科学技術

共同プレスリリース

平成26年12月15日
 2014年12月12日,ベルンにおいてマウロ・デルアンブロージョ長官によって第3回日・スイス科学技術協力合同委員会が開会された。桂誠日本国外務省科学技術協力担当大使及びマウロ・モルツィスイス連邦教育・研究・イノベーション庁国際関係部長(大使)を共同議長として,本合同委員会には,両国政府及び研究機関やファンディング機関からハイレベルの代表者が多く出席して開催された。外交関係樹立150周年を締めくくるマイルストーンとなる行事の一つとして,本合同委員会は,研究・イノベーション分野における協力を強化するとの両国の約束を再確認する機会を提供した。

 本合同委員会において,双方の代表団は,2007年に署名された日・スイス科学技術協力協定の下で発展してきた多数の研究活動について肯定的に評価した。2008年の協定締結以降,14の医療研究課題がマッチングファンドによって助成された。

 プログラムの鍵となる手段の一つは,毎年日本及びスイスで交互に開催されている,両国が優れた技術を有すナノ科学及びエネルギー研究分野についての二国間ワークショップである。スイスの二国間プログラムの提携リーディング・ハウス(注)であるチューリヒ大学では,現在,「健康的な高齢化」のワークショップを科学技術振興機構(JST)及び千葉大学と準備しており,2015年に日本で開催を予定している。

 現行の二国間プログラムにおいては,日本学術振興会(JSPS)と共にリーディング・ハウス(注)であるスイス連邦工科大学チューリッヒ校によって若手研究者の流動性を高める新たな方策が始められている。このプログラムは大きな成功を収めており,現在日本に7名のスイス人研究者と,スイスに12名の日本人研究者が短期の研究滞在を行っている。両国には,学術交流を促進するその他の手段も複数存在する。例えばスイスにおいては1961年以降,博士とポスドクの両レベルにおける国の奨学金が利用可能となっている。一方日本では1988年から,JSPS外国人特別研究員事業によるスイスの若手研究者の支援が実施されている。
 合同委員会における研究機関からの発表によって示されたように,二国間の助成プログラムの他に,学術界と研究機関間の直接的な協力もまた非常に密に行われている。例えば,ベルン大学及び高エネルギー加速器研究機構(KEK)からは,素粒子・原子核物理学分野における協力について発表が行われた。地滑り及び土砂災害の危機管理のテーマについては,スイス連邦環境局(FOEN)及びスイス連邦森林・雪・景観研究所(WSL)からの出席者が我が国の国土交通省及び土木研究所の出席者に合わせて発表を行い,双方が本分野における技術的な発展のための協力の重要性を確認した。
 より一般的には,スイス国立科学財団(SNSF)によると,2009年から2013年の間,81の日本に関連する科学者の流動性のためのプログラムに750万スイスフランが助成され,236のプロジェクトチーム(9,770万スイスフラン)が日本の研究者と共同研究を行った。

 二国間のイノベーション分野における接点も最近強化されてきた。2013年に技術革新委員会(CTI)と我が国の文部科学省がシュピーツにおいて開催したシンポジウムにおいて,イノベーション分野における協力の促進に向けた取極が署名された。

 科学技術分野における広範かつ素晴らしい関係を強調しつつ,第3回合同委員会では,外交関係樹立150周年を特徴付ける1年間に渡るお祝いとハイレベルの参加者の往来を締めくくるイベントの一つとなった。
 本委員会において日本とスイス双方の代表団は,二国間関係を積み上げていくとの約束を再確認した。

(注)リーディング・ハウス,提携リーディング・ハウス:スイスにおいて,日本との二国間協力は,スイス大学学長会議からの任命の下,リーディング・ハウスと提携リーディング・ハウスによって管理されており,チューリッヒ工科大学とチューリッヒ大学が代表して,それぞれの役割を担っている。


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