1 海外への情報発信
(1)海外広報
日本についての海外への情報発信は、日本及び日本人への理解を深め、「日本ファン」を世界で増やしていくために極めて重要な取組である。外務省は、海外における対日認識を調査・分析し、各国・地域の特性を踏まえながら、日本の政策や社会・文化といった幅広い一般事情に関し、積極的に海外への情報発信を行っている。その際、外国のオピニオンリーダー(世論形成で主導的な役割を果たす人物)の日本への招へい、外国における講演会、広報誌や映像資料の制作、インターネットの活用(1)など多様な手段を活用している。また、外国人観光客の増加につながる日本の魅力の紹介やコンテンツ(情報)、デザイン、食などの分野における日本企業の海外展開に資する広報事業にも取り組んでいる。
(2)諸外国における日本についての論調と海外メディアへの発信
2013年は、アベノミクス、TPP協定交渉への参加等を始めとする安倍政権の政策、日中関係(特に、「東シナ海防空識別区」設定をめぐる緊張)、日韓関係、東日本大震災からの復興及び東京電力福島第一原子力発電所事故への対応などの諸分野に対して、海外メディアから高い関心が寄せられた。また、2020年の東京オリンピック招致についても、世界的に報じられた。
外交政策を進めていく上で、国際社会からの理解や支持を求めていくことは必要不可欠である。特に、日本やアジアへの関心が高まる中、海外メディアに対する戦略的かつ効果的な対外発信に努めていくことはますます重要となっている。
このため、外務省は総理大臣や外務大臣の外国訪問、G8・G20サミット、国連総会、APEC、ASEAN関連首脳会議などあらゆる外交機会を捉え、日本の立場や取組に関する積極的な発信に努めている。その際、政策スピーチによる発信を行うとともに、海外メディアに対し、記者会見やインタビュー、海外の新聞や雑誌への寄稿など、時宜を得た情報発信、メディアへの情報提供や取材協力等をきめ細かに行っている。
例えば、12月に日本で開催された日・ASEAN特別首脳会議に合わせて、ASEAN諸国のジャーナリストを招へいした。その際、同会議の取材以外にも、地方視察、政府関係者によるブリーフィング等の取材機会を提供した。その結果、同会議の成果だけでなく、様々な外交問題に対する日本の取組についても効果的に発信された。
日本の尖閣諸島をめぐる情勢や福島第一原発事故に関する汚染水問題、2013年12月の安倍総理大臣の靖国神社参拝などについては、海外メディアの事実誤認に基づく報道や、中国大使による批判的投稿も多く見られた。このため、在外公館や在京特派員を通じて速やかに反論投稿や申入れを行った。さらに、安倍総理大臣や岸田外務大臣による対面又は書面インタビューを実施することにより、正しい事実関係や日本の政策に関する基本的立場と主張について、理解と支持の拡大に努めた。
1 ウェブサイトとしては、「外務省ホームページ(英語)」(http://www.mofa.go.jp/)は日本の外交政策に関する情報を、「Web Japan」(英語、一部多言語)(http://web-japan.org/)は日本の一般事情を、それぞれ発信している。また、在外公館でも、全ての大使館・総領事館が独自のウェブサイトを開設し、現地の言語でも情報を発信している。そのほか、ソーシャルメディアの活用も進めている。