ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)

令和3年8月25日

1 子の連れ去りにより起こりうること

(1)ハーグ条約によって子が元々住んでいた国に戻される可能性があります

 ハーグ条約では、国境を越えて子が不法に連れ去られた場合には、原則として、元の居住国に子を迅速に返還することになっています(場合によっては、子を返還しなくてもよいと裁判所が判断することもあります。ハーグ条約の概要についてはこちらを御覧ください)。
 したがって、一方の親がもう一方の親(親権者等監護権を有する者)の同意を得ることなく国境を越えて子を日本または海外へ連れて行った場合であっても、もう一方の親がハーグ条約に基づいて子を返還するように申請する場合には、子は原則として元の居住国に戻されます。

(2)刑事訴追を受ける可能性があります

(ア)子の連れ去りの違法性

 日本においては、親による子の連れ去りは略取又は誘拐の罪にあたるような場合を除き犯罪を構成しませんが、国によっては、父母の双方が親権を有する場合に、一方の親が、子をもう一方の親の同意を得ずに国外に連れ出すことを刑罰の対象としていることがあります(国によっては州外に連れ出す場合でも刑事罰の対象となる可能性があります。)。実際に、居住していた国への再入国に際し、子を誘拐した犯罪被疑者として逮捕されたり、ICPO(国際刑事警察機構)を通じて国際手配されたりする事案も生じています。
 子を連れて国外へ移動することを考えている方は、御自分の滞在国の法制度を御確認の上、行動してください。

(イ)ハーグ条約との関係

 ハーグ条約は、子の利益の観点から、あくまでも国境を越えた子の不法な連れ去り等が生じた場合に原則として連れ去り前に居住していた国に子を返還するための手続について定めたものであり、子を不法に連れ去った親に対する刑事訴追その他の事項については何ら規律するものではありません。

2 未成年者の旅券発給申請における注意点

未成年者の日本国旅券発給の申請時には、双方の親の同意が必要です

  • 未成年の子に係る日本国旅券の発給申請については、親権者である両親のいずれか一方の申請書裏面の「法定代理人署名」欄への署名により手続を行っています。ただし、もう一方の親権者から子の旅券発給に同意しない旨の意思表示があらかじめ都道府県旅券事務所や在外公館に対してなされている場合等、両親の同意が推定できないときは、旅券の発給は、通常、当該申請が両親の合意によるものとなったことが確認されてからとなります。このため、一方の親権者から不同意書の提出があった場合は、子の旅券発給にあたり、都道府県旅券事務所や在外公館では、通常、子の旅券発給についてあらかじめ不同意の意思表示を行っていた側の親権者に対し、同人が作成(自署)した「旅券発給同意書」の提出意思をお尋ねし、同意書の提出が行われた後に旅券を発給しています。
  • なお、一方の親による不法な子の連れ去りを防ぐためには子の旅券をしっかり管理することが重要ですが、一方の親が不正に子の旅券の新規発給を申請し、子を不法に国外に連れ去る事案が複数発生しております。一方の親による子の不法な国外への連れ去りの恐れがある場合は、事前に旅券発給不同意書をご提出ください。
  • 不同意の意思表示は、都道府県旅券事務所又は在外公館に出頭の上、親権者であることを証明する資料(戸籍謄本等)を添付の上、書面で行う必要があります。提出書類等の詳細は、旅券発給不同意書を提出する都道府県旅券事務所又は在外公館までお問合せください。
  • 上記1(2)のとおり、国によっては、父母の双方が親権を有する場合に、一方の親が、子をもう一方の親の同意を得ずに国外に連れ出すことを刑罰の対象としていることがあります。実際に、居住していた国への再入国に際し、子を誘拐した犯罪被疑者として逮捕されたり、ICPO(国際刑事警察機構)を通じて国際手配されたりする事案も生じており、そのように国内法で子の連れ去りを犯罪としている国に所在する在外公館では、在留邦人の皆様がこのような不利益を被ることを予防する観点から、子の旅券申請の際には、他方の親権者の不同意の意思表示がない場合であっても、旅券発給に関する両親権者の同意の有無を口頭にて確認させていただいております。

3 DV被害にあわれている方へ

 国内外で配偶者の暴力(ドメスティック・バイオレンス:DV)について相談できる場所がありますので、御心配なことがある方は、御活用ください。DVから逃れるため、やむにやまれずお子さんを連れて外国に移動しようとする場合であっても、刑事訴追されるなどのおそれがありますので、十分にご注意ください。

(1)外国における支援 (海外に住む日本人に対する支援)

(ア)大使館・総領事館

 大使館・総領事館では、例えば在留邦人のDV被害者等に対して以下の支援を行っています。

  • 相談記録の作成
    家族問題(DV、子の連れ去り、離婚問題等)に関し、大使館・総領事館に相談いただいた場合には、大使館・総領事館は相談内容の記録を作成します。日本の裁判所からの求めや、相談者御本人の希望があれば、その記録を提供することが可能です。
  • 現地関係機関への通報・支援要請(安全が懸念される場合)

 (注)家族法や渉外民事に詳しい弁護士やその国で利用可能な支援、福祉サービス等の情報を提供できることもあります。
 各在外公館による支援の一覧は、こちらを御参照ください。

(イ)DV被害者支援団体

 海外でDV被害にあわれている在留邦人の方が日本語で相談することができるよう以下の団体との間で在外公館が委託契約を結んでいます。カウンセリング、電話相談、DV関連の法律や裁判制度に関する情報提供等を行っています。
 英語でスタッフが対応した場合は、日本語での支援が必要な旨お伝えください。

アメリカ
ウーマンカインド別ウィンドウで開くWomankind):在ニューヨーク日本国総領事館別ウィンドウで開く
TEL:888-888-7702 (週7日24時間対応) (注)月曜日~金曜日 9時00分~17時00分のみ日本語対応可
リトル東京サービスセンター別ウィンドウで開くLittle Tokyo Service Center):在ロサンゼルス日本国総領事館別ウィンドウで開く
TEL:213-473-3035 (月曜日~金曜日 9時00分~17時00分) (注)日本人スタッフ常駐
NPO法人日系ボストニアンサポートライン(JB Line, Inc.)別ウィンドウで開く在ボストン日本国総領事館別ウィンドウで開く
TEL:781-296-1800 メール help@jbline.org(週7日24時間対応) (注)日本人スタッフ常駐
API Chaya(APIC)別ウィンドウで開く在シアトル日本国総領事館別ウィンドウで開く
TEL:206-325-0325 (ヘルプライン)、877-922-4292 (フリーダイヤル)
(月曜日~金曜日 10時00分~16時00分) (注)日本人スタッフ常駐
アジアン・アゲインスト・ドメスティック・アビュース(AADA)別ウィンドウで開く在ヒューストン日本国総領事館別ウィンドウで開く
TEL:713-339-8300(週7日24時間対応)
(注)月曜日~金曜日 9時00分~13時00分のみ日本語対応可
ドメスティックバイオレンスアクションセンター(DVAC)別ウィンドウで開くDomestic Violence Action Center):在ホノルル日本国総領事館別ウィンドウで開く
TEL:808-531-3771(オアフ島)、800-690-6200(オアフ島外)
(月曜日~金曜日 8時30分~16時30分) (注)日本人スタッフ常駐
カナダ
ジャパニーズ・ソーシャル・サービス(JSS)別ウィンドウで開くJapanese Social Service):在トロント日本国総領事館別ウィンドウで開く
TEL:416-385-9200 (月曜日~金曜日 10時00分~18時00分) (注)日本人スタッフ常駐
YWCAモンローハウス:在バンクーバー日本国総領事館別ウィンドウで開く (Facebook別ウィンドウで開く
TEL:604-209-1808 (月曜日~金曜日 10時00分~17時00分) (注)日本人スタッフ常駐

(注)日本から電話をする場合は、国番号(1)を押してから電話番号を押してください。

オーストラリア
IWSS(Immigrant Women's Support Service別ウィンドウで開く在ブリスベン日本国総領事館(PDF)別ウィンドウで開く
TEL:07-3846-3490 メール:mail@iwss.org.au (月曜日~金曜日 9時00分~16時00分)
(注)月曜日・火曜日:9時00分~16時00分、金曜日:13時00分~16時00分のみ日本語対応可

(注)日本から電話をする場合は、国番号(61)を押してから電話番号を押してください。

英国
Bromley & Croydon Women's Aid別ウィンドウで開く在英国日本国大使館別ウィンドウで開く
TEL:020-8313-9303 メール:kumiko.b@bcwa.org.uk
(月曜日~金曜日 9時00分~16時00分)(注)日本人スタッフ常駐

(注)日本から電話をする場合は、国番号(44)を押してから電話番号を押してください。

ドイツ
frauenberatungsstell dusseldorf e.V.別ウィンドウで開く:在デュッセルドルフ日本国総領事館
TEL:0170-657-0130(月曜日・水曜日:14時00分~18時00分、火曜日・木曜日・金曜日:10時00分~14時00分)
(注)水曜日:14時00分~18時00分、木曜日・金曜日:10時00分~14時00分のみ日本語対応可

(注)日本から電話をする場合は、国番号(49)を押してから電話番号を押してください。

(ウ)外国のDVに関する法制度等について

 主要なハーグ条約締約国のDVに関する法令等についての報告書は、こちらを御参照ください。(参考情報として掲載するものであり、外務省としてその内容の正確さを保証するものでないことに御留意ください。)

(2)日本国内における支援

(ア)ハーグ条約室

DV等の理由でお子さんを連れて国外に移動することを御検討している方またはすでに移動された方で、ハーグ条約について知りたいことや心配なことがある場合はハーグ条約室まで御連絡ください。専門の職員がハーグ条約について御説明します。すでに申請がなされた当事者の方でも心配なことがある場合は御連絡ください。

(注)一方の親からもう一方の親への暴力があったとしても、お子さんを元の居住国に返還しなくても良いという裁判所の決定が出るとは限りません。

外務省ハーグ条約室

TEL:03-5501-8466 (平日 9時00分~17時00分(12時30分~13時30分を除く))
E-mail:hagueconventionjapan@mofa.go.jp

(イ)その他

 DV被害に関する相談窓口として、配偶者暴力相談支援センター(PDF)別ウィンドウで開く(注1)があります。また、法的トラブルでお悩みの方が相談できる場所として、全国の弁護士会別ウィンドウで開く(注1)または法テラス別ウィンドウで開く(英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語対応可)があります。
 日本中央当局では、希望があった上記団体等に対してハーグ条約に関するセミナーを行っています。

(注1)多言語による支援を行っている団体もあります。直接、お問合せください。

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