、地球物理学又は水路学の専門家で、個人の資格で職務を遂行する。委員は、国連海洋法条約締約国会合において選挙で選出され、任期は5年である。現在の委員は、2022年6月の第32回国連海洋法条約締約国会合で選出された(任期は2023年6月から2028年6月まで)。なお、2名の欠員が生じており、現在の委員数は19名である。
- (3)大陸棚限界委員会の任務
- 大陸棚の外側の限界が200海里を超えて延びている区域における当該限界に関して沿岸国が提出したデータ等を検討し、国連海洋法条約第76条等に従って勧告を行うこと。
- 沿岸国の要請がある場合には、上記のデータの作成に関して科学上及び技術上の助言を与えること。
3 各国の申請状況
4 我が国との関係
(1)大陸棚限界委員会への委員の輩出
我が国は大陸棚限界委員会委員の第1期選挙(1997年)から候補者を擁立し、委員を輩出している。現在の委員は、山崎俊嗣(やまざき としつぐ)東京大学名誉教授・高知大学客員教授。
(2)我が国の大陸棚延長
- ア 2008年11月、我が国は、国連海洋法条約第76条に従い、200海里を超える大陸棚に関する情報を大陸棚限界委員会に提出し、2012年4月、同委員会から、計約31万平方キロメートルの大陸棚延長を認める勧告を受領した。
- イ 2014年7月、総合海洋政策本部が決定した「大陸棚の延長に向けた今後の取組方針」において、上記の勧告で一定の延長が認められた4海域のうち、2海域(四国海盆海域及び沖大東海嶺南方海域)については延長大陸棚の設定に速やかに着手し、その他の2海域(小笠原海台海域及び南硫黄島海域)については関係国との調整に着手することとなった。また、勧告が先送りされた残り1海域については、大陸棚限界委員会により早期に勧告が行われるよう努力を継続することとなった。
- ウ 2014年10月1日、上記の2海域(四国海盆海域及び沖大東海嶺南方海域)を我が国の延長大陸棚の海域と定める政令が施行された。
- エ 2024年7月20日、新たに小笠原海台海域の大部分を我が国の延長大陸棚の海域と定める改正政令が施行された。
(3)大陸棚限界委員会に対する財政的貢献
我が国は、大陸棚限界委員会の途上国出身委員が委員会の会合に参加するための経費を支援するための信託基金に対し、これまで計17回、総計約210万ドルを拠出し、大陸棚限界委員会の活動を支援してきている。
- 大陸棚限界委員会(CLCS)委員選挙 山崎俊嗣・東京大学大気海洋研究所教授(外務省参与)の再選(令和4年6月16日)
- 大陸棚の限界に関する委員会委員選挙山崎東京大学大気海洋研究所教授の当選(平成29年6月15日)
- 「大陸棚限界委員会途上国委員の会議参加支援のための信託基金」に対する日本の拠出(令和5年6月13日)
- 大陸棚限界委員会途上国委員の会議参加支援のための信託基金に対する日本の拠出(令和3年6月22日)
- 大陸棚限界委員会途上国委員の会議参加支援のための信託基金に対する我が国の拠出(平成30年6月12日)
- 大陸棚限界委員会途上国委員の会議参加支援のための信託基金に対する我が国の拠出(平成29年6月13日)
- 大陸棚限界委員会途上国委員の会議参加支援のための信託基金に対する我が国の拠出(平成28年6月21日)
- 大陸棚限界委員会途上国委員の会議参加支援のための信託基金に対する我が国の拠出(平成27年6月9日)
- 大陸棚限界委員会途上国委員の会議参加支援のための信託基金に対する我が国の拠出(平成26年6月11日)