欧州連合(EU)
第25回日EU定期首脳協議



7月17日(火曜日),東京にて,17時30分から約30分間,安倍晋三内閣総理大臣は,ドナルド・トゥスク欧州理事会議長(H. E. Mr. Donald Tusk, President of the European Council)及びジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長(H. E. Mr. Jean-Claude JUNCKER,President of the European Commission)との間で第25回日EU定期首脳協議を行いました。定期首脳協議に先立ち,約1時間の少人数会合が実施され,定期首脳協議後には,日EU経済連携協定(EPA)(和文テキスト/英文テキスト)及び戦略的パートナーシップ協定(SPA)(和文(PDF)/英文(PDF)
)の署名式,共同記者会見が行われました。また,今回の定期首脳協議に際し,共同声明(仮訳(PDF)
/英語 (PDF)
)
が発出されました。
1 日EU・EPA及びSPAへの署名


(1)両首脳は,5年以上に及ぶ交渉を経て,日EU・EPA及びSPAに署名しました。
(2)安倍総理は,両協定の署名は,日EU関係をより高い次元に引き上げる価値のある画期的なものであるとの認識を示した上で,EPAへの署名は,保護主義的な動きが世界で広がる中,日本とEUが自由貿易の旗手として,世界をリードしていくとの揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示すものであり,EPAを礎に,今後も日EUが自由貿易の旗手として,WTOを中心とする多角的自由貿易体制を堅持,発展させていきたい旨述べました。また,SPAの署名については,基本的価値を共有する日EUの協力関係を一層深め,ルールに基づく自由で開かれた国際秩序を維持・拡大し,国際社会の平和と繁栄をリードしていく基礎となるものであるとの認識を示した上で,今後,同協定に基づき,幅広い分野での対話・協力を一層強化していきたい旨述べました。
(3)これに対し,トゥスク議長から,欧州と日本は地理的には遠く離れているが,日EUが政治的にも経済的にも,これ程までに近づいたことはない旨の発言がありました。また,ユンカー委員長から,日EU・EPAは,公平性と価値を核とした協定であり,世界に対して範を示すものである旨の発言がありました。
2 日EU関係
(1)英国のEU離脱
安倍総理から,EUと英国の間の離脱協定交渉の行方を懸念をもって注視している,企業活動等への悪影響を避けるため,透明性及び予見可能性の確保が不可欠である旨述べ,引き続き適時の情報提供を要請しました。また,英国には日本企業も多く進出しており,移行期間中の法的安定性の確保は不可欠である旨述べました。
これに対し,ユンカー委員長からは,英EU間の離脱の現状につき説明がありました。また,EU側として法的安定性が確保される移行期間を含む離脱協定がまとまるよう,交渉の妥結に向け全力を尽くすとの立場が示されました。
(2)個人データの越境移転
安倍総理から,日EU当局間で相互に認定をすることで一致し,日EU間の相互の円滑な個人データ移転の枠組みを実現するために2018年秋までに双方の必要な手続を完了することにコミットしたことを歓迎する旨発言した。これに対し,ユンカー委員長は,データフローの重要性を指摘しつつ,関係者の努力に敬意を表しました。
(3)この他,両首脳は,安全保障,連結性,日本産農林水産品等の輸入規制,世界経済及び貿易等についても議論し,幅広い分野で戦略的に協力していくことを確認しました。また両首脳は,本年10月にブリュッセルで実施されるASEM首脳会合に向け,緊密に連携していくことを確認しました。
3 地域情勢
両首脳は,北朝鮮問題を始めとするアジア情勢,イラン核合意を含む中東情勢などの地域情勢についても忌憚ない意見交換を行いました。特に,北朝鮮問題について,両首脳は,北朝鮮による,全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な廃棄を実現するとの目標を改めて確認するとともに,国連安保理決議の完全な履行に向け,日EUで引き続き連携していくことで一致しました。また,安倍総理から,拉致問題の早期解決に向け,北朝鮮と直接向き合う決意を伝えるとともに,理解と協力を求め,トゥスク議長及びユンカー委員長より支持を得ました。