国連

福田総理大臣と潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の会談(概要)

平成20年7月1日

 6月30日、午後6時から約45分間、福田総理大臣は、公賓として訪日中の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長と会談を行ったところ、概要以下のとおり。

1.気候変動及び食料価格高騰問題等

 気候変動問題について、福田総理より、新興国を含むすべての主要経済国が責任ある形で参加する、実効性のある枠組み構築のため、潘事務総長の協力を要請した。また、食料価格高騰問題について、福田総理より、食料増産、輸出規制、バイオ燃料等に関して、G8サミットで力強いメッセージを発出したいとの考えを述べた。さらに、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成やアフリカの問題についても意見交換を行い、事務総長からは、これらの課題に関する我が国の取組に歓迎の意が示された。

2.平和協力国家

 福田総理より、「平和協力国家」として、国際社会の平和と発展のために包括的な貢献を積極的に行っていく決意を伝え、平和構築分野における人材育成事業の拡充とともに、人材を積極的に派遣するための体制整備を進める旨述べた。更に、福田総理より、自衛隊員の国連スーダン・ミッション(UNMIS)司令部への派遣、アフリカやアジアのPKOセンターへの人的・資金的支援の実施、東南アジアや太平洋諸島での活動強化、途上国の国づくり支援や緊急援助・防災への取組強化等を実施していく考えである旨述べたのに対し、潘事務総長は、UNMISへの要員の派遣というPKOへの積極的な対応には、勇気づけられ、かつ、感謝したい、今後は、航空輸送、地上輸送、兵站等の専門的分野での自衛隊の派遣に期待したい旨発言があった。

3.北朝鮮問題

(1)潘事務総長から、次のとおり述べた。

(イ)北朝鮮が申告を提出し、冷却塔を破壊する等前向きな進展が見られる、六者会合の参加国が非核化の措置を更に進めるよう期待したい、日本の人道上の懸念、特に拉致問題に関する懸念は十分理解している。

(ロ)今般の進展を契機に、日本が北朝鮮と真剣な対話を行うことを期待する。

(2)これに対し、福田総理から、次のとおり述べた。

(イ)北朝鮮の申告は、非核化に向けたステップの1つであり、この内容をしっかりと検証していくと同時に、早期に北朝鮮の核放棄を実現すべく、引き続き関係国と共にねばり強く努力していく。

(ロ)北朝鮮の人権状況は重要な問題であり、特に拉致問題の解決に向けて努力していく考え。引き続き事務総長の協力を是非宜しくお願いしたい。

4.安保理改革

(1)福田総理からは、潘事務総長の事務局改革に一緒に取り組んでいくとした上で、次のとおり述べた。

(イ)安保理改革の必要性の点では加盟国の認識は長らく一致しており、15年近く行われている改革に関する議論も既に尽くされており、早急に政府間交渉を開始すべきである。

(ロ)加盟国の関心を喚起するためにも、潘事務総長から改革の必要性を折に触れて提起してもらうことが必要であり、アジア出身の事務総長の積極的なリーダーシップを期待する。

(2)これに対し、潘事務総長からは、次のとおり述べた。

(イ)日本が安保理改革を非常に重視していることは承知している。複雑な問題であるが、前進させることが重要である。

(ロ)加盟国の間では、国際的な政治状況の変化に応じて安保理を改革していかなければならないという幅広い認識がある。

(ハ)国連総会でも活発な議論が行われており、自分(潘事務総長)も如何に本件プロセスを進めていくかについて総会議長と話をしている。

(ニ)日本が長い間常任理事国になりたいという願望を持っていることは良く理解しており、外交上の努力を続けられることを期待したい。

(ホ)また自分(潘事務総長)としても加盟国間の対話を促進していきたい。

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