4 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の実施状況
ハーグ条約は、子の利益を最優先するという考えの下、国境を越えた子供の不法な連れ去りや留置をめぐる紛争に対応するための国際的な枠組みとして、子供を元の居住国に返還するための手続や国境を越えた親子の面会交流の実現のための締約国間の協力などについて定めた条約である。
この条約は、日本については2014年4月1日に発効し、2023年12月末時点、日本を含む103か国が加盟している。
条約は、各締約国の「中央当局」として指定された機関が相互に協力することにより実施されている。日本では外務省が中央当局として、様々な分野の専門家を結集し、外国中央当局と連絡・協力をしながら、子を連れ去られた親と子を連れ去った親の両方に、問題解決に向けた支援を行っている。
ハーグ条約発効後2023年12月末までの9年9か月間に、外務大臣は、子の返還を求める申請を371件、子との面会交流を求める申請を185件、計556件の申請を受け付けた。日本から外国への子の返還が求められた事案のうち、69件において子の返還が実現し、52件において返還しないとの結論に至った。外国から日本への子の返還が求められた事案については、68件において子の返還が実現し、39件において返還しないとの結論に至った。
幅広い層へハーグ条約を周知するため、在留邦人向け啓発セミナー(オンライン形式)や在留邦人向けの情報誌への記事掲載、国内の地方自治体や弁護士会などの関係機関向けセミナーの実施に加えて、ハーグ条約に関する啓発動画を作成し、外務省ホームページや動画共有プラットフォームに掲載するなど、広報活動に力を入れている。3
返還援助申請 |
面会交流 援助申請 |
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日本に所在する子に関する申請 | 203 | 139 |
外国に所在する子に関する申請 | 168 | 46 |
3 1980年ハーグ条約と日本の取組に関する外務省ホームページ参照:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html
