地球環境

令和5年12月15日

1 概要

  • (1)国際熱帯木材機関(ITTO)は、「1983年国際熱帯木材協定」(85年発効)に基づき1986年に設立された我が国(横浜市)に本部を有する国際機関。
  • (2)熱帯林の持続可能な経営を促進し、合法的な伐採が行われた森林からの熱帯木材の国際貿易を発展させるため、木材生産国と木材消費国との間の国際協力を促進。
  • (3)「1994年国際熱帯木材協定」を継承する「2006年国際熱帯木材協定」が2006年1月に採択され、2011年12月7日に発効。2021年第57回理事会において、同協定は、2026年12月6日まで有効期間が延長されることが決定している。
  • (4)「2006年国際熱帯木材協定」の加盟国は、2023年12月現在、生産国37か国、消費国38か国の計75か国及び欧州連合となっている。

2 活動内容

(1)政策活動

 熱帯木材に関して生産国と消費国の双方が参加するフォーラムの設定、持続可能な森林経営のための基準・指標、ガイドライン策定等の国際的合意を形成。近年では、2016年に持続可能な熱帯林経営に関する基準・指標を改定、2020年に熱帯地域における森林景観再生ガイドライン等が策定されたほか、2022年には生物多様性条約(CBD)との共同イニシアティブの下作成した「生物多様性と人々のための生活向上」ポリシーブリーフ、及びアフリカでのITTOプロジェクトの評価に関する「アフリカの森林における協働事業のための教訓」ポリシーブリーフが策定されている。

(2)プロジェクト実施

 持続可能な森林経営や林地の復旧、森林火災の防止、熱帯木材の持続可能なサプライチェーン構築等にかかる人材育成や体制構築等の能力開発プロジェクトをこれまでに1,200件以上実施。アジア太平洋地域、ラテンアメリカ地域、アフリカ地域の熱帯林の保全に大きな役割を果たしている。また、これらのITTOプロジェクトは、森林プロジェクトの先進事例として、後に世界銀行の地球環境ファシリティ(GEF: Global Environment Facility)、緑の気候基金(GCF: Green Climate Fund)等の大規模プロジェクトに転化した例も報告されている。

3 ITTOの重要性

  • (1)熱帯林は世界の森林の約半分を占めている。1990年から2020年までの期間における森林破壊の90%以上は熱帯地域に起因しているとされており(FAO「世界森林資源評価2020」)、こうした熱帯林の減少と劣化が、気候変動の重大な要因の一つであることが認識されている。また、熱帯林は、気候変動の緩和に寄与する炭素吸収源としてだけでなく、陸域生物多様性の宝庫としても非常に重要な役割を持っている。
  • (2)ITTO加盟国は、世界の熱帯林面積の80%以上及び世界の熱帯木材貿易の約90%をカバーしているため、ITTOにおける消費国と生産国の対話や熱帯林・熱帯木材貿易の分野における活動は大きな意義があり、2023年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケにおいても、持続可能な森林経営と木材利用の促進のためにITTO等と協働するとの記述が含まれている。

4 我が国とITTOとの関係

  • (1)我が国は、世界有数の熱帯木材輸入国であることから、熱帯木材の我が国への安定供給を確保し、熱帯林の保全と熱帯木材貿易の促進について国際的な貢献を行うことを目的として、ITTO本部を横浜に誘致した経緯あり。
  • (2)我が国は、ITTOの設立当初より、加盟国としてその政策形成に積極的に関与し、生産国における実地プロジェクトの実施を支援するとともに、ホスト国としてITTO本部の設置に係る経費等を支援。
  • (3)ITTO本部の所在する横浜市も、ホストシティとしてITTOの運営を支援。

5 理事会について

  • (1)基本的に年1回開催される、全加盟国が参加するITTOの最高意思決定機関。
  • (2)次回理事会は、2024年12月に、横浜にて開催予定。
  • (3)直近3回の理事会概要は以下のとおり。それ以前の理事会概要はこちら
  • 第59回ITTO理事会(令和5年11月)
  • 第57回ITTO理事会(令和3年11月~12月)

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