国際社会においては、民間有識者が前面に立って、各国の政府の公式見解に捕らわれない国際的政策論議を行い、これを踏まえて政府が政策を決定するという手法の活用が拡大しつつある。その意味において、外交・安全保障に関するシンクタンク(調査研究機関)や大学等の重要性が昨今、高まっている。
外務省は、日本の外交・安全保障関係シンクタンクが直面する課題を論じ、政府の支援のあり方を検討するため、2012年4月から8月まで「外交・安全保障に関するシンクタンクのあり方に関する有識者懇談会」(座長:田中直毅国際公共政策センター理事長)を開催し、その報告書は8月に外務大臣に提出された。同報告書では、シンクタンクの役割とシンクタンクの国際比較を提示し、日本の外交・安全保障シンクタンクの現状を分析した上で、シンクタンクの将来ビジョンを提言する内容となっている(本報告書は外務省ホームページに掲載されている。)。
外務省は、日本の外交・安全保障についての知的基盤を広げ、国民の幅広い参画を得た外交を推進することが、中長期的な外交力の強化につながるとの考えから、このような外交・安全保障分野のシンクタンクとの交流を深め、その育成や支援に努めることとしている。