2 欧州地域機関との協力
(1)北大西洋条約機構(NATO)との協力
NATOは北米・欧州の加盟28か国の集団防衛を目的とする軍事同盟である。21世紀の課題に対応するために策定した新戦略概念に基づき、現在は、国際治安支援部隊(ISAF)によるアフガニスタン支援やソマリア沖での海賊対策等、加盟国の領土及び国民の安全保障上の直接の脅威となり得る域外の危機・紛争に対し、その防止・管理、紛争後の安定化などにも関与している。なお、ISAFは2014年末までに撤収し、アフガニスタン治安部隊などの能力構築を目的とする新たな任務が開始される予定である。
日本とNATOは基本的価値を共有するパートナーであり、NATOの新パートナーシップ政策に基づき関係強化を図っている。具体的には、2013年4月にラスムセンNATO事務総長が訪日し、安倍総理大臣との間で初めて日NATO共同政治宣言を発出し、更なる協力関係の強化を確認した。その後、サイバーなどの新規安全保障課題に関するシンポジウムや人道支援・災害救援に関する共同研究会の開催など、共同政治宣言に基づく具体的な協力が進んでいる。
さらに、日本は、NATOのアフガニスタン国軍(ANA)支援信託基金を通じ、アフガニスタン国軍の医療や教育に関する活動を支援している。また、平和のためのパートナーシップ(PfP)信託基金を通じ、タジキスタンの不発弾処理支援等に貢献している。このように、日本は、積極的平和主義の立場からNATOとの協力を推進する考えである。
(2)欧州安全保障協力機構(OSCE)との協力
OSCEは、欧州、中央アジア、北米57か国が加盟し、対話により加盟国地域の紛争予防・信頼醸成を図る地域安全保障機構である。日本は、1992年から「協力のためのアジア・パートナー」として関与している。2013年には、グルジア大統領選挙などに対しOSCEが実施する選挙監視団に専門家を派遣した。また、12月にウクライナで開催されたOSCE外相理事会に飯村豊政府代表が出席し、積極的平和主義に基づく日本の安全保障の取組につき発信した。日本は2014年、東京でOSCEと共催で「新たな課題に直面する世界においてより安全で連結され、公正な世界をつくるためのOSCEとアジアパートナーの経験と教訓の共有」をテーマに会議を開催予定であり、紛争予防・信頼醸成分野でOSCEと知見を共有し、OSCEと更なる関係強化に努める考えである。
(3)欧州評議会(CoE)との協力
CoEは、47か国が加盟する欧州の地域機構であり、民主主義、人権、法の支配の分野で国際社会の基準策定に重要な役割を果たしている。日本はアジアで唯一のオブザーバー国として、CoEの様々な会合に積極的に参加した。また、日本は11月に開催された「第2回世界民主主義フォーラム」(於:ストラスブール)に専門家を派遣し、また、12月に開催された「サイバー犯罪対策のための協力に関するオクトパス会議」(於:ストラスブール)を資金面及び専門家の派遣で支援するなど、CoEと具体的連携を進めている。