イタリア共和国
日伊外相会談



3月19日,午後0時から約2時間10分間,イタリア・ローマを訪問中の岸田文雄外務大臣はパオロ・ジェンティローニ伊外務・国際協力大臣(H.E. Mr. Paolo Gentiloni, Minister for Foreign Affairs and International Cooperation)と昼食を交えつつ会談したところ,概要は以下のとおりです。
また,会談終了後,両外相は,日伊情報保護協定に署名しました。


1 冒頭
(1)岸田大臣から,4月のG7広島外相会合に向け,ジェンティローニ大臣と意見交換するために訪問した旨述べるとともに,日伊国交150周年にあたる本年に日伊両国において様々な行事が開催されていることは喜ばしい旨述べました。
(2)ジェンティローニ大臣は,岸田大臣をローマに迎えられたことを嬉しく思う旨述べるとともに,G7広島外相会合に向けた協力につきしっかりと意見交換したい旨述べました。
2 日伊関係・日EU関係
(1)両外相は,現在の良好な二国間関係を評価するとともに,本年の日伊国交150周年の節目に,幅広い分野で日伊関係を拡大させていくことで一致しました。
(2)経済関係に関し,ジェンティローニ外相から,両国の経済規模に鑑みればさらに二国間の経済関係を発展させる潜在的な可能性がある旨の発言がありました。岸田大臣からは,日本の対伊投資に触れつつ,両国企業の協力によるグローバル市場への展開を期待する旨述べました。
(3)両外相は,安全保障分野の協力を一層強化していくことを確認し,その観点から本会談後に署名する情報保護協定は,両政府間の安保・防衛協力の進展に資するものであり有意義である点で一致しました。
(4)両外相は,両国国民の交流活性化の観点からワーキング・ホリデー制度導入へ向けた協議を加速すること,経済関係の活発化のために社会保障協定の早期発効のために必要な国内手続きを進めることで一致しました。
(5)両外相は,日EU・EPAの早期の大筋合意及び日EU・SPAの早期妥結のため引き続き協力していくこと,国際テロ対策の観点から乗客予約記録(PNR)にかかる協力を進めることで一致しました。また,岸田大臣から,震災に係わる福島県産食品等の輸入規制に関し,科学的根拠に基づく更なる緩和を期待する旨述べ,ジェンティローニ外相からはそのために協力する旨を述べました。
3 G7に向けた協力
(1)グローバルな課題
ア 岸田大臣より,G7伊勢志摩サミットでは,自由,民主主義,法の支配等の基本的価値を共有するG7の議長として,世界の平和と繁栄のため,最も適切な道筋を示したい旨述べました。また岸田大臣より,G7外相会合では,テロ・暴力的過激主義対策,難民問題,中東,ウクライナ・ロシア,海洋安全保障,アジアにおける課題,そして軍縮・不拡散について議論して強いメッセージを発出したい旨述べ,両外相は,本年,来年とサミット議長国となる日伊両国で,G7広島外相会合の成功を含め,G7の文脈での連携を確認しました。
イ 両外相は,軍縮・不拡散分野での協力を確認するとともに,G7外相会合の際に広島から核兵器のない世界の実現に向けたメッセージを発出することは有意義である点で一致しました。
ウ 両外相は,テロの未然防止のために緊密に連携していくこと,各国がそれぞれの強みを活かし,相互補完的に支援を行っていくことが重要であることを確認しました。
(2)地域情勢


ア 両外相は,中東(イラン,イラク,リビア,シリア),ウクライナ・ロシア情勢,アジア(東シナ海・南シナ海,北朝鮮)についても意見を交換しました。
イ ウクライナ・ロシア情勢については,G7の連携を継続しつつ,中東を始めとする諸問題の解決にはロシアの建設的な関与を得ていくためにも対話を継続していくことが重要である点で一致しました。
ウ 東シナ海及び南シナ海については,一方的な現状変更の試みは容認できず,航行の自由を始めとする海洋における法の支配が重要であることを確認しました。
エ 北朝鮮については,岸田大臣から,1月の核実験及び2・3月の弾道ミサイル発射は容認できず,国際社会が断固とした対応をとるべきである旨指摘しつつ,拉致,核,ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けてイタリアの協力を要請しました。両外相は,G7外相会合の機会等を通じて北朝鮮に対して明確なメッセージを発することが重要である点で一致しました。