外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

第4節 欧州

総論

欧州は、言語、文化・芸術活動、有力メディアやシンクタンクの発信力などを背景に、国際世論に対して大きな影響力を有しており、経済面でも、欧州連合(EU)は、世界のGDPの23%を占め、大きな存在感を示している。また、欧州主要国は、国連安全保障理事会やG8等の国際的枠組みにおける主要なメンバーとして、国際社会による規範形成過程において大きな役割を果たしている。さらに、日本と欧州は、自由、民主主義、人権、法の支配など、基本的価値や原則を共有し、国際社会の平和と繁栄に向けて共に主導的な役割を果たす重要なパートナーである。日本が国際社会のパワーバランスの変化に対応しつつ「積極的平和主義」の考え方に基づく安全保障政策を推進するとともに、経済成長を実現し、国際的な規範作り、軍縮・不拡散、テロ対策などの地球規模の課題の解決に取り組む上で、欧州と協力していくことは極めて重要である。特に、欧州各国との二国間関係に加えて、EU、さらに北大西洋条約機構(NATO)、欧州安全保障協力機構(OSCE)などの欧州に拠点を置く地域機関との協力をより一層強化するとともに、「V4(ヴィシェグラード4)+日本」や「NB8(北欧・バルト8か国)+日本」など、欧州域内の地域的枠組みとの協力も推進し、日欧関係の幅を更に広げていく必要がある。こうした認識の下、2013年6月の安倍総理大臣によるポーランド、英国、アイルランド訪問、同月のオランド・フランス大統領の訪日を始め、首脳級・外相級の往来が活発に行われた。また、6月のG8首脳会合、9月の国連総会や11月のアジア欧州会合第11回外相会合(ASEM FMM11)などの国際会議の機会を捉えた首脳及び外相会談も活発に実施された。これらの機会を通じて、欧州との外交関係の強化だけでなく、各国首脳・外相との個人的信頼関係の構築に努めた。

EUとの関係では、2013年4月に日EU経済連携協定(EPA)及び戦略的パートナーシップ協定(SPA)の交渉が開始され、幅広い分野において有益な議論が行われてきている。2013年11月には、約2年半ぶりとなる第21回日・EU定期首脳協議が東京で開催され、日・EU首脳は経済、安全保障、グローバルな利益の各分野で協力を推進することに合意した。特に、日EU・EPAに対しては、双方の経済成長に資する取組として日欧の産業界から高い期待が示されている。このほか、欧州各国との間では、教育、文化、科学技術など幅広い分野で交流を促進し、また、具体的な協力を積み重ねることにより、相互理解の促進などを通じた重層的かつ緊密な関係の維持に努めている。

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