外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

2 中東和平

(1)イスラエル・パレスチナ間の直接交渉をめぐる動き

2013年、中東和平プロセスには、当事者間の直接交渉が約3年ぶりに再開されるという大きな動きがあった。

米国の第二次オバマ政権は、その発足と同時に和平交渉再開に向けた仲介努力を加速させた。3月にオバマ米国大統領がイスラエルとパレスチナを訪問したほか、ケリー米国国務長官がシャトル外交を繰り返した(2013年だけで約10回)。7月末には、イスラエルとパレスチナの両代表団が米国を同時訪問し、最初の交渉を行った。交渉期間は2014年4月末までの9か月間とされており、国境、安全保障、エルサレムの地位、難民帰還などのあらゆる問題の解決を目指し、当事者間の直接交渉と米国の仲介努力が継続されている。

(2)日本の取組

日本は、米国を始めとする国際社会と連携しながら独自の政策を推進している。

政治面では、7月に岸田外務大臣がイスラエルとパレスチナを訪問し、両首脳に和平実現を働きかけた。また、和平実現に向けた飯村中東和平担当特使(政府代表)による各国政府要人への働きかけのほか、双方の青年を日本に招へいする信頼醸成プログラムも実施している。

日本の対パレスチナ支援は、1993年以降、総額約13.8億米ドルに達している。特に日本独自の取組として、パレスチナの経済的自立に向けた「平和と繁栄の回廊」構想を推し進めている。2013年にはアジア諸国の支援を動員すべく、「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」を発足し、2回の関連会合を開催した。これら会合では、パレスチナへの人材育成支援の強化のためのメカニズムの設立やパレスチナと東アジアのビジネス関係者のネットワークを促進する施策の検討に合意しており、2014年の第2回閣僚会合での成果につなげることを目指すこととなった。

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