軍縮・不拡散

オタワ条約第2回検討会議
(概要と評価)

平成21年12月7日

 対人地雷禁止条約(オタワ条約)の発効から10年間の道のりを評価し、今後の課題につき議論し、コミットメントを新たにするための第2回検討会議が、11月29日から12月4日にかけてコロンビア・カルタヘナで開催されたところ、概要と評価は以下の通り。

1.概要

(1)参加国等
108か国(全締約国は156か国)及び18の国際機関のほか、ICBL(地雷禁止国際キャンペーン)等のNGOも団体参加した。また、未締約国のうち、条約関連会合初参加となる米国のほか、中国、インド、ロシア等19か国がオブザーバー参加した。

(2)成果文書(各文書の英文の全文はこちら他のサイトヘをご覧下さい。)
検討会議における議論の結果、第1回検討会議(2004年)以降の条約の運用・締結状況を記録した「履行状況報告書」、残された課題に対して対処するための今後5年間の行動指針となる「カルタヘナ行動計画」及び締約国がコミットする内容を記載した政治的宣言「2009年カルタヘナ宣言」の3つの文書が採択された。

(参考1)「カルタヘナ行動計画」概要(※全文の仮訳はこちらをご覧下さい。)
 締約国が、次の5年間(2010-2014年)に実施する67のアクション(行動)を示したもの。

  1. 条約の普遍化と、対人地雷の禁止・抑制をすすめる。(Action#1-#6)
  2. 貯蔵地雷の廃棄をすすめ、状況を報告する。(Action#7-#12)
  3. 汚染地域の地雷除去のため最大限努力し、国家戦略や予算を見直す。(Action#13-#22)
  4. 地雷犠牲者に年齢や性別の配慮した支援を行う。適切な計画と予算を確保する。(Action#23-#33)
  5. 支援が必要な国は支援ニーズを洗い出して国家計画を作成する。可能な締約国は要請に応じて支援を実施する。国際機関、地域機構、NGOとも協力関係を強化する。(Action#34-52)
  6. 条約の遵守状況につき然るべく報告を行う。条約実施のための市民社会等の役割を支援する。条約実施のための必要な貢献を行う。(Action#53-67)

(参考2)「2009年カルタヘナ宣言」概要(全文の仮訳はこちらをご覧下さい。)

  1. 1999年に条約発効して10年の間に、締約国数は156となり、4200万発以上の地雷が廃棄・除去され、対人地雷による死傷者数は相当減少した。
  2. 他方、未だ年間数千人の人々が死傷し、非締約国や武装集団は対人地雷を使用している。
  3. 我々は、犠牲者支援、地雷除去、貯蔵地雷廃棄をすすめ、地雷無き世界のために共通の約束(コミットメント)を行うよう世界に訴える。

(3)我が国の対応
 我が国からは須田軍縮代表部大使が首席代表として出席し、一般スピーチに加え、犠牲者支援国際協力条約普及の各項目でスピーチを実施した。それらの中で、これまでの支援を通じて得た教訓と、今後の支援の方向性として、1)被害国(者)とのパートナーシップ重視、2)産・官・学・民一体の地雷問題への取組、3)n雷対策と、被害地域の開発の包括的アプローチについて表明した。
 また、我が国の産官学民一体の取組と普遍化に向けた取組について、国際社会にアピールする観点から、「犠牲者支援シンポジウム:支援の現状と今後の取組」及び「オタワ条約・オスロ条約普遍化シンポジウム」)をNGOと共催したほか、日本製地雷除去機の展示およびデモンストレーション、会議場での地雷探知機の実機材展示、技術開発関連資料の展示及び解説、英文パンフレットの配布を実施した。

2.評価

(1)「カルタヘナ行動計画」及び「2009年カルタヘナ宣言」の採択により、犠牲者支援の社会・経済への統合、迅速な除去活動による開発や人間の安全保障の確保等、今後5年間の具体的行動が明らかとされた。

(2)我が国は、スピーチ、機材展示およびシンポジウム開催により、我が国の技術を活かした産官学民一体の取り組みを紹介し我が国の貢献をアピールし、極めて高い存在感を示したとの評価を得た。

(イ)地雷分野での国際協力促進に向けた積極姿勢のアピール
 我が国として、対人地雷問題に関して引き続き着実な支援を行っていく旨表明し、問題解決に向けて精力的に取り組む姿勢を強く印象づけた。

(ロ)地雷除去・探知技術を生かした貢献に関するアピール
 展示やスピーチを通じて、我が国の技術力を活かした日本製地雷除去機や探知機が被害国の除去活動を加速化している実例を示し、我が国独自の支援例を紹介した。

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