外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

各論

1 地域機構

中南米地域にはラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)やアジア中南米協力フォーラム(FEALAC)のほか、以下のような地域枠組が存在し、様々な課題について政策調整を行っており、日本も連携強化に取り組んでいる。

中南米における地域機構
中南米における地域機構

(1)太平洋同盟

メキシコ、コロンビア、ペルー及びチリからなる太平洋同盟は、2012年6月の枠組協定により設立された。

太平洋同盟は、加盟国間の市場統合を掲げ、2016年5月に発効した枠組条約追加議定書で域内貿易品目92%の関税を即時撤廃した。さらに2017年6月の首脳会合で、太平洋同盟との間で包括的自由貿易協定を締結する国を準加盟国として迎えることを発表し、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド及びシンガポールが、10月に交渉を開始した。

日本は2013年以来オブザーバー国として参加しており、同盟各国と二国間経済連携協定(EPA)を締結又は交渉中であり、共に環太平洋の連携を強化するための取組を進めている。

(2)南米南部共同市場 (メルコスール:MERCOSUR)

南米南部共同市場(メルコスール)は、1995年に域内の関税撤廃等を目的に発足した関税同盟であり、加盟国はアルゼンチン、ボリビア1、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ及びベネズエラ2である。1995年1月から、域内関税は一部の品目を除き原則として撤廃されている。

日本との関係では、2012年11月に第1回「日・メルコスール経済関係緊密化のための対話」を開催して以降、計4回の対話を開催した。直近では、2017年5月に第4回対話を実施し、日本とメルコスール双方の最近の貿易政策や経験等について意見交換を行った。

(3)カリブ諸国共同体(カリコム:CARICOM)

カリブ諸国共同体(カリコム)は、カリブ地域の14か国(図「カリコム加盟国・地域」参照)による経済統合や外交政策の調整等を目的に設立され、国際場裏で協調行動を取ることで存在感を示している。一方、同地域は毎年のようにハリケーンによる甚大な被害を受けており、日本は9月にアンティグア・バーブーダにおけるハリケーン・イルマによる被害やドミニカ国におけるハリケーン・マリアによる被害に対し、緊急援助物資を供与した。

カリコム加盟国・地域
カリコム加盟国・地域

日本は、安倍総理大臣が2014年のトリニダード・トバゴ訪問時に表明した対カリコム協力の三本柱(小島嶼国(とうしょこく)特有の脆弱性(ぜいじゃくせい)克服を含む持続的発展に向けた協力、交流と友好の絆(きずな)の拡大と深化、国際社会の諸課題の解決に向けた協力)に基づいた外交を実施しており、所得水準の高い国に対しても各国の開発ニーズや負担能力に応じて必要な協力を行っている。2017年も、5月の武井俊輔外務大臣政務官のカリコム外交・共同体関係理事会(COFCOR)出席や7月のラロック・カリコム事務局長の訪日招へい等の機会を捉え、カリコムとの間でも関係を一層発展させていくことを確認した。

1 2012年12月加盟議定書に署名し、各国議会の批准待ち

2 2017年12月現在、加盟資格停止中

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