外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

4 アフガニスタン

9月末、ガーニ大統領とアブドッラー行政長官が政治権力を分け合う国家統一政府(National Unity Government:NUG)の発足から2年が経過したが、引き続き大きな課題に直面している。国内各地で、タリバーンやISILホラサーン州等の勢力が度重なるテロ攻撃を行い、アフガニスタン治安部隊(ANDSF)とANDSFを支援する外国駐留軍に多くの犠牲を生むとともに、一般市民の犠牲者も増加傾向にある。国家の長期的安定のため不可欠な反政府武装勢力との和解については、9月にイスラム党ヘクマティアル派との和解合意という成果はあったものの、より大きな勢力であるタリバーンとの和解については進展が見られていない。また、大統領と行政長官との関係悪化や閣僚7人の弾劾等、内政面での混乱も見られる。

アフガニスタンの自立と安定は、国際社会の安定と地域の繁栄のため重要な課題であり、2016年を通じて国際社会は、NUGの努力を継続的に支えていく強い意思を示した。7月のNATOワルシャワ首脳会合では、治安分野支援の継続が表明され、10月の「アフガニスタンに関するブリュッセル会合」では、2020年末までの開発支援のプレッジ総額が約152億米ドルに達した。同会議に出席した薗浦外務副大臣は、直近の支援規模を維持するため、年間最大約400億円の支援の継続に努めると表明すると同時に、アフガニスタン側に汚職・腐敗、選挙改革等の諸改革の進展を要請した。

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