国連

高村外務大臣と潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の会談(概要)

平成20年6月30日

 6月30日、正午から約1時間半にわたり、高村外務大臣は、公賓として訪日中の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長と会談及び昼食会を行ったところ、概要以下の通り。

1.冒頭

 高村大臣から、環境・気候変動、開発、食料価格高騰など国際社会の直面する様々な問題に関し、潘事務総長が指導力を発揮していることに敬意を表したいと発言。これに対し、潘事務総長より、日本を公式に訪問できることを嬉しく思う、これからも日本と緊密に協力していきたい旨応答。

2.国連関係

(1)安保理改革

 高村大臣から、事務総長が目指す事務局改革に共に取り組みたい、安保理改革が必要だということに関しては国連加盟国の立場は一致しており、早急に政府間交渉を開始すべき時に達している、潘事務総長にも積極的なリーダーシップを発揮してほしいと発言。それに対し、潘事務総長から、日本の常任理事国になりたいという強い希望は誰よりも理解している、総会議長が中心となり総会での議論が活発化しており、自分としても、議論をスムーズにするよう努力したい、安保理を変える必要性、現状維持ではいけないことについては、加盟国間にコンセンサスがある、加盟国の意見がまとまるよう日本のより積極的な役割を期待している旨応答。

(2)邦人職員の増強

 高村大臣から、邦人職員、特に幹部職員が少ないことにつき、これからも潘事務総長の支援をお願いしたいと発言。これに対し、潘事務総長は、財政貢献に比し邦人職員数が少ないこと及び日本の希望は意識しており努力していく所存である、その一環として、今般PKO局に日本人女性を幹部として採用することとなった旨発言。

(3)気候変動問題

 潘事務総長より、省エネ対策など日本の取組を評価したい、今会談は初めてネクタイなしで参加する公式会談であり、こういった取組は良いことである、また、G8サミットでは具体的な取組に対する合意ができるよう努力してほしい、日本が2050年までの長期目標を掲げていることを賞賛するが、2020年までの中期目標も必要である旨発言。これに対し、高村大臣より、米・中・印などのすべての主要排出国を含む枠組みを考えていかなければならない、米及び途上国の双方に働きかけることが必要、日本には、お見合いの仲人口という言葉がある、これは、双方に相手の良いところを告げ、話をまとめるといった意味だが、日本として、このような世界の人には理解することが難しいようなリーダーシップを発揮するので期待してほしい、また、来年の然るべき時期に中期目標を発表したいと考えている旨発言。これに対し、潘事務総長は、勇気づけられる発言である旨応答。

3.地域情勢

 高村大臣より、昨日までのG8外相会合の模様を紹介した後、北朝鮮、ミャンマー、ジンバブエ情勢等について話し合われた。

(1)北朝鮮

 潘事務総長より、六者会合での日本の役割を評価する、北朝鮮が拉致の再調査の約束をしたことは良い方向であり、これは、日朝間の対話を進める良い機会である、手伝えることがあれば手伝いたい旨発言。これに対し高村大臣からは、北朝鮮は拉致の再調査に関し確かに約束はしたが、未だ約束の段階であり未着手である、日本としては、これまで解決済としていた拉致につき再調査を約束したということにつき、制裁の一部解除を約束したという段階、すなわち約束対約束の段階である、我が国は行動対行動という方針をとっている、拉致問題の完全な解決は遠い道のりであり、国際社会の支援があって初めて実施できるもの、引き続き潘事務総長の支援をお願いしたい、核問題に関しては一定の進展があったことを評価する旨述べ、以上に対し、潘事務総長も理解を示した。

(2)ミャンマー

 高村大臣より、潘事務総長のミャンマー訪問を受け国際社会からの援助要員の受入れが始まったことにつき、その指導力を評価する、ミャンマー政府が、援助要員の受入れと援助物資の配布につき、国際社会とこれまで以上に協力するよう働きかけたい、また、民主化プロセスが進展していないことを懸念、ガンバリ特使の努力を含む国連の努力を引き続き支持する旨発言。潘事務総長よりは、民主化が進展していないことを心配している、ガンバリ特使の活動を通じ国連としても努力していきたい旨応答。

(3)ジンバブエ

 高村大臣より、現状を強く憂慮している、G8外相会合でも別個の声明が出され、国民の意思を正当、明確に反映した政府が早急に樹立されることを強く希望する旨発言。これに対し、潘事務総長より、2回目の大統領選挙に関して本30日に東京よりメッセージを発出したが、選挙結果は正当とは認められない、AU等地域機構が、すべての関係者が受入れ可能な政治的解決に向け努力することを期待している旨応答。

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