2 中央アジア諸国

キルギスでは、4月に政変が発生し、バキーエフ大統領が辞任してオトゥンバエヴァ元外相を議長とする暫定政府が発足した。同国では6月にキルギス系とウズベク系の住民が衝突し、多数の死傷者が発生したが、暫定政府は、事態の沈静化を図りつつ、オトゥンバエヴァ移行期大統領に対する信任及び議会権限の強化を含む憲法改正案を国民投票に付し、それぞれ承認された。その後、10月に議会選挙が実施され、12月には連立政権が発足した。タジキスタンでは、2月に下院議会選挙が行われ、与党が勝利した。なお、両国の議会選挙には欧州安全保障協力機構(OSCE)/民主制度・人権事務所(ODIHR)選挙監視団として日本の要員も参加している。

カザフスタンでは、1年を通じOSCE議長国としての活動が活発に展開され、12月には首都アスタナにおいて11年ぶりとなるOSCE首脳会合が開催された。ウズベキスタンでは、引き続き安定的な政権運営が行われる中で、比較的高い水準の経済成長が維持されている。トルクメニスタンでは、イランとの間に追加的なガス・パイプラインが開通するなど天然ガス資源輸出ルートの多角化が着実に進められている。

日本との関係では、2月に「中央アジア+日本」対話の枠内で、物流インフラ整備をテーマに日本と中央アジアの有識者による第4回東京対話が開催された。また、8月には、同対話の第3回外相会合(於:ウズベキスタン・タシケント)が開催され(日本からは岡田外務大臣が出席)、この枠組みを通じて日本と中央アジア諸国が協力することの有用性が確認された。

要人往来については、中央アジア諸国から、3月のサウダバエフ・カザフスタン国務長官兼外相の訪日に続き、4月にはガニエフ・ウズベキスタン副首相兼対外経済関係・投資・貿易大臣が訪日し、貿易投資促進に向けた国際会議に参加した。また、11月には横路衆議院議長の招待によりムハメジャノフ・カザフスタン下院議長が、12月には西岡武夫参議院議長の招待によりソビロフ・ウズベキスタン上院議長が訪日し、それぞれ菅総理大臣への表敬などを行った。2011年2月には、カリモフ・ウスベキスタン大統領が8年ぶりに日本を訪問し、菅総理大臣との間で首脳会談が行われ、共同声明などの署名式が行われた。

日本からは、5月に菅副総理大臣兼財務大臣がアジア開発銀行(ADB)総会出席のためウズベキスタンを訪問し、8月には岡田外務大臣が「中央アジア+日本」対話第3回外相会合に合わせてウズベキスタン及びカザフスタンを訪問した他、伴野外務副大臣が11月にトルクメニスタン、12月にカザフスタンを訪問し、それぞれ第9回日本・トルクメニスタン経済合同会議(於:アシガバット)、OSCE首脳会合(於:アスタナ)に出席した。

9月の国連総会の際には、菅総理大臣が日・タジキスタン首脳会談、前原外務大臣が日・カザフスタン外相会談を行った。

「中央アジア・日本」対話第3回外相会合における岡田外務大臣(左から3番目)(8月7日、ウズベキスタン・タシケント)
「中央アジア・日本」対話第3回外相会合における岡田外務大臣(左から3番目)(8月7日、ウズベキスタン・タシケント)
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