ポルトガル共和国
日・ポルトガル首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
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安倍晋三内閣総理大臣は,本27日午後6時から午後8時50分まで,公式実務訪問賓客として訪日中のペドロ・パッソス・コエーリョ・ポルトガル共和国首相(H.E.Mr. Pedro Passos Coelho,Prime Minister of the Portuguese Republic)と首脳会談等を行いました。概要は以下のとおりです。
1 日・ポルトガル首脳会談及び夕食会
(1)冒頭
安倍総理大臣から,昨年5月のポルトガル訪問から1年も経たないうちにパッソス・コエーリョ首相の訪日が実現したこと,25年ぶりのポルトガル首相の訪日であることに対する歓迎の意を述べるとともに,海洋国家としての共通の歴史を持つ両国が幅広い分野で協力を進めていきたい旨述べました。
これに対し,パッソス・コエーリョ首相から,両国ともに財政構造改革を進め,経済を成長軌道に乗せることを実現した旨述べつつ,ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)への日本側の参加によって,二国間関係のみならずCPLPの活用を通じて幅広く協力を進めていきたい旨の意向が示されました。
(2)政治・安全保障関係
安倍総理大臣から,「積極的平和主義」の立場から国際社会の平和と安定に一層貢献していく決意であり,そのために安保法制の準備を進めていることを説明しました。更に,安倍総理大臣から,海洋を国の発展基盤としてきた両国にとり,海洋における法の支配と安全保障の確保は重要であるとして,海賊対策での連携や,NATO演習へのオブザーバー参加等を通じ,海洋の安全保障協力を強化したい旨述べるとともに,ポルトガル主催の国際会議「ブルー・ウィーク」への出席を通じて,海洋分野における協力を強化したい旨述べました。
これに対し,パッソス・コエーリョ首相からは,海洋国家として海洋に関する諸権利が重要であるとしつつ,国連海洋法条約に則って対応する必要性について発言があり,また,日本が「ブルー・ウィーク」への出席を検討していることに対して歓迎の意が表明されました。
また,パッソス・コエーリョ首相からは,シリアにおける邦人殺害テロ事件に関する弔意の表明があり,両者は,価値観を共有する両国がテロとの闘いに協力して取り組んでいくことを確認しました。
(3)経済関係
安倍総理大臣から,日EU経済連携協定(EPA)の本年中の大筋合意の実現を目指したい旨述べました。また,日本貿易振興機構(JETRO)とポルトガル投資貿易振興庁(AICEP)の協力覚書署名や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が関与するするスマート・コミュニティ実証事業の決定を踏まえ,両国の経済関係の促進に期待する旨述べました。
これに対し,パッソス・コエーリョ首相から,二国間関係は依然として発展の余地があるとした上で,日EU・EPAの本年中の大筋合意を期待する旨,また,今回のJETRO・AICEP協力覚書署名や(2013年7月に発効した)二重課税防止条約に触れつつ,農業,エネルギー,IT,観光といった幅広い分野で協力していきたい旨の発言がありました。
また,安倍総理大臣から,EUの福島県産食品等の輸入規制の緩和・撤廃を期待する旨述べたのに対し,パッソス・コエーリョ首相からはEU内の検討状況等について紹介がありました。両者は,グリーン成長の分野で協力して取り組んでいくことを確認しました。
(4)その他
両者は,国連安全保障理事会改革,アフリカ・ロシア・ウクライナ・中国・東シナ海・南シナ海といった地域情勢等について意見を交換しました。
2 共同記者発表,署名式・交換式
(1)首脳会談と夕食会の間に実施された共同記者発表において,「日本国総理大臣とポルトガル共和国首相による共同コミュニケ」(2014年5月2日)の進捗に関するファクト・シート(概要(PDF)/仮訳(PDF)/英文(PDF))が公表されました。
(2)また,両首脳立ち会いの下,両国大使が日・ポルトガル・ワーキング・ホリデー制度の導入のための協力覚書への署名を実施したほか,JETRO及びAICEPとの協力覚書の交換を実施しました。
(参考1)
ポルトガル首相の訪日は1990年以来25年ぶり。パッソス・コエーリョ首相の訪日は初めて。安倍総理大臣とは,昨年5月にリスボンで首脳会談を行い,「日本国総理大臣とポルトガル共和国首相による共同コミュニケ(仮訳(PDF))」を発出した。今回の訪問は,その際の安倍総理大臣からの招請に応えて実現。
(参考2)「ブルー・ウィーク」
ポルトガルにて、6月3日~6日に開催される政治・経済・学術分野の国際会議。「ブルーエコノミー(海洋の持続的利用)」達成のための政策的な議論を深めることを目的とする。気候変動等より分野横断的な課題にも焦点。
(参考3)ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)
- ポルトガル語圏諸国間の連帯深化,ポルトガル語の公用語化を目標とした政府間組織。1996年に初のサミットをリスボンで開催して以来,(1)開発支援(警察・司法,医療,教育),(2)民主化への相互協力(選挙監視団の派遣等),(3)大学間交流,査証・移民問題への取組,(4)文化事業等を共同事業として実施。
- 加盟国は,ポルトガル,ブラジル,アンゴラ,モザンビーク,ギニアビサウ,サントメ・プリンシペ,カーボヴェルデ,赤道ギニア,東ティモールの9か国。本部はリスボン。
- 昨年7月,日本のCPLPへのオブザーバー参加が承認された。