冷戦後の安全保障環境が変容する中で、NATOは、国際社会の平和と安定のための取組として、国際治安支援部隊(ISAF)によるアフガニスタンでの活動や、ソマリア沖での海賊対策の活動などをNATOの域外において行っている。また、NATOは新戦略概念及び新パートナーシップ政策の下で域外のパートナー国との関係強化を図っている。このような動きを受け、5月のNATOシカゴ首脳会合の際に開催されたアフガニスタンに関する会合には、日本からも玄葉外務大臣が出席した。
日本とNATOは、基本的価値及びグローバルな安全保障上の課題の解決に向けた責任を共有するパートナーであり、政治的協議及び具体的な協力を着実に進展させている。12月のNATO外相会合においては、日本などの働きかけを受け、北朝鮮のミサイル発射を非難する北大西洋理事会声明が発出された。
アフガニスタンでは、多くの日・NATO協力が実施されており、日本が草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて非政府組織(NGO)などを支援する枠組みにより、16の地方復興チーム(PRT)と連携して135事業が実施されている(2012年12月現在)。また、日本は、NATOのアフガニスタン国軍(ANA)支援信託基金を通じ、アフガニスタンの治安維持を担うアフガニスタン国軍の医療や教育に関する活動も支援している。
その他のNATOとの協力として、NATO平和のためのパートナーシップ(PfP)信託基金への拠出を通じ、グルジアにおける爆発物処理チームの教育・訓練プロジェクトの支援などを行っている。
OSCEは、北米、欧州、中央アジアの57か国が加盟する世界最大の地域安全保障機構である。日本は、1992年から「協力のためのパートナー」として参加している。2012年も、OSCEの下部組織である民主制度・人権事務所(ODIHR)がウクライナ、グルジアなどに選挙監視ミッションを派遣した際、日本からも要員を派遣し、人的貢献を行っている。また、12月の外相理事会(於:アイルランド)には榛葉外務副大臣が出席し、日本の外交政策について発言した。
CoEは、47か国が加盟する欧州の地域機構であり、民主主義、人権、法の支配の分野で、国際社会の基準策定に重要な役割を果たしている。日本は、アジアで唯一のオブザーバー国として、様々な会合に積極的に参加しており、6月に開催された「サイバー犯罪対策のための協力に関するオクトパス会議」(於:フランス・ストラスブール)に対する支援も行ったほか、日・CoE協力の拡大のため、CoEからサイバー犯罪課長を招へいした。