外交青書・白書
第4章 国民と共にある外交

第2節 海外における日本人への支援

総論

海外に渡航する日本人は年間延べ約1,849万人(2012年)、海外に在住する日本人も約125万人(2012年10月現在)に上っている。これに伴い、日本人が海外において事件・事故に巻き込まれたり、自然災害や暴動などに遭遇する危険も増加し、多様化している。海外における日本人の生命・身体を保護し、利益を増進することは、外務省の重要な任務の1つである。

外務省は、海外におけるテロ・誘拐を含む事件や事故、戦乱や紛争、自然災害や感染症などに関する情報を国民に対して適時に提供するとともに、必要な安全対策をとるよう呼びかけてきている。また、危険に巻き込まれた日本人に対しては、可能な限りの支援を行えるように、その体制や基盤の強化に努めてきている。

さらに、外務省は、2013年1月に発生したアルジェリアにおける日本人等に対するテロ事件を教訓として、海外に在住する日本人及び海外の日本企業の安全確保策を強化すべく、様々な取組を進めている。

また、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)は、2013年5月に国会で承認された。これを受け、外務省は、外国において離婚訴訟や家庭内暴力(DV)などの問題を抱えている日本人が相談しやすくなるよう、在外公館の体制を整備するなどの取組を行っている。

日本国大使館や総領事館では、海外における日本人の生活を支えるために旅券(パスポート)や各種証明の発給、戸籍・国籍関係届出の受理、在外選挙の実施などの基本的な行政サービスを提供している。また、日本人学校や補習授業校への支援などを通じて、海外で暮らす日本人の生活基盤を支えている。このほか、日本との「架け橋」となって各国との関係緊密化にも貢献してきた日本人移住者や日系人への支援も併せて行っている。加えて、領事専門家の育成、領事事務のノウハウを蓄積するための研修の強化、先進IT技術の導入や官民協力のネットワーク強化、さらには一部業務の外部委託などの活用を通じ、日本人の安全の保護や利益の増進を担う領事業務がより充実したものとなるよう取り組んでいる。

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