世界貿易機関(WTO)

平成29年1月24日
(写真1)

 1月20日,スイス・ダボスにおいて,スイス政府主催のWTO非公式閣僚会合が開催されたところ,概要以下のとおり。我が国からは,薗浦外務副大臣,中川経産大臣政務官及び矢倉農水大臣政務官が出席した。

1 出席者(29か国・地域の閣僚又は代理及びアゼベドWTO事務局長が出席。)

 スイス(議長:アマン経済大臣),日本,アルゼンチン,豪州,ベナン,ブラジル,カナダ,中国,コスタリカ,エジプト,EU,香港,インド,インドネシア,韓国,マレーシア,メキシコ,モロッコ,NZ,ナイジェリア,ノルウェー,パキスタン,フィリピン,ロシア,シンガポール,南アフリカ,タイ,トルコ,米国(在ジュネーブ代表部次席)が出席。

2 議論の概要

  • (1)保護主義が台頭する中,各国からは自由貿易の重要性を訴えるべきとの意見が相次いだ。全体として,危機意識を持った発言が多く,本年12月に予定されている第11回WTO閣僚会議(MC11)に向け,具体的で的を絞った議論を進めるべきとして一定の合意が見られた。
  • (2)自由貿易のもたらす恩恵が先進国,途上国を問わずあらゆる国及び国民間に均てんされることが重要であるとの指摘が多く見られ,貿易における「包摂性」の観点の重要性が強調された。
  • (3)MC11に向けては,実現可能な分野について,具体的で的を絞った議論を始めるべきとの意見が多数を占めた。具体的には,電子商取引,漁業補助金,農業の国内補助金,中小企業,投資の円滑化等といった課題が挙がった。
  • (4)我が国からは,ポイント以下のとおり発言した。
    • 薗浦外務副大臣:反グローバリズムや保護主義の台頭等,世界に不確実性が蔓延し,多くの人々の貿易に対する理解と信頼が揺らいでいる中,貿易に関する誤解を正し,多角的貿易体制の重要性を訴える力強いメッセージを発信すべき。同時に,WTOにおいて,あらゆる人々が恩恵を得られる「包摂的な貿易」への現実的な取組を進めることが不可欠。そのために,MC11及びその後を見据え,貿易を推進し,時代のニーズに合致した課題に取り組むこと,そして漸進的かつ着実な成果を上げることが重要。
    • 中川経産大臣政務官:EGA及びTiSAに関する交渉の早期妥結,情報の自由な流通を中核としたデジタル貿易ルール形成,貿易円滑化に向けた幅広い取組が重要。
    • 矢倉農水大臣政務官:MC11に向けて,農業分野では,多様な農業の共存の実現という観点も踏まえ,現実的で十分な柔軟性を有する規律を目指すべき。
  • (5)また,薗浦副大臣は,今般の会合の機会を利用して,以下の出席閣僚等とそれぞれ短時間立ち話を実施した。
    アゼベドWTO事務局長,アマン・スイス経済大臣,マルコーラ・アルゼンチン宗務・外務大臣,チオボー豪州貿易・観光・投資大臣,モラ・コスタリカ貿易大臣,カビール・エジプト貿易産業大臣,ルキタ・インドネシア商業大臣,ブレンデ・ノルウェー外相等

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