カザフスタンでは、4月に前倒しで大統領選挙が行われ、1991年の独立以降一貫して大統領の職にあるナザルバエフ氏が、9割以上の得票で再選された。同国は順調な経済成長を背景に概ね内政は安定しているが、12月には同国西部のマンギスタウ州で石油労働者らのデモが発生し、治安部隊との衝突等により死傷者が出る事態に至った。キルギスでは、10月に、2010年4月の政変後初めてとなるキルギス大統領選挙が平穏に実施され、当時首相だったタムバエフ候補が約62%を得票して当選し、新政権が発足した。ウズベキスタンでは、引き続き安定的な政権運営が行われている中、経済は堅調に推移している。タジキスタンはアフガニスタンと国境を接しており、地域全体の安定性の観点から、その重要性を増している。また、トルクメニスタンは、引き続き天然ガス資源輸送ルートの多角化に取り組んでいる。
日本との関係では、2月にカリモフ・ウズベキスタン大統領が8年ぶりに日本を訪問し、菅総理大臣との間で首脳会談が行われ、鉱物資源の共同開発など経済関係の強化等を主な内容とする共同声明が署名された。また、5月には、日・カザフスタン原子力協定が発効した。8月には、ババノフ・キルギス第一副首相が訪日し、枝野官房長官や松本外務大臣と会談した。これらの会談において、日本はキルギスの民主化努力を引き続き支援していくとの姿勢を表明し、10月の大統領選挙の実施に際しては、選挙備品等を調達するため約3,100万円の緊急無償資金協力の実施や選挙監視要員の派遣を行った。
また、3月の東日本大震災に際しては、中央アジア各国政府・国民から、多数の見舞いと支援が寄せられた。
日本は、中央アジアが開かれた地域として発展するために地域協力を推進していくことが重要との考えから、「中央アジア+日本」対話を実施している。7月には、同対話枠組みで「日本・中央アジア経済フォーラム」(於:東京)を開催した。また、11月には、中央アジア5か国の外務次官等の出席を得て第6回高級実務者会合(於:東京)を開催し、2012年秋に東京で開催予定の「中央アジア+日本」対話・第4回外相会合に向けて、環境・省エネ、貿易・経済、ミレニアム開発目標、アフガニスタン安定化にも資する地域協力、防災等の分野で協力を推進していくことで一致した。