経済協力開発機構(OECD)

2016年OECD閣僚理事会

(結果概要)

平成28年6月3日

 6月1日~2日,フランス・パリでOECD閣僚理事会が開催され,我が国から,高木経済産業副大臣,濵地外務大臣政務官,佐藤農林水産大臣政務官他が政府代表として出席したところ,結果概要は以下のとおりです。

【ポイント】

  • 今回の閣僚理事会のテーマは,「包摂的な成長に向けた生産性の向上」。世界経済の成長率の低迷を背景に,「生産性上昇率の低下」と「格差の拡大」という2つの課題が並存する中,いかに生産性を向上させ,かつ「包摂的な」成長を遂げるべきか,について取り組んだ。会合では,(1)教育・スキル開発,(2)イノベーションやデジタル経済,(3)貿易・投資等の果たす役割等について,議論された。
  • 閣僚理事会のテーマは,我が国の「アベノミクス第2ステージ」と共通するものがあり,日本は,議長国チリの下,フィンランド,ハンガリーとともに,副議長国(日本が副議長国をつとめるのは10度目。)として,準備段階から,テーマ設定,主要文書の作成等をリード。採択された「閣僚声明」においても,「アベノミクス」のキーワードでもある「成長と機会及び所得増加の好循環が必要である」旨が確認された。
  • 5月のG7伊勢志摩サミットでは,金融・財政政策と構造政策の3つの政策手段を総動員することが謳われたが,今回のOECD閣僚理事会で採択された「閣僚声明」においても,財政政策と金融政策を適切に利用し,多くの国で停滞している構造改革を加速することで,経済成長を強化する必要性につき,一致した。
  • 持続可能な開発目標(SDGs)の実施に向けたOECDの貢献についても,議論が行われた。濵地外務大臣政務官は,小グループ会合の議長として,活発な議論をリードするとともに,SDGs実施に向けた日本の取組として,(ア)SDGs推進本部の内閣への設置や,(イ)保健,女性,質の高いインフラに関するG7としてのビジョン等の文書の発出や今後5年間の質の高いインフラへの2,000億ドルの資金供給等の,G7伊勢志摩サミットにおける具体的な貢献策につき,説明した。
  • OECDの対外関係については,将来の新規加盟に係る「戦略的熟考」を行い,2017年閣僚理事会に報告することが要請されたほか,2014年閣僚理事会(日本議長国)で安倍総理が立ち上げた「東南アジア地域プログラム」については,東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)との協力の強化も含め,さらなる取組の進展が歓迎された。更に,ラテンアメリカ・カリブ(LAC)地域プログラムが立ち上げられるとともに,ラトビアの新規加盟に係る署名式典が開催された。この他,コロンビア,コスタリカ及びリトアニアに対する加盟審査の進展,並びにキー・パートナー国との協力強化も支持された。
  • 会合の最後に,「閣僚声明」仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)に加え,「生産性と包摂性に関する閣僚宣言」が採択された。同「宣言」では,生産性と包摂性の連関に関するさらなる取組をOECDに要請した。
  • なお,濵地外務大臣政務官は,閣僚理事会の機会に,グリアOECD事務総長を表敬したほか,ヴィラサック・タイ外務大臣政務官と会談し,サル・セネガル大統領,セーハ・ブラジル外務大臣その他の会議出席者と,会談や立ち話を行った。グリア事務総長を表敬した際,濵地外務大臣政務官からは,岸田外務大臣発書簡を手交し,日本は6月1日付で,最大の拠出国として「OECD開発センター」に16年ぶりに復帰を果たした。

1 行事概要

(1)日時・場所

6月1日(水曜日)から2日(木曜日),パリ・OECD本部

(2)参加国・機関

(ア)OECD加盟国34か国
(イ)OECD加盟候補国4か国(コロンビア,ラトビア,コスタリカ,リトアニア)
(ウ)キー・パートナー国5か国(中国,インド,インドネシア,ブラジル,南アフリカ)
(エ)招待国13か国(アルゼンチン,ボリビア,モロッコ,ペルー,カザフスタン,グアテマラ,ガイアナ,パナマ,ホンジュラス,パラグアイ,セントクリストファー・ネーヴィス,スリナム,ドミニカ共和国)
(オ)その他国際機関(EU他)

(3)運営

(ア)議長国チリ(バチェレ大統領ほか出席。)
(イ)副議長国日本,フィンランド,ハンガリー

2 主な議題と概要

 今次閣僚理事会は,「包摂的成長に向けた生産性の向上」(Enhancing Productivity for Inclusive Growth)をメインテーマとし,「格差・雇用」,「教育・スキル」,「デジタル化」,「持続可能な開発目標(SDGs)」,「貿易・投資」等について議論した。

(1)「OECD経済見通し」の公表(1日午前)

(ア)冒頭,グリアOECD事務総長及びマンOECDチーフエコノミストから,OECDによる世界経済の見通しに関する説明があった。

(イ)公表された「OECD経済見通し」(OECD Economic Outlook)では,金融危機から8年を経たが,世界経済の成長は低迷した状態が続いており,緩和的な金融政策と合わせて,より積極的な財政政策の優先順位付け,構造改革の再活性化を含めた包括的な政策が必要であることが指摘された。また,日本の実質GDP成長率については,2017年4月の消費税率10%への引き上げを前提に,労働力や生産能力不足や企業の高収益が設備投資,雇用や賃金を下支え,2016年は0.7%,2017年は0.4%程度の成長となると予測した。

(ウ)その後,「経済見通しに対処するための政策」及び「成長に向けた新たな課題(生産性,包摂性及び次なる生産革命)」をテーマに,パネル・ディスカッションが行われた。

(2)事務総長の戦略的方向性(1日:ワーキングランチ)

(ア)冒頭,グリア事務総長から,1年間の活動報告と今後のOECDの戦略的な方向性等について,報告が行われた。

(イ)その後,OECDの戦略的方向性に関して,出席者の間で議論が行われた。

(3)包摂的成長のための生産性向上(1日午後)

(ア)全体会合の後,3つの少人数グループ会合に分かれて,議論が行われた。

(イ)少人数グループ会合におけるテーマは,(ⅰ)トレンドを読む-教育・スキル・雇用の質,(ⅱ)次なる生産革命に向けた準備-イノベーション・起業家精神・デジタル経済,(ⅲ)ダイナミックで包摂的な経済のための環境整備,の3つであった。

(ウ)「次なる生産革命に向けて」を議論したグループにおいては,各国から,規制・制度のあり方,生涯学習・職業教育の提供等の政府の役割などについて発言があり,我が国からは,官民で対話しつつ,必要な規制制度改革を進めていくことの重要性等につき,発言した。

(4)ラ米・カリブ地域プログラムの立ち上げ式典(1日午後)

(ア)グリア事務総長から,ラテンアメリカ・カリブ(LAC)地域プログラムの立ち上げが宣言され,同プログラムにおけるチリ及びペルーのリーダーシップへの期待が表明された。

(イ)ウマラ・ペルー大統領から,ラ米・カリブ地域プログラムを通じた同地域全体の貧困の削減及び社会的発展への期待と,OECDのベストプラクティス習得の希望が表明された。

(ウ)バチェレ・チリ大統領から,OECDとラ米・カリブ地域とのこれまでの協力を振り返るとともに,OECDがラ米・カリブ地域でデータに基づくエビデンス・ベースの支援を他の国際機関との協力の下で進めていくことへの期待が表明された。

(5)ラトビアOECD加盟・署名式(2日午前)

(ア)グリア事務総長から,ラトビアが新規加盟プロセスの中で特に企業統治や資金洗浄対策等の取り組みを強化した結果,同国が35番目の加盟国となる旨の発言があった。

(イ)クチンスキ・ラトビア首相から,新規加盟プロセスを通じ,同国が変革を遂げ,今後加盟国として責任を果たす旨発言したほか,EUから,ラトビアの新規加盟に際してのグリア事務総長による支援に,謝意が示された。

(6)2030年にむけて一致団結:包摂的で持続可能な開発に関する普遍的アジェンダ(2日午後)

(ア)セッション冒頭,SDGs行動計画を担当するフランツ事務次長から,SDGsに関するOECDの行動計画が紹介され,ODA統計,「持続可能な開発のための公的総資金」(TOSSD,Total Official Support for Sustainable Development),「投資のための政策枠組み」(PFI,Policy Framework for Investment),「国境なき税務調査官」等,OECDの各種の有効なツールが説明された。

(イ)小グループ会合では,持続可能な開発目標(SDGs)の実施に向けて,OECDがどのように貢献できるかについて議論が行われた。各国からは,OECDの行動計画に対する支持や,OECDが国連などと相互補完的な役割を果たし,付加価値を与えることに対する期待が表明された。また,統計,データや分析の活用,税,「貿易のための援助」(AFT,Aid for Trade)に関する取組み等がOECDの強みとして指摘されたほか,政策一貫性が鍵であるとの点や,最も支援を必要とする国への支援の重要性,民間部門との連携の必要性等についても,指摘があった。

(ウ)濱地外務大臣政務官は,この議題の小グループの議長として,活発な議論をリードした。また,SDGs実施に向けた日本の取組として,(ア)SDGs推進本部を内閣に設置したこと,また,(イ)保健,女性,質の高いインフラに関するG7としてのビジョン等の文書の発出や,今後5年間の質の高いインフラへの2,000億ドルの資金供給等,G7伊勢志摩サミットにおいて具体的な貢献策を打ち出したことを説明した。

(エ)グリア事務総長から,SDGs実施においては,各国が現状を正しく認識し,持続的可能な開発の実現に向け,効率的な道筋をたどっていくことが重要であり,国連との協働,各国間の協力に加え,関係する開発アクターとの協働が重要である点に触れた。また,同事務総長からは,この意味で「OECD開発センター」の果たす役割は重要であるとしつつ,今回の日本の開発センター復帰に対する評価と期待が述べられた。

(7)貿易と投資の生産性及び包摂性に対する役割強化(2日午後)

(ア)高木経産副大臣から,G7伊勢志摩サミットにおいて首脳が合意した貿易・投資関連事項として,(ⅰ)過剰生産能力問題の認識とその解消に向けた市場機能強化の必要性,(ⅱ)WTO環境物品交渉(EGA)のG20杭州サミットまでの妥結を目標とすること,(ⅲ)デジタル技術等の急速な進展に対応したWTOにおける新たな取組の必要性について紹介した上で,これらの課題に対応する際のOECDの役割への期待を発信した。

(イ)佐藤農水大臣政務官から,OECD農業大臣会合及びG7新潟農業大臣会合の成果を踏まえ,「イノベーションの促進」,「バリューチェーンの構築」,「女性・若者の活躍促進」,「食料の損失及び廃棄」等に関する取組が,各国の農業・食品関連産業の成長・発展,更には世界経済の成長・発展につながることを強調した。

(8)閉会式(2日午後)

(ア)グリア事務総長とチリ議長国から,議論の総括がなされ,閣僚声明及び閣僚宣言が採択された。

(イ)チリから,閣僚理事会の成果として,生産性・包摂性に関する充実した議論,ラ米・カリブ地域プログラムの発足,OECD経済見通し,事務総長の戦略的方向性に関する議論等について言及があった。

3 その他

(1)なお,濵地外務大臣政務官は,閣僚理事会の機会に,グリア事務総長を表敬したほか,ヴィラサック・タイ外務大臣政務官と会談し,また,サル・セネガル大統領,セーハ・ブラジル外務大臣その他の会議出席者と,会談や立ち話を行った。

(2)グリア事務総長を表敬した際,濵地外務大臣政務官からは,岸田外務大臣発書簡を手交し,日本は6月1日付で,最大の拠出国として「OECD開発センター」(OECDの下にある,開発分野を扱うシンクタンク。)に16年ぶりに復帰を果たした


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