各論

1 2010年日本APEC開催

APECにおいて、2010年は自由で開かれた貿易と投資を達成するとのボゴール目標を先進国・地域が達成すべき期限であり、アジア・太平洋の今後の在り方を考える重要な節目の年であった。日本はAPEC議長として、「チェンジ・アンド・アクション」とのテーマを設定し、世界の政治・経済の構造が大きく変化する中で、APECがこれまでの実績を土台に、21世紀にふさわしい形で今後も重要な役割を果たし続けられるよう、必要な変革を構想し、それを具体的な行動に移すべく、一年を通じて日本各地でAPEC関連会合を開催し、議論を主導した。具体的には、まず、透明性と信頼性を確保しながらボゴール目標達成評価のプロセスを進めるとともに、①アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けたあり得べき道筋の検討を始めとした地域経済統合の推進、②アジア太平洋地域の長期的かつ包括的な成長戦略の策定、③食料安全保障、災害への備え、テロ対策を始めとした人間の安全保障の強化という形で優先課題を整理し、議論を深めた。

こうした議論の成果として、11月に横浜で行われた第18回APEC首脳会議において首脳宣言として「横浜ビジョン~ボゴール、そしてボゴールを超えて」を採択し、アジア太平洋地域の将来像として、より強固で深化した地域経済統合を促進し、より質の高い成長を実現し、より安全な経済環境を提供する共同体を目指していくことで一致した。

特に、地域経済統合については、まず、更に取り組むべき作業が残っているものの、2010年のボゴール目標達成評価対象国・地域が、目標達成に向けて顕著な進展を遂げたことが確認された。また、FTAAPの実現に向けて、ASEAN+3、ASEAN+6、TPP協定といった地域的な取組を基礎として更に発展させていくことで一致した。

また、APECとして初めての成長戦略を策定し、①均衡ある成長、②あまねく広がる成長、③持続可能な成長、④革新的成長、⑤安全な成長という5つの成長の特性を示した。同時に、APEC成長戦略を実施するための具体的な行動計画を策定し、人材・起業家育成、グリーン成長、食料安全保障などの分野で事業を実施することとされた。

なお、日本APECの会合においては、地元自治体などとの連携の下に、世界の役に立てる日本独自の技術、アイデア、文化、食事など「日本の強み」を生かしたおもてなしを行うとともに、日本の先端技術をアピールする展示を行うなど、日本の強みをアジア太平洋地域に発信した。

アジア太平洋経済協力(APEC)貿易担当大臣会合で演説する武正外務副大臣(中央)(6月6日・札幌)
アジア太平洋経済協力(APEC)貿易担当大臣会合で演説する武正外務副大臣(中央)(6月6日・札幌)
2010年日本APEC会合の開催地
2010年日本APEC会合の開催地
アジア太平洋経済協力(APEC)首脳による記念撮影(11月13日、横浜)
アジア太平洋経済協力(APEC)首脳による記念撮影(11月13日、横浜)
アジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議における前原外務大臣(前列左から2番目)(11月10日、横浜)
アジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議における前原外務大臣(前列左から2番目)(11月10日、横浜)

 

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