第5節 ロシア、中央アジアとコーカサス
アジア太平洋地域の戦略環境が変化する中、ロシアとの協力をあらゆる分野で進め、日露関係を全体として高めていくことは、日本の国益のみならず、地域の平和と繁栄にも資するものである。このような認識の下、2013年は、安倍総理大臣とプーチン大統領との間の4回の首脳会談、2回の外相会談を始め、様々なレベルで活発な対話が行われた。
2013年4月の安倍総理大臣の訪露においては、両首脳は平和条約問題の双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させることで一致した。また、安倍総理大臣には約120人から成る経済ミッションが同行し、両首脳は、新たな分野を含む協力の推進につき一致した。また、2014年を「日露武道交流年」とすることに合意するなど、この訪露は今後の日露関係に新たな弾みと長期的方向性を与えるものとなった。
11月には初の日露外務・防衛閣僚協議(「2+2」)を開催し、両国の安全保障・防衛政策や安全保障協力などについて意見交換を行った。
日露間最大の懸案である北方領土問題については、上述の両首脳間の合意を受け、8月の次官級協議で交渉が再スタートしたが、両国の立場には依然大きな隔たりがある。安全保障、経済、人的交流など幅広い分野で日露協力を進める中で、領土問題を解決して平和条約を締結すべく、引き続きロシアとの交渉に精力的に取り組む方針である。
中央アジア・コーカサス諸国は、アジア、欧州、ロシア、中東を結ぶ地政学上の要衝に位置し、石油、天然ガス、鉱物資源などの天然資源が豊富である。また、アフガニスタンの安定化、テロとの闘い、麻薬対策、武器の拡散防止といった国際社会が直面する課題に取り組んでいく上で、この地域の重要性はますます高まっている。
日本は、様々な要人往来を通じてこれら諸国との二国間関係強化を図るとともに、「中央アジア+日本」対話の枠組みを活用して中央アジアの地域協力を促進する取組を続けている。同対話が2014年に10周年を迎えることを念頭に、2013年には、地域協力の在り方について、様々な形での意見交換がなされた。