国際社会における法の支配

CLCS: Commission on the Limits of the Continental Shelf

令和5年6月13日

1 大陸棚の延長と大陸棚限界委員会

  • (1)国連海洋法条約は、沿岸国の領海を越える海面下の区域の海底及びその下であって領海の基線から200海里の距離までのものを当該沿岸国の大陸棚とするとともに、大陸縁辺部が200海里を超えて延びている場合、同条約が定める一定の条件の下で200海里を超えて大陸棚を設定できる旨規定している。
  • (2)沿岸国が領海の基線から200海里を超える大陸棚を設定しようとする場合は、200海里を超える大陸棚に関する情報を大陸棚限界委員会に提出する。大陸棚限界委員会は、国連海洋法条約の関連規定及び同委員会が採択した「科学的・技術的ガイドライン」に従って、沿岸国が提出した情報を検討し勧告を行う。沿岸国がその勧告に基づいて設定した大陸棚の限界は、最終的なものとし、かつ、拘束力を有する。

2 大陸棚限界委員会の構成・任務

  • (1)大陸棚限界委員会は、国連海洋法条約附属書II第1条に基づき設置された。
  • (2)大陸棚限界委員会は、21人の委員で構成される。委員は、地質学、地球物理学又は水路学の専門家で、個人の資格で職務を遂行する。委員の任期は5年で、国連海洋法条約締約国会議における選挙で選出されることとされている。現在の委員は、2017年6月の第27回国連海洋法条約締約国会議において行われた通常選挙で選出された(任期は2022年6月まで)。なお、1名欠員が生じており、現在の委員数は20名となっている。
  • (3)大陸棚限界委員会の任務
    • 大陸棚の外側の限界が200海里を超えて延びている区域における当該限界に関して沿岸国が提出したデータ等を検討し、国連海洋法条約第76条等に従って勧告を行うこと。
    • 沿岸国の要請がある場合には、上記のデータの作成に関して科学上及び技術上の助言を与えること。

4 我が国との関係

  • (1)我が国は大陸棚限界委員会委員の第1期選挙(1997年)から候補者を擁立し、委員を輩出している。現在の委員は、山崎俊嗣(やまざき としつぐ)東京大学大気海洋研究所教授。
  • (2)2008年11月、我が国は、国連海洋法条約第76条に従い、200海里を超える大陸棚に関する情報を大陸棚限界委員会に提出し、2012年4月、同委員会から、計約31万平方キロメートルの大陸棚延長を認める勧告を受領した。
  • (3)2014年7月、総合海洋政策本部が決定した「大陸棚の延長に向けた今後の取組方針」において、上記の勧告で一定の延長が認められた4海域のうち、2海域(四国海盆海域及び沖大東海嶺南方海域)については延長大陸棚の設定に速やかに着手し、その他の2海域については関係国との調整に着手することとなった。また、勧告が先送りされた残り1海域については、大陸棚限界委員会により早期に勧告が行われるよう努力を継続することとなった。
  • (4)2014年10月1日、上記の2海域(四国海盆海域及び沖大東海嶺南方海域)における延長大陸棚を設定する政令が施行された。
  • (5)我が国は、大陸棚限界委員会途上国委員の会議参加支援のための信託基金に対し、これまで計12回、総計約182万ドルを拠出し、大陸棚限界委員会の活動を支援してきている。
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