経済協力開発機構(OECD)

令和8年6月5日
OECD閣僚理事会における集合写真 (写真提供:OECD)
握手をする堀井外務副大臣とコーマンOECD事務総長 コーマンOECD事務総長との写真
サイドイベントで開会挨拶をする堀井外務副大臣 サイドイベントにおける開会挨拶

 6月2日から4日にかけて、フランス・パリでOECD閣僚理事会(Meeting of the Council at Ministerial Level: MCM)及び関連会合が開催され、我が国から、堀井巌外務副大臣、岩田和親内閣府副大臣、井野俊郎経済産業副大臣ほかが出席したところ、結果概要は以下のとおりです。

【ポイント】

  • 今回の閣僚理事会は、議長国であるフィンランド(ストゥッブ大統領(ビデオメッセージ)、オルポ首相、ヴァルトネン外務大臣、プッラ財務大臣らが出席)、副議長国の韓国及びニュージーランドの下、「開かれた市場、成長、繁栄のための適切な産業政策の実現」をテーマに開催され、国際貿易システムの強化と経済安全保障、包摂的な世界経済の構築、AIを含む産業政策について議論が行われました。
  • 堀井副大臣から、地政学的課題を含む複雑な課題に対処し、持続可能な経済成長を実現する上で、OECDが果たす役割の重要性を強調しました。その上で、先般のコーマンOECD事務総長訪日の際に日本とOECDの間で発出した「経済安全保障に関する協力プラン」に基づき、経済安全保障関連の取組を積極的に推進していく旨述べました。さらに、日本として、これまでOECDの東南アジア・アウトリーチを重視してきている旨述べた上で、今後も東南アジア地域プログラム(SEARP)を通じて、同地域に積極的に貢献していく旨表明しました。

1 参加国・機関

  • OECD加盟国:38か国(議長国:フィンランド、副議長国:韓国、ニュージーランド)
  • 加盟候補国:アルゼンチン、ブラジル、ブルガリア、クロアチア、インドネシア、ペルー、ルーマニア、タイ
  • その他招待国・地域:バーレーン、エジプト、ケニア、クウェート、モロッコ、オマーン、パラグアイ、フィリピン、カタール、サウジアラビア、シンガポール、アラブ首長国連邦、ウクライナ、ウルグアイ
  • その他:EU、AU(アフリカ連合)、BIAC(経済産業諮問委員会)、TUAC(労働組合諮問委員会)、IEA(国際エネルギー機関)、WTO(世界貿易機関)、WBG(世界銀行グループ)、IMF(国際通貨基金)ほか

2 主な議題と概要

 今回の閣僚理事会は、「開かれた市場、成長、繁栄のための適切な産業政策の実現(Getting Industrial Policies Right for Open Markets, Growth and Prosperity)」をテーマに開催され、関係閣僚等による議論が行われました。成果文書として、議長声明(和訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)が発出されました。

6月2日(火曜日)

ラテンアメリカ・カリブ地域と東南アジア地域間の合同ワーキングランチ

  • 日本政府が主催した本会合では、ラテンアメリカ・カリブ地域プログラム(LACRP)の設立10周年の節目にあたり、「ラテンアメリカ・カリブ地域と東南アジア地域間における信頼性の高いバリューチェーン構築」をテーマに議論が行われました。
  • 堀井副大臣から、経済的不確実性が高まる中、両地域間の貿易・投資連携の強化や持続可能なバリューチェーンの構築に向けた協力の重要性を強調するとともに、日本が両地域間の「橋渡し役」として、OECDのアウトリーチ活動を引き続き積極的に支援していく旨表明しました。

サイドイベント「AIに関する国際協力の推進:AI政策ツールキット及び広島AIプロセス報告枠組み」

  • 日本政府、コスタリカ政府、英国政府及びOECD・科学技術イノベーション局が主導して開催された本イベントでは、各国のAI政策課題を分析し、各国の政策の立案支援を行うOECDのAI政策ツールキットの初版が公表されるとともに、広島AIプロセス報告枠組みの改訂版について報告されました。
  • 冒頭挨拶を務めた堀井副大臣から、「安全、安心で信頼できるAI」エコシステムの共創の重要性を強調した上で、AIに関する国際ガバナンスの構築に向けて、OECDによる多大な貢献を評価している旨述べました。また、同日公表されたAI政策ツールキットについて、同ツールキットの重要性や非加盟国へのニーズの聞き取りを行った過程に触れつつ、本日の公表に際する祝意を述べました。

6月3日(水曜日)

東南アジア地域プログラム(SEARP)ワーキングブレックファースト

  • SEARPの現共同議長国であるカナダ及びフィリピンが主導し、開催された本会合では、東南アジア地域プログラムの下でこれまで行われてきた取組や今後の方向性について議論が交わされました。
  • 堀井副大臣から、日本は同プログラムの立ち上げをはじめ、これまでOECDによる東南アジア・アウトリーチを主導してきており、近年もAIや造船分野における取組を積極的に支援している旨述べました。また、先般日本とOECDの間で発出した「経済安全保障に関する協力プラン」を紹介しつつ、今後も経済安全保障を含む分野において、東南アジア地域プログラムを通じた、東南アジア・アウトリーチを主導していく旨強調しました。さらに、インドネシア及びタイの加盟審査プロセスの進展を歓迎し、今後も両国の加盟プロセスを支援していく旨表明しました。

(1)開会式

  • 冒頭、議長国フィンランドのストゥッブ大統領の開会ビデオメッセージに続き、コーマンOECD事務総長から最近のOECDの取組について発言がありました。また、フィンランドのオルポ首相、副議長国の韓国、ニュージーランドからそれぞれ開会挨拶がありました。さらに、ウクライナのカチカ副首相が演説を行い、OECD加盟国の同国への連帯と継続的な支援に謝意を表明しました。

(2)セッション1:産業政策の目標とインパクトのバランス

  • 経済成長、イノベーション、産業の持続可能な再生を促進する産業政策措置等について議論が交わされました。
  • 競争力や安全保障等の政策目標間のバランスやトレードオフについて意見交換が行われるとともに、各国の政策事例の共有や政府間の緊密な連携の重要性が確認されました。

(3)セッション2:実現可能な国家:競争促進、より良い規制、財政責任

  • OECD経済見通し及び近年のOECDの調査研究を踏まえ、OECD加盟国全体における経済的利益を最大化するために有効な財政・構造改革政策について意見交換が行われました。
  • 市場の活力促進、公平な競争条件の確保、及び生産性主導の成長と競争力の強化には、健全な規制の枠組みと実効性ある競争政策が重要であることが確認されました。

(4)セッション3:デジタル及び新興技術を推進するための産業政策

  • デジタル・新興技術と、スキル・労働・人的資本の役割に焦点を当てた議論が行われ、AIを含むデジタル・新興技術の開発と普及を加速させることの重要性が確認されました。
  • また、デジタル・新興技術の効果的な展開を支援するためには、人口動態の変化を踏まえた将来の労働力ニーズの予測、包括的なスキル開発の促進、質の高い雇用を生み出すAIトランジションの支援等の教育・訓練・労働政策が効果的である旨確認されました。

6月4日(木曜日)

(5)セッション4:OECDの戦略的方向性

  • 戦略的な観点を踏まえた、OECDの将来的な優先課題について、議論が交わされました。
  • 特に、OECDが共通の価値観と原則、強みを活かしながら、加盟国内外へ貢献するための将来的な方向性について、意見交換が行われました。
  • 日本から、経済安全保障は全ての加盟国が直面する共通の課題である旨述べた上で、先般のコーマンOECD事務総長訪日の際に日本とOECDの間で発出した「経済安全保障に関する協力プラン」に基づき、経済安全保障関連の取組を積極的に推進していく旨述べました。

(6)セッション5:開かれた公正な貿易及び公平な競争条件との整合

  • 開かれた市場、自由で公正な貿易、公平な競争条件の確保や経済安全保障上の懸念への対処について議論が交わされました。
  • 特に、経済安全保障について、サプライチェーンの強靭化や重要技術及び原材料へのアクセス確保向けて、協調していくことの重要性が確認されました。

(7)セッション6:産業政策、投資、開発

  • 持続可能な成長、開発のための投資促進に向けた産業政策、及び投資環境整備について議論が交わされました。
  • 国内及び海外直接投資(FDI)に向けた取組やOECDの投資政策枠組みについて、各国から発言があり、経済発展段階や経済規模に依らない相互学習の重要性が確認されました。

3 バイ会談等

 堀井副大臣は、MCMの機会を捉え、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長、米州開発銀行(IDB)のゴンサレス副総裁、ポーランドのボサツキ外務副大臣、コスタリカのトバール外務大臣、タイのシーハサック副首相兼外務大臣、インドネシアのアイルランガ経済担当調整大臣とバイ会談やコーマンOECD事務総長等との立ち話を行ったほか、OECDで勤務する邦人職員との意見交換も実施しました。
 タイのシーハサック副首相兼外務大臣及びインドネシアのアイルランガ経済担当調整大臣との会談では、堀井副大臣から、日本として引き続き両国のOECDへの加盟審査プロセスを後押ししていく旨伝達しました。
 さらに、堀井副大臣は、パリに駐在するユネスコ政府代表部各国大使と、ユネスコにおける協力等について意見交換を行いました。


経済協力開発機構(OECD)へ戻る