外交青書・白書
第3章 国益と世界全体の利益を増進する外交

第4節 日本への理解と信頼の促進に向けた取組

総論

現代では、政府以外のアクターも国際秩序形成にとって重要な存在となっており、世論が外交政策に与える影響力はますます高まっている。外交政策を効果的に実施するためには、日本の基本的な立場や考え方について効果的な対外発信を行うことが重要である。また、政府のみならず、各国の国民への直接的な情報発信や国民レベルでの交流の促進を通じて、日本への関心や親近感を高め、良好な対日イメージの形成に努めることが不可欠である。

対外的な広報の強化についてはSNSなどIT時代に即した広報を始め、紙媒体や電子媒体、又は画像や動画といった発信手段を活用し、発信言語も工夫しながら、広報を展開している。特に、領土保全の分野では各種資料(紙媒体、動画)を主要11言語で作成し、外務省ホームページなどで発信するなど、日本の立場及び主張の正当性についての理解と支持の拡大に向けて、積極的に取り組んでいる。また、海外のオピニオン・リーダー、ジャーナリストなどの、日本への招へいや日本人有識者の外国における各種講演会の実施などの支援を行っている。

外国における日本に対するイメージの向上のためにはソフトパワーを活用することが一層必要となっていることを踏まえ、伝統文化やポップカルチャーを含む多様な日本文化の紹介、国際交流基金を通じた海外での日本語普及などを行っている。

また、外務省は、スポーツを通じた国際交流活動を積極的に支援している。ブエノスアイレス(アルゼンチン)で開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会では、東京が2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市に選出された。今後、外務省は東京都、組織委員会、他の関係府省等と協力しつつ、2020年大会の成功に向けて準備を行っていく。また、同総会の場において詳細を発表した「Sports for tomorrow」プログラムを着実に実施し、スポーツを通じた国際貢献を行っていく。

カンボジアで開催された第37回世界遺産委員会において、日本が推薦した「富士山 -信仰の対象と芸術の源泉-」が世界遺産一覧表に記載されることが決定した。

さらに、無形文化遺産については、アゼルバイジャンで開催された第8回政府間委員会において、「和食;日本人の伝統的な食文化 -正月を例として-」の記載が決定された。

特集
領土保全に関する情報発信

領土保全に関する内外発信を強化することを目的に、日本の領土についての知識が少ない海外の一般市民や、世論への影響力を有する海外の有識者やメディア等に対し、客観的な事実に基づく「日本の基本的立場」及び「日本の主張の正当性」に関する理解を促すような、分かりやすい動画やフライヤー(説明紙)を11言語で作成している。これらは外務省ホームページにて公開するとともに、在外公館等を通じ、効果的な海外広報のため積極的に活用している。

尖閣諸島フライヤー
尖閣諸島フライヤー
竹島フライヤー
竹島フライヤー

2013年10月に公開した、尖閣諸島及び竹島に関する事実関係をそれぞれ説明した動画は、2014年1月末までに合計150万回以上の閲覧があった。2014年2月には日本海呼称問題に関する動画も公開している。今後も、日本の立場について正しい理解が更に深まるよう、分かりやすい資料を作成していく。

動画「世界が名付けた日本海」
動画「世界が名付けた日本海」
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