エネルギー安全保障
平成29年度「エネルギー・鉱物資源に関する在外公館戦略会議」
平成30年2月23日



- 2月19日から21日までの3日間,外務省は,我が国のエネルギー・鉱物資源の安全保障確保に関係する17か国・地域(参考2)に所在する在外公館で当該業務に従事するエネルギー・鉱物資源専門官(参考3)・担当官17名を集め,外務本省において,「エネルギー・鉱物資源に関する在外公館戦略会議」(参考1)を開催しました。
エネルギー・資源の大半を海外に依存している我が国にとり,その安定供給は国家の経済基盤であり,また安全保障に直結する極めて重要な外交課題です。そのため,外務省では,平成21年度から,主要資源国の在外公館,関係省庁・機関,有識者,企業等を交えた本会議を毎年東京で開催し,我が国のエネルギー・資源の安全保障確保に向けた外交的取組について議論を重ね,体制と連携の強化を図ってきました。 - 今年度の戦略会議には,中根一幸外務副大臣,岡本三成外務大臣政務官を始めとする外務本省関係者に加え,上記17名の在外公館職員,経済産業省・資源エネルギー庁関係者が参加し,国際協力機構(JICA),国際協力銀行(JBIC),石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC),日本貿易保険(NEXI)の関係者や国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP-FI),東京工業大学,日本メタル経済研究所の有識者,商船三井及びMHIヴェスタスオフショアウィンドの民間企業関係者も交え,我が国のエネルギー・資源外交及び再生可能エネルギー外交を推進していく上での課題や対策等について,議論を深めました。
- 今年度の戦略会議は,「世界のエネルギー情勢の変化に対応するエネルギー・資源投資」をテーマとして実施し,エネルギー・鉱物資源を取り巻く国際情勢及び投資動向の全体像について,有識者等からの基調講演を行うとともに,昨今特に注目されるエネルギー関連技術等への投資動向について,企業・関連団体による講演(参考4)を実施しました。
また,地域別・資源別に複数の切り口を設け,参加者の報告に基づいて,集中的に議論しました。地域別の観点からは,在外公館からの参加者がそれぞれの任国・地域におけるエネルギー・資源事情及び関連政策の動向につき報告を行ったほか,今年1月にイスタンブール(トルコ)にて開催した「中央アジア・コーカサス地域公館エネルギー・鉱物資源担当官会議」についても報告されました。資源別の観点からは,石油,天然ガス,石炭,再生可能エネルギー,鉱物資源を取り上げ,それぞれの資源に対する投資動向とその背景に関する議論を行いました。 - 今回の戦略会議における議論を通じ,世界のエネルギー情勢は低炭素社会に向けたエネルギー転換の渦中にあり,国際情勢の急激な変化を踏まえつつ,エネルギー・資源外交及び再生可能エネルギー外交を積極的に推進することが極めて重要であることが強く認識されました。また,世界のエネルギー情勢における低炭素化へのシフトに関して,(1)再生可能エネルギーの急激な価格低下,(2)国際金融のグリーン化,(3)G7/G20といった国際フォーラムでのエネルギー転換の主流化,が日本の外交及び経済に大きなインパクトを与えているとの認識が共有されました。
そして,今年1月の国際再生可能エネルギー機関(IRENA)第8回総会に河野外務大臣が出席し,外務大臣政策スピーチ「日本の再生可能エネルギー外交 気候変動とエネルギーの未来」を行ったことを踏まえ,議論の総括として,(1)我が国へのエネルギー・資源の安定供給確保が第一命題であることを再確認し,(2)世界のエネルギー安全保障にトータルで貢献する姿勢の提示,(3)我が国の技術力を世界市場での競争力につなげるエネルギー外交の展開,(4)再生可能エネルギー外交と気候変動外交の有機的連携,(5)外交戦略の縦軸としての「エネルギー・資源外交」の位置付け,及び(6)持続的な開発目標(SDGs)への貢献を含む国際機関との重層的な連携の強化,の6点を我が国の具体的な取組とする「平成29年度エネルギー・鉱物資源に関する在外公館戦略会議報告書(PDF)」がまとめられました。
- (参考1)エネルギー・鉱物資源に関する在外公館戦略会議
- 近年の資源ナショナリズムの台頭等,資源を巡る内外の厳しい情勢を踏まえ,情報収集・分析体制や関係省庁・機関間の連携等を強化すべく,平成21年度から,主要資源国の在外公館,関係省庁・機関,有識者,企業等を交えた「エネルギー・鉱物資源に関する在外公館戦略会議」を毎年東京にて開催。
- (参考2)今次会議に参加した専門官等が所属する在外公館(17か国・地域)
- インド,インドネシア,シンガポール,中国,モンゴル,豪州,米国,カナダ,ブラジル,アゼルバイジャン,ウズベキスタン,カザフスタン,ロシア,イラン,カタール,サウジアラビア,欧州連合(EU)
- (参考3)エネルギー・鉱物資源専門官
- エネルギー・鉱物資源専門官は,資源関連情報を収集・集約するとともに,民間企業,関係機関等との連絡調整の窓口になる等,エネルギー・鉱物資源の安定供給確保に向けた外交的取組の強化に従事。平成25年2月に当該専門官を設置(50か国,55公館)。平成29年4月に配置見直しを行い,53か国,60公館に拡充。
- (参考4)有識者等からの基調講演,民間企業・団体の講演資料
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- (1)末吉竹二郎 国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP-FI)特別顧問 講演資料「カーボン・ディスラプションに備えよ」(PDF)
- (2)松坂顕太 (株)商船三井執行役員 エネルギー輸送営業本部副部長 講演資料「FSRUビジネスモデルの課題とその解決に向けて」(PDF)
- (3)岡崎健 東京工業大学名誉教授 科学技術創成研究院グローバル水素エネルギー研究ユニットユニットリーダー 講演資料「水素社会実現に向けた動向と国際連携 再生可能エネルギー起源CO2フリー水素の役割」(PDF)
- (4)山田明 東京工業大学工学院電気電子系エネルギーコース教授 講演資料「エネルギー資源としての太陽光発電」(PDF)
- (5)山田正人 MHIヴェスタスオフショアウィンド副社長 講演資料「洋上風力発電の世界動向と日本の選択」(PDF)
- (1)末吉竹二郎 国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP-FI)特別顧問 講演資料「カーボン・ディスラプションに備えよ」(PDF)