国連

潘基文国連事務総長の訪日(概要と評価)

平成20年7月3日

 6月28日(土曜日)から7月1日(火曜日)まで、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長夫妻は公賓として我が国を公式訪問したところ、訪日の概要と評価は以下のとおり。

[ポイント]

  • 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長にとって、就任後初の訪日。
  • 環境・気候変動、開発・アフリカ、食料価格高騰等、国際社会の直面する様々な問題に関し、日本と国連が引き続き緊密に協力していくことを確認。
  • 「平和協力国家」として国際社会の平和と発展のために包括的な貢献を積極的に行っていく我が国の姿勢、国連スーダン・ミッション(UNMIS)司令部への自衛隊員の派遣を始めとする我が国の取組を説明し、潘事務総長の支持と評価を得た。

1.主な日程

6月28日(土曜日)
京都訪問
6月29日(日曜日)
気候変動に関するタウンミーティング(京都大学)
6月30日(月曜日)
歓迎行事(総理官邸)
天皇皇后両陛下御引見(皇居)
高村大臣との会談・昼食会(飯倉別館)
町村官房長官との会談(帝国ホテル)
皇太子同妃殿下御接見(東宮御所)
福田総理との会談・晩餐(総理官邸)
7月1日(火曜日)
日本国際問題研究所主催・朝食講演会(ホテルオークラ)
記者会見(日本記者クラブ)

2.会談・講演等の概要

(1)総論

 福田総理、町村官房長官、高村大臣との会談において、環境・気候変動、開発・アフリカ、食料価格高騰等について率直な意見交換が行われ、国際社会の直面する様々な問題に関し、日本と国連が緊密に協力していくことが確認された。また、「平和協力国家」として国際社会の平和と発展のために包括的な貢献を積極的に行っていく我が国の姿勢に対し、潘事務総長より評価と歓迎の意が示された。安保理改革については、我が方より、早急に政府間交渉を開始するため、潘事務総長の積極的なリーダーシップを期待する旨表明したのに対し、事務総長からは、日本の立場に対する理解と支援の意向が示された。講演(日本国際問題研究所)及び記者会見(日本記者クラブ)では、事務総長は、気候変動、食料価格高騰、開発という3つの優先分野(「三重の危機(triple crises)」)に言及し、日本を始めとする各国と国連の協力の下、包括的な取組が必要である旨強調した。

(2)福田総理との会談 (6月30日18時00分~18時45分)

 福田総理との会談では、気候変動や食料価格高騰、国連安保理改革等に関して意見交換を行うとともに、総理から、「平和協力国家」として国際社会の平和と発展のために包括的な貢献を積極的に行っていく決意を伝え、平和構築分野における人材育成事業の拡充、人材を積極的に派遣するための体制整備、東南アジアや太平洋諸島での活動強化、自衛隊員の国連スーダン・ミッション(UNMIS)司令部への派遣、各国PKOセンターへの支援を含む我が国の取組を紹介した。これに対し、潘事務総長からは、UNMISへの要員の派遣というPKOへの積極的な対応には、勇気づけられ、かつ、感謝したい、今後は、航空輸送、地上輸送、兵站等の専門的分野での自衛隊の派遣に期待したい旨の発言があった。また、北朝鮮問題については、北朝鮮による核申告等を受けた非核化措置の進展への期待、日本の人道上の懸念、特に拉致問題に関する理解が潘事務総長から表明された。

(3)町村官房長官との会談 (6月30日14時00分~14時30分)

 町村官房長官との会談では、気候変動や食料価格高騰、国連安保理改革等について意見交換が行われた。また潘事務総長からは、日本のODAの減少に関し、日本がより大きな役割を果たすことを期待している旨言及があった。

(4)高村外務大臣との会談 (6月30日12時00分~13時40分)

 高村大臣との会談では、大臣より「平和協力国家」としての日本の取組を説明するとともに、国連や地域情勢に関する幅広い意見交換を行った。特に、気候変動問題に関しては、事務総長からは、省エネ対策やクールビズなど日本の取組への評価、G8サミットでの具体的な取組に対する合意形成への期待とともに、2020年までの中期目標の必要性につき言及があった。大臣からは、すべての主要排出国を含む枠組みが必要、来年の然るべき時期に中期目標を発表したいと考えている旨発言した。地域情勢については、大臣からG8外相会合の模様を紹介するとともに、北朝鮮、ミャンマー、ジンバブエ情勢等について意見交換が行われた。

3.評価

(1)潘事務総長にとって就任後初の訪日(公賓招聘)。事務総長との間で、環境・気候変動、開発・アフリカ、食料価格高騰等の国際的な課題について率直な意見交換を行い、日本と国連の協力関係を一層強化することができた。

(2)「平和協力国家」として国際社会の平和と発展のために包括的な貢献を積極的に行っていく我が国の姿勢や、国連スーダン・ミッション(UNMIS)司令部への自衛隊員の派遣を始めとする我が国の取組を説明し、潘事務総長の支持と評価を得ることができた。

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