外交青書・白書
第3章 国益と世界全体の利益を増進する外交

3 国際的なルール作りへの参加

(1)G7・G20サミット

日本が自らの取組を国際社会にアピールし、日本にとって望ましい国際的経済秩序を形成していく場として、G7・G20サミットは引き続き重要な役割を果たしている。

2014年は、当初6月にロシアにおいてG8ソチ・サミットが開催される予定であった。しかし、ウクライナ情勢を踏まえ、3月のハーグ核セキュリティ・サミット(於:オランダ)の機会に急遽(きゅうきょ)行われたG7首脳会合において首脳間で率直な議論を行った結果として、G7諸国はG8ソチ・サミットには参加しないこと、6月にブリュッセルで改めてG7首脳会合を開催することを決定した。

6月のG7ブリュッセル・サミット(於:ベルギー)では、G7諸国として、自由、民主主義、開かれた経済・社会、人権、法の支配などの価値の共有に基づき、国際的な課題に挑戦する決意を確認した。世界経済、エネルギー・気候変動、開発などに加え、ウクライナ情勢を中心とする外交政策について率直な意見交換が行われた。ウクライナ情勢については、G7として団結して対応していくことを確認し、ウクライナ支援の重要性やロシアへの外交的解決の呼びかけなどで一致した。

G7ブリュッセル・サミットにおけるワーキングディナー(6月6日、ベルギー・ブリュッセル 写真提供:内閣広報室)
G7ブリュッセル・サミットにおけるワーキングディナー(6月6日、ベルギー・ブリュッセル 写真提供:内閣広報室)

東アジア情勢については、安倍総理大臣が議論をリードした。航行・飛行の自由に関し、世界のどこであっても「力を背景とした現状変更」を許してはならないことを訴え、いかなる主張も、①国際法に基づくべきであり、②力による威嚇は許されず、③平和的に解決されるべき、との原則を説明し、各国から強い支持を得た。また、G7首脳は、全ての当事者に対し、領土又は海洋にかかる権利の主張を国際法に基づいて明確にし、追求することを求めることで一致した。さらに、安倍総理大臣は北朝鮮による安保理決議の完全実施及び拉致問題解決の必要性等について強く訴え、各国の力強い支持を得た。

11月のG20ブリスベン・サミット(於:オーストラリア)では、経済成長の強化と雇用創出を最優先課題として、首脳間で活発な議論が行われた。G20諸国は、強固で持続可能かつ均衡ある成長の実現のために協調していくことで一致した。G20全体のGDPの水準を2018年末までに2%以上引き上げるための「ブリスベン行動計画」や各国の「包括的な成長戦略」などを発表した。また、G20各国がエボラ出血熱の流行が及ぼす中期的な経済的及び人道的コストに対応することなどにコミットする首脳声明が発出された。

安倍総理大臣からは、デフレ脱却を目指した安倍政権のこれまでの改革の取組及び経験について説明した。また、インフラ整備支援に関する日本のアプローチ、女性の経済への参画や開発途上国支援を通じた火力発電の高効率化・低炭素化に関する取組等について説明した。さらに、緑の気候基金(GCF)に対する最大15億米ドルの拠出を表明した。

(2)世界貿易機関(WTO)

ア WTOとドーハ・ラウンド交渉の経緯

日本の経済発展は、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)や世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制に大きく恩恵を受けてきた。WTOを中心とした無差別で開かれた多角的貿易体制は世界貿易の礎である。その維持と強化は日本経済再生に向けた日本の貿易政策の柱である。1995年にGATTを継承する形で設立されたWTOでは、規律の対象分野の拡大や紛争処理機能の強化がなされ、①貿易自由化と新たなルール作り、②協定の実施の監視と紛争解決制度を通じたルール遵守の確保などが主な役割となっている。2001年に開始されたWTOドーハ・ラウンド(DDA)交渉8では8分野(農業、非農産品市場アクセス、サービス、ルール、貿易円滑化、開発、環境、知的財産権)の一括妥結を目指してきた。2008年以降交渉は膠着(こうちゃく)状態に陥っていたが、2013年12月の第9回WTO閣僚会議(MC9)において、DDA交渉の部分合意として①貿易円滑化、②農業、及び③開発の3分野から成る「バリ合意」が妥結した。

イ バリ合意の実施

「バリ合意」は、WTO設立後初めての全加盟国を拘束する多数国間協定となる貿易の円滑化に関する協定を含む画期的なものであった。しかし、一部の国の反対により、貿易の円滑化に関する協定をWTO協定の一部とするための議定書について、合意されていた2014年7月末の採択期限が守られず、その後「バリ合意」全体の実施が宙に浮いた形となっていた。「バリ合意」を元の軌道に戻すため、日本を始め各加盟国が、WTOでの会合や二国間会談等の機会を通じ、関係国に対し働きかけを行った。この結果、11月の一般理事会特別会合において、①同議定書の採択、②食料安全保障目的の公的備蓄、及び③ポスト・バリ(「バリ合意」後)の作業に関する計3件の一般理事会決定が採択された。今後は、「バリ合意」の着実な実施と、ポスト・バリ作業計画策定に積極的に参画し、多角的貿易体制の維持・強化に取り組んでいく考えである。

ウ 有志国による取組

2011年の第8回閣僚会議以降、上述の「バリ合意」をめぐる議論のほかに、有志国による以下の交渉が行われてきた。

(ア)情報技術協定(ITA:Information Technology Agreement)の品目拡大交渉

1997年から実施されている情報技術協定(ITA)9に関し、その後の技術進歩により開発された製品など10を同協定の対象とすべく、2012年から対象品目の拡大のための交渉が行われている(2014年12月末現在、5311の有志国・地域が参加)。品目拡大により、情報技術製品の貿易拡大、情報技術を通じた各国経済の成長・生産性向上の促進が期待される。

(イ)サービスの貿易に関する新しい協定(TiSA:Trade in Services Agreement)交渉

サービス貿易の一層の自由化に向け、米国、EU(28か国)、オーストラリアなどを含む5012の有志国・地域(2014年12月末現在)によるサービスの貿易に関する新しい協定(TiSA)交渉が、2013年夏以降本格的に行われている。同交渉に参加する国・地域の間では、交渉対象から特定分野をあらかじめ除外しないこと、時代に即した形でルールを強化してサービス貿易一般協定(GATS)の内容を進化させることなどで一致しており、日本も同交渉に積極的に参加している。

(ウ)環境物品に関する協定(EGA:Environmental Goods Agreement)交渉

2014年7月に、4113の有志国・地域により、WTO環境物品に関する協定(EGA)交渉が開始された。本交渉は、2012年にAPECで合意された環境物品リストや2013年のAPEC首脳宣言におけるコミットメントなどを受け、環境関連物品の関税撤廃を目指すものである。本交渉により、環境物品の貿易拡大、持続可能な開発が達成されることが期待される。日本は、交渉立ち上げ時から、本交渉に積極的に参加している。

エ 紛争解決(DS:Dispute Settlement)

WTO紛争解決制度は、加盟国間のWTO協定上の貿易紛争を紛争解決手続に従い解決するための準司法的制度である。WTO体制に安定性と予見可能性を与える柱として、有効に機能している14。日本が当事国である最近の案件には以下のものがある。

  • 中国のレアアース、タングステン及びモリブデンの輸出規制措置15:2014年8月、上級委員会報告書を受けて、WTOの紛争解決機関は、中国の措置を違法と認定し、協定に整合的にするよう中国に勧告した。
  • アルゼンチンの輸入制限措置16:2015年1月、上級委員会報告書を受けて、WTOの紛争解決機関は、アルゼンチンの措置を違法と認定し、協定に整合的にするようアルゼンチンに勧告した。
  • 中国の日本産高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチ・ダンピング税の賦課措置17:2015年初旬にパネル報告書が発出される見込み。
  • ウクライナの自動車に対するセーフガード措置18:現在パネル手続が進行している。

日本はまた、DDAの一環として行われているDSU19改正交渉などにおいて、手続の明確化など、紛争解決制度の更なる改善に向け積極的に貢献してきている。

オ 保護主義抑止・是正の取組

2008年以降、リーマンショック、欧州債務危機などを受け、保護主義措置を導入する国が増加している。G20、APECなどでは首脳レベルで保護主義抑止に取り組むことで一致し、政治的コミットメントを行っている。WTOでは、貿易政策検討制度や紛争解決手続を通じた保護主義措置の是正に取り組んでいる。日本は、保護主義抑止・是正に引き続き積極的に取り組んでいく考えである。

(3)経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)

ア OECD加盟50周年

東京オリンピックが開催された1964年、日本は非欧米諸国として初めてOECDに加盟し、名実共に先進国の仲間入りを果たした。その後、日本はOECDの政策提言やツールなどを用いて着実に経済成長を遂げた。

2014年、日本は、OECD加盟50周年を迎え、安倍総理大臣やグリアOECD事務総長が参加したシンポジウムや記念切手の発行など約30の記念事業を国内で実施した。また、8月には東日本大震災の被災地の児童を対象とした「OECD東北スクール」の生徒約100人がパリを訪れ、東北の魅力を発信した。

記念切手を手交する岸田外務大臣とグリアOECD事務総長
記念切手を手交する岸田外務大臣とグリアOECD事務総長
イ 閣僚理事会
(ア)総論

2014年5月、日本は36年ぶり2度目のOECD閣僚理事会議長国を務めた。同閣僚理事会には、日本からは安倍総理大臣や岸田外務大臣に加え、3人の閣僚が出席した。このほか、OECD加盟34か国、キー・パートナー国(中国、インド、インドネシア、ブラジル、南アフリカ)、加盟審査の国(コスタリカ、ラトビア)の閣僚級が出席した。また、安倍総理大臣とグリア事務総長が招待する形で、OECD史上初めて、ASEAN諸国から7人の閣僚が閣僚理事会に参加した。

OECD閣僚理事会での安倍総理大臣基調講演(5月6日、フランス・パリ 写真提供:内閣広報室)
OECD閣僚理事会での安倍総理大臣基調講演(5月6日、フランス・パリ 写真提供:内閣広報室)
(イ)テーマ

リーマン・ショック後も経済危機へのリスクが欧州を中心に根強く残っている。日本は、議長国として、しなやかで強靱(じん)な(レジリエントな)経済と包摂的社会、およびOECDと東南アジアとの関係強化を2本柱に掲げた。経済危機への対処、新しい成長の源泉、女性・高齢者・若者の一層の参画、長期的課題(少子高齢化、気候変動など)、東南アジアとの関係強化、開発等のトピックについて議論を主導した。

安倍総理大臣の基調講演では、日本の今後の成長戦略と世界経済への貢献についてメッセージを発信し、東日本大震災からの復興とデフレからの脱却を含め日本経済の再生を国際社会にアピールした。

特に、経済のレジリエンスについては、その後のG20ブリスベン・サミットでも主要なテーマとして挙げられるなど、国際経済の方向性を日本がリードする形となった。

(ウ)「東南アジア地域プログラム」の立ち上げ

世界経済の成長を盤石なものとするためには、成長著しい東南アジアの経済成長を促進することが不可欠である。この認識から、安倍総理大臣はASEAN諸国の閣僚5人などと共に「OECD東南アジア地域プログラム」を立ち上げた。今後、日本が主導する形で、投資や中小企業など6つの分野に関する地域政策ネットワーク会合などを通じて、OECDが有する豊富なデータやツールを用いてASEAN諸国が直面する「中所得国の罠」の回避などの議論に貢献していく。

(エ)OECDフォーラム

閣僚理事会と同時に開催されたOECDフォーラムには、日本から二階俊博衆議院議員を始めとするOECD議連メンバーや山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長など多くの有識者が出席した。また、同フォーラム期間中に、東南アジア経済に豊富な知見を有するERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)とOECDとの協力覚え書き(MOU)が締結された。

(4)アジア太平洋経済協力(APEC:Asia-Pacific Economic Cooperation)

APECは、各エコノミー20の自発的な意思によって、アジア太平洋の持続可能な発展を目指し、地域経済統合と域内協力の推進を図る枠組みである。アジア太平洋地域の21か国・地域から構成されており、これらは世界の人口の約4割、GDPの約6割、貿易量の約5割を占める「世界の成長センター」である。総貿易の約3分の2が域内貿易であるなどEU並みの密接な域内経済を構成している。APEC地域の経済面における協力と信頼関係を強化していくことは、日本の更なる発展を目指す上で極めて重要である。また、APEC首脳・閣僚会議は、経済問題を中心に、国際社会の主要な関心事項について首脳・閣僚間で率直な意見交換を行う有意義な場となっている。

中国が議長を務めた2014年北京APEC首脳会議では、これまでのAPECの25年間の歩みを振り返りつつ、「地域経済統合の進展」、「革新的な発展、経済改革及び成長の促進」、「包括的な連結性及びインフラ開発の強化」について議論された。APEC首脳宣言「統合され、革新的な、かつ相互に連結されたアジア太平洋に向けた北京アジェンダ」及びAPEC25周年記念声明「アジア太平洋パートナーシップを通じた未来の形成」が採択された。「地域経済統合の進展」については、2010年横浜APEC首脳会議以降進められているアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けたAPECの貢献の更なる一歩として、「FTAAPの実現に向けたAPECの貢献のための北京ロードマップ」を策定するとともに、「FTAAPの実現に関連する課題にかかる共同の戦略的研究」の開始に合意した。同研究については、2016年末までに結果を報告することを首脳から実務者に指示した。また、WTOの交渉機能をめぐる行き詰まりの原因となっているバリ合意実施の問題の深刻さを首脳レベルで共有するとともに、情報技術協定(ITA)拡大交渉の早期再開と妥結を求めた。「革新的な発展、経済改革及び成長の促進」については、経済改革、イノベーション、エネルギー、女性の活躍推進、腐敗対策、エボラ出血熱などへの取組へのコミットを確認した。安倍総理大臣からは、アベノミクスの大胆な規制改革による日本経済再生を通じて、地域経済の更なる成長に貢献する考えを述べた。また、地域の潜在力を最大限に発揮するため、女性の活躍を更に推進していく重要性を訴えた。「包括的な連結性及びインフラ開発の強化」については、「2015-2025年APEC連結性ブループリント」に合意し、2025年までの連結性強化の具体的行動を定めた。安倍総理大臣からは、インフラ開発について、民間資金の効率的な動員に加え、「インフラの質」、「質の高いスタンダード」、「雇用や能力構築」の重要性を指摘した。さらに、安倍総理大臣は、APEC首脳会議の機会に行われたAPECビジネス諮問委員会(ABAC)委員との対話に参加し、アベノミクスの「成長戦略」及びインフラ開発にあたって重視すべき原則について日本の考え方を説明した。

2014年北京APEC首脳会議の成果
  地域経済統合の推進 革新的な発展、経済改革及び成長の促進 包括的な連結性及び
インフラ開発の強化
首脳宣言の
ポイント
●2010年横浜APEC首脳会議以降進められているアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けたAPECの貢献の更なる一歩として、「FTAAP実現に向けたAPECの貢献のための北京ロードマップ」を策定
●「FTAAP実現に関連する課題にかかる共同の戦略的研究」の開始に合意。2016年末までに結果を報告することを首脳から実務者に指示
●WTOの交渉機能をめぐる行き詰まりの原因となっているバリ合意実施の問題の深刻さを首脳レベルで共有
●情報技術協定(ITA)拡大交渉の早期再開と妥結を求めた。
●経済改革、イノベーション、エネルギー、女性の活躍推進、腐敗対策、エボラ出血熱などへの取組へのコミットを確認 ●「2015-2025年APEC連結性ブループリント」に合意し、2025年までの連結性強化の具体的行動を定めた。
安倍総理大臣
発言ポイント
●FTAAPのロードマップを支持し、土台となるTPP協定等に積極的に取り組む旨表明
●製造業関連サービスに関する貿易投資の自由化・円滑化に向けた議論を加速させたい旨表明
●WTOの問題は深刻であり信頼回復に向けた対応を考えるべき、ITA拡大交渉の早期妥結を促すべき旨表明
●アベノミクスの大胆な規制改革による日本経済再生を通じて、地域経済の更なる成長に貢献する旨表明
●地域の潜在力を最大限に発揮するため、女性の活躍を更に推進していく重要性を訴えた
●インフラ開発について、民間資金の効果的な動員や投資受入国の投資環境整備に加え、「インフラの質」、「質の高いスタンダード」、「雇用や能力構築」の重要性を指摘

8 正式名称はドーハ開発アジェンダ(DDA:Doha Development Agenda)交渉

9 情報技術製品(半導体、コンピューター、携帯電話、プリンター、FAX、デジタルカメラ(静止画用)など)の関税を撤廃する複数国間の合意(「情報技術製品の貿易に関する閣僚宣言」)。1996年作成、1997年から実施。現在の参加国は日本、米国、EU(28か国)、中国、ロシア等78か国

10 デジタルAV機器(ビデオカメラ、DVD・HD・BDプレーヤー等)、デジタル複合機・印刷機、医療機器(電子内視鏡など)、半導体製造装置など

11 日本、米国、EU、オーストラリア、カナダ、中国、韓国、香港、台湾、シンガポール、イスラエル、トルコ、コロンビア、コスタリカ、マレーシア、タイ、フィリピン、ニュージーランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン、モーリシャス、モンテネグロ、グアテマラ、アイスランド、及びアルバニア(EU各国を含めると53か国・地域)

12 日本、米国、EU、オーストラリア、カナダ、韓国、香港、台湾、パキスタン、イスラエル、トルコ、メキシコ、チリ、コロンビア、ペルー、コスタリカ、パナマ、パラグアイ、ニュージーランド、ノルウェー、スイス、アイスランド及びリヒテンシュタイン(EU各国を含めると50か国・地域)

13 日本、米国、EU、オーストラリア、カナダ、中国、韓国、香港、台湾、シンガポール、コスタリカ、ニュージーランド、ノルウェー、及びスイス(EU各国を含めると41か国・地域)

14 他の加盟国によるWTO協定に非整合的な措置によって不利益を被ったとする加盟国は、当事国間での協議を要請できる。この協議を通じても紛争が解決されない場合、問題をパネルに付託し、問題とされる措置と協定との整合性についてパネルで争うことができる。パネルによる法的判断に不服のある当事国は、最終審に相当する上級委員会に対して上訴を行い、同判断を争うことができる。1995年のWTO発足時から2014年末までの紛争案件数(協議要請が行われた件数)486件のうち、日本が当事国(申立国又は被申立国)として関わった案件は34件。なお、上級委員会は7人の委員で構成されており、委員の任期は4年(再任可能)。日本は1995年のWTO発足以降3人の委員を輩出している。

15 2012年7月、米国及びEUと同時にパネル設置を要請。輸出税、輸出割当て及びその管理に関する案件

16 2012年12月、EU及び米国と同時にパネル設置を要請。事前輸入宣誓供述制度、非自動輸入ライセンス及び輸出入均衡要求に関する案件

17 輸出価格が正常価格より低い場合にこれを不当な廉売としてその差額に関税を課す措置。2013年5月、パネル設置を要請。石炭火力発電所のボイラーなどに使用される高付加価値特殊鋼管に関する案件

18 特定の産品の輸入に対する緊急措置。2014年3月、パネル設置を要請。外国輸入車に対する関税引き上げに関する案件

19 紛争解決に関する規則及び手続に関する了解(Understanding on Rules and Procedures Governing the Settlement of Disputes)

20 中国香港、チャイニーズ・タイペイを含めたAPEC参加単位

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