日本の対アフリカ外交は、アフリカ開発会議(TICAD)のプロセスを重要な柱としており、2008年5月に第4回会議(TICAD IV)を開催した。同会議では、日本による2012年までのアフリカ向けODA倍増、民間投資の倍増支援などを含む様々な支援策を「横浜行動計画」として発表した他、同計画の履行状況をモニターするためのフォローアップ・メカニズムを創設した。
フォローアップ・メカニズムについては、外務省アフリカ審議官組織内に設置されたTICADフォローアップ事務局が、「TICAD IV年次進捗報告」を作成し、外務省ホームページで公開するなど、「横浜行動計画」の履行状況に関する透明性を確保している。また、アフリカ諸国やドナー諸国などとともに、対アフリカ支援の進捗状況を確認し、今後の課題などを協議・評価するため、TICAD閣僚級フォローアップ会合を毎年アフリカにて開催している。
5月には、タンザニアで第2回TICAD閣僚級フォローアップ会合を開催し、65か国(うちアフリカから42か国、31名の閣僚級が出席)、45の地域・国際機関、NGO5団体、民間セクターなど、約430名が参加した。同会議では、経済・金融危機からの回復努力、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成、気候変動対策など、アフリカが直面する諸課題につき議論が行われた他、共同議長を務めた岡田外務大臣が、日本はTICAD IVの公約を必ず実行するとの決意を改めて表明した。これに対し、アフリカ諸国からは、日本が公約を着実に実行していることへの高い評価と謝意が示された。
日本は、アフリカ向けODA倍増及び民間投資倍増支援などのTICAD IVの公約を達成するため、2010年も引き続き積極的に取り組んだ。
8月下旬から9月上旬にかけて、日本・アフリカ間の貿易・投資促進を目的とする官民合同ミッションを南部アフリカ地域3か国(南アフリカ、アンゴラ及びナミビア)に派遣した。同ミッションは、藤村外務副大臣及び高橋千秋経済産業大臣政務官が代表を務め、官民(民間企業12社を含む)から約60名が参加し、訪問国の政府、企業関係者との意見交換や視察などを行った。
TICADは、開放性を持つ国際フォーラムであるという点が大きな特徴であり、これまで、国際連合、国連開発計画(UNDP)及び世界銀行との共催の形をとってきたが、8月のピンAU委員長の訪日を機に、AU委員会を新たな共催者として迎えた。日本は、これによって、TICADプロセスにおいてアフリカ自身がより積極的、かつ、建設的な役割を果たすことを期待している。これは、日本がTICAD発足当初から提唱してきたアフリカの「オーナーシップ(自助努力)」を重視するとの理念にも合致する。