ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)
裁判外紛争解決手続(ADR)機関による協議のあっせん
令和7年9月19日
1 話し合いによる解決を希望する方のための「協議のあっせん」の支援
子の連れ去りや子との交流に関する問題を解決するためには、両親が自発的に話し合い友好的な解決を図ることが、子どもの福祉の観点から非常に有益です。
そのため、外務省ハーグ条約室では、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「実施法」といいます)第9条に基づき、外国返還援助申請又は日本国面会交流申請した者と相手方(以下、申請者と相手方を併せて「当事者」といいます)に対し、外務省が委託している裁判外紛争解決手続(ADR: Alternative Dispute Resolution)機関を紹介し、ADR機関の利用費用を援助する支援を行っています(委託先リストはこちら)。
2 ADR機関による協議のあっせん
- 「ADR機関による協議のあっせん」とは、公正中立な第三者の仲介のもと当事者が話し合う機会を設け、当事者間の争いを解決に導こうとする制度です。
- 子の返還や子との交流について争っている場合、当事者の関係は、円満ではないことが一般的です。何をどのように話し合ったら良いのか、どういったことを決めなければならないのか見当がつかず、当事者だけで話合いを行い友好的な解決を図ることが困難なケースが多くあります。
しかし、当事者双方に、子どものために話合いで解決を図りたいという意思がある場合、ADR機関による協議のあっせんを利用することが可能です。ADR機関による協議のあっせんは、(1)リモートで参加できる、(2)両当事者の都合に合わせて期日の設定ができる、(3)外務省の支援があるので一定の限度額まで無料で利用できる、(4)子の返還や子との交流に関する取決め以外にも、監護権や養育費など、様々な条件を含めて協議を行うことができる(但し、返還及び交流以外の合意事項については別途費用負担が生じる場合があります)というメリットがあります。また、あっせん手続において和解が成立した場合に、事後的に一定の手続を経ることによって、和解の合意内容を基にして強制執行が可能となる場合もあります。 - なお、(1)相手方に出席を強制できない(あっせんに応じると言っていた相手方が翻意して欠席してしまうと、協議・解決ができない)、(2)合意しても和解契約書しかないと、合意が破られてもすぐに強制執行ができない、といった点にはご留意ください。
3 ADR機関を利用した協議の大まかな流れ

ADR機関を利用した協議の大まかな流れは次のようなものです。但し、ADR機関により、手続に違いがありますので、詳細は、直接、個別のADR機関にお問合せください(各ADR機関の特色等はこちら(PDF))。
4 (参考)国際家事共同調停に関する取組
外務省では、以上のADR機関の紹介とは別に、国内のADR機関と協力して、他の締約国のADR機関と連携した任意の解決手続に向けた調査等の取組を行ってきました。
参考資料として、これまでの取組に関する報告書等を掲載します。
- 愛知県弁護士会とシンガポールADR機関(SMC)との間の共同調停についての覚書及び調停手続参加同意書(2019年3月)(英語)(PDF)
- 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)に係る当事者間の日星二国間共同調停」に関する調査報告書(2018年3月)(PDF)
- 愛知県弁護士会と英国ADR機関(Reunite)との間の共同調停についての覚書及び調停手続参加同意書(2017年8月)(英語)(PDF)
- 第一東京弁護士会とドイツADR機関(Mikk)との間の国際家事共同調停に関する合意書及び手続参加同意書(2016年2月)(英語)(PDF)
- 日本仲裁人協会「ハーグ条約に係る当事者間の二国間共同調停に関する委託調査報告書」(2015年3月)(PDF)
/別添資料(英語)(PDF)