国連外交
岸田総理大臣の第78回国連総会出席
令和5年10月19日
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
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- 岸田総理大臣は、9月19日(火曜日)から21日(木曜日)(現地時間)まで、第78回国連総会出席のためニューヨークを訪問しました。
- 滞在中、岸田総理大臣は、国連総会において一般討論演説を行ったほか、FMCTハイレベル記念行事、SDGサミット2023、効果的な多国間主義とウクライナ情勢に関する安保理首脳級会合等に出席しました。また、各国首脳との会談などを行いました。
1 主要行事の結果概要
(1)一般討論演説 (9月19日(NY時間。以下同じ。))
岸田総理の国連総会における一般討論演説の概要は以下のとおりです。
- 冒頭、岸田総理から、世界が歴史の転換点にある中、SDGsは大きな課題に直面し、ウクライナ侵略は継続していることを指摘し、分断・対立ではなく協調に向けた世界を目指したいとして、国連を中核においた強く実効的な多国間主義に改めてコミットすることを呼びかけました。
- その上で、岸田総理から、国際社会が複合的危機に直面し、分断を深める中、人類全体で語れる共通の言葉として「人間の尊厳」に改めて光を当てることで、国々の体制や価値観の違いを乗り越えて、「人間中心の国際協力」を着実に進めていくことができるのではないかと述べました。この点、岸田総理から、我々が目指すべきは、脆弱な人々も安全・安心に住めるような、「人間の尊厳」が守られる世界であると述べました。
- 岸田総理から、このような「人間の尊厳」を守り・強化するための国際協力の一つとして、核軍縮の流れを確実に進めていくこと、カットオフ条約(FMCT)への政治的関心を再び集めること、核兵器国と非核兵器国の間の議論を促進すべきこと等の重要性を訴えつつ、新たに30億円を拠出して「核兵器のない世界に向けたジャパン・チェア」を設置することを表明しました。
- また、紛争下における女性・子どもの安全、人間の尊厳と両立するデジタル化、ネット・ゼロ実現までの人々への負担の軽減、次の感染症への備えといった課題について日本の立場を発信しました。さらに、脆弱な国・人々が平和に生きる権利を守るべく、法の支配の重要性を強調しました。また、強固な国連を実現すべく、安保理改革等の取組について日本の立場を発信しました。
- 最後に、岸田総理から、「人間の尊厳」こそが、2030年以降の国際目標を今後検討する上でも、国際社会の未来を照らす中核的な理念となるべきことを指摘しつつ、「人間の尊厳」を強化するため、力を結集し、「協調のための国連」を実現したい旨の決意を述べました。
(2)二国間会談等
- ア
- 日イラン首脳会談(9月20日)
現地時間9月20日、午前9時50分(日本時間20日午後10時50分)から約40分間、岸田総理は、セイエド・エブラヒーム・ライースィ・イラン・イスラム共和国大統領(H.E. Ayatollah Seyyed Ebrahim RAISI, President of the Islamic Republic of Iran)と日・イラン首脳会談を実施しました。
岸田総理から、イランとの長年にわたる伝統的友好関係に基づき、中東地域の緊張緩和と情勢安定化に向けて外交努力を継続する考えである旨述べ、ライースィ大統領から、日・イラン関係を様々な分野で拡大していきたい旨述べました。
両首脳は、イラン核合意をめぐる状況、ALPS処理水の海洋放出、ロシアによるウクライナ侵略や、中東情勢、東アジア情勢、海上安全保障等について、意見交換を行いました。 - イ
- 日モンゴル首脳ワーキングランチ(9月20日)
現地時間9月20日、午後1時10分(日本時間21日午前2時10分)から約60分間、岸田総理は、オフナー・フレルスフ・モンゴル国大統領(H.E. Mr. Ukhnaa KHURELSUKH, President of Mongolia)とワーキング・ランチを行いました。
岸田総理から、外交関係樹立50周年の昨年(2022年)11月のフレルスフ大統領訪日時に両国関係を「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」へ格上げすることで一致したことに言及しつつ、普遍的価値を共有する日本とモンゴルは、地域・国際社会においても協力していく必要がある旨述べました。
また、両首脳は、同訪日の際に発出した「日本とモンゴルの行動計画(2022年~2031年)」に基づき、各分野の協力案件が着実に進展していることを確認するとともに、地域・国際情勢についても幅広く率直な意見交換を行いました。
(3)多国間会合等
- ア
- FMCTハイレベル記念行事への出席(9月19日)
現地時間9月19日、午後2時(日本時間20日午前3時)から約1時間、岸田総理は、「核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)ハイレベル記念行事」をマナロ・フィリピン外相及びウォン豪州外相とともに開催しました。
この会合では、核兵器国及び非核兵器国双方から閣僚・政府高官の参加があり、発言者から交渉開始へのコミットメントやその重要性が強調される等、FMCTに対する政治的な関心を再び集める契機となりました。 - イ
- SDGサミット2023への出席(9月19日)
現地時間9月19日、午後3時(日本時間20日午前4時)から、岸田総理は、「SDGサミット2023」に出席しました。
この会合では、国際社会全体でのSDGs達成に向けた進捗が停滞する中、我が国として国際社会のSDGs達成に向けた取組を力強く牽引し、その先の未来を切り開いていくとの決意を明確に示しました。 - ウ
- 効果的な多国間主義とウクライナ情勢に関する安保理首脳級会合への出席 (9月21日)
現地時間9月20日、午前11時(日本時間21日午前0時)から約95分間、岸田総理は、効果的な多国間主義とウクライナ情勢に関する安保理首脳級会合に出席しました。
岸田総理は、ロシアによるウクライナ侵略を改めて強く非難するとともに、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くためには、国連憲章の原則に基づく包括的、公正かつ永続的なウクライナの平和を実現させる重要性を強調しました。
また、岸田総理は、ロシアの侵略が引き起こした問題により苦しむ人々の尊厳を守り、支援を継続することを確認するとともに、「協調の精神に根ざした多国間主義」を目指す決意を示しました。
さらに、岸田総理大臣から、今こそ、国連設立以来、国連加盟国が積み上げてきた、国連憲章を始めとする揺るぎない原則に立ち返り、分断や対立ではなく協調の世界を目指すべきであり、安保理改革を含め国連の機能強化に向け、未来サミット、国連創設80周年を見据え、今こそ具体的行動に移るべきときであると訴えかけました。 - エ
- G7保健フォローアップ・サイドイベントへの出席(9月21日)
現地時間9月21日、午前8時(日本時間21日午後9時)から、岸田総理は、「G7保健フォローアップ・サイドイベント」に出席しました。
G7広島サミットでは、新型コロナの教訓を踏まえ、「感染症危機対応医薬品等(MCM)への公平なアクセスのための広島ビジョン」を発表し、その具体的取組の一つとして 「MCMに関するデリバリー・パートナーシップ(MCDP)」を立ち上げました。本サイドイベントでは、これら取組の進展をフォローアップした他、民間資金動員促進を視野にサミットで承認した国際保健におけるインパクト投資イニシアティブ(トリプルI)が立ち上げられました。
岸田総理は、MCMへの公平なアクセスとインパクト投資促進の推進を発信するとともに、途上国がパンデミックへの予防・備え・対応に必要な資金を機動的・効果的に動員できるよう、新たな円借款制度創設を発表しました。
本イベントには、G7、タイ、ジョージア、バングラデシュ、ブラジル等の首脳級・閣僚級、WHO、世銀、UNICEF等の国際機関の長、ビル・ゲイツ氏等が参加し、UHC達成とPPR強化へのコミットメントを再確認するとともに、国際保健の分野における日本のリーダーシップが評価され、今後も協力して取組を進めていくことが確認されました。 - オ
- UHCハイレベル会合出席(9月21日)
現地時間9月21日、午前11時10分(日本時間22日午前0時10分)から、岸田総理は、「UHCハイレベル会合」に出席しました。
日本は、2019年9月の第1回UHCハイレベル会合では2030年までに全ての人々に基礎的医療を提供すること、医療費支払いによる貧困を根絶すること等の目標を含む政治宣言採択に貢献しました(安倍総理(当時)が登壇)。また、日本は同会合を契機に設立された国連UHCフレンズ・グループの共同議長を務めるなど、UHCに関する国際場裡の議論を主導しました。
G7広島サミットでの成果を踏まえつつ、UHCをはじめ国際保健外交を牽引してきた日本の総理として、岸田総理が本会合でステートメントを行い、2030年までのUHC達成に向けた更なる決意を示しました。
(4)その他
- ア
- 2023年グローバル・ゴールキーパー賞授賞式(9月20日)
現地時間9月20日午前9時(日本時間午後10時)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の主催により、2023年グローバル・ゴールキーパー賞授賞式が開催され、岸田総理が2023年グローバル・ゴールキーパー賞を受賞しました。
G7広島サミットにおける保健分野を中心とした日本のリーダーシップ及び国際保健分野における長年にわたる多大な貢献等が、受賞理由とされました。
岸田総理は受賞スピーチで、議長国としてまとめたG7広島サミットの保健分野での成果及び日本のこれまでの貢献に触れつつ、様々なステークホルダーとともに世界全体のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成及び将来の健康危機への予防・備え・対応の強化に引き続き貢献していく旨述べました。 - イ
- 日本人国連関係機関職員激励会(9月20日)
現地時間9月20日、午後6時半(日本時間21日午前7時半)から約10分間、岸田総理は、国連関連機関の日本人職員を激励しました。
岸田総理は、日本人職員が世界の平和・安定と繁栄のために最前線で奮闘されていることを、日本の総理大臣として、心から誇りに思うとともに、日本政府として、日本人職員が一層活躍できるよう、最大限支援をしていく旨述べました。 - ウ
- アトランティック・カウンシル「グローバル市民賞」授賞式(9月20日)
現地時間9月20日、午後7時半(日本時間21日午前8時半)から約30分間、岸田総理は、アトランティック・カウンシル主催の「グローバル市民賞」授賞式に出席しました。
岸田総理は、受賞の挨拶において、平和への誓いの象徴である広島でG7サミットを開催したことに触れ、G7及び各国首脳が直接被爆の実相に触れたことの意義や、平和に向けた取組を先導する決意を強調しました。 - エ
- ニューヨーク経済クラブ主催による岸田総理大臣講演(9月21日)
現地時間9月21日、午後1時20分(日本時間22日午前2時20分)から約120分間、岸田総理は、ニューヨーク経済クラブ主催による講演を行うとともに、米企業幹部等との意見交換を行いました。
2 日程
9月19日(火曜日)
- ニューヨーク着
- FMCTハイレベル記念行事
- SDGサミット2023
- 一般討論演説
9月20日(水曜日)
- 2023年グローバル・ゴールキーパー賞授賞式
- 日イラン首脳会談
- 効果的な多国間主義とウクライナ情勢に関する安保理首脳級会合
- 日モンゴル首脳ワーキングランチ
- 内外記者会見
- 日本人国連関係機関職員激励会
- アトランティック・カウンシル「グローバル市民賞」授賞式
9月21日(木曜日)
- G7保健フォローアップ・サイドイベント
- UHCハイレベル会合
- ニューヨーク経済クラブ主催による岸田総理大臣講演
- ニューヨーク発