エネルギー安全保障

平成28年10月3日

1 会議概要

  • (1)9月27日及び28日,アルジェリアの首都アルジェにおいて,国際エネルギー・フォーラム(IEF:International Energy Forum第15回閣僚級会合が開催された(主催国はアルジェリア,共催国はアルゼンチン及びカザフスタン)。我が国からは,高木陽介経済産業副大臣が代表として出席し,また岸田文雄外務大臣のメッセージ(英文(PDF)別ウィンドウで開く和文(仮訳)(PDF)別ウィンドウで開く)を高橋美佐子外務省経済安全保障課長が代読した。
  • (2)国際エネルギー・フォーラム(IEF)は,72の石油・ガスの主要生産国及び消費国が参加する「産消対話」の枠組みであり,2年に1度開催される閣僚級会合はその最高レベルの会合。本年の閣僚級会合には,世界53か国のエネルギー産出国及び消費国から閣僚級を含む代表が出席したほか,国際エネルギー機関(IEA),石油輸出国機構(OPEC),エネルギー憲章(Energy Charter),ガス輸出国フォーラム(GECF)などの15の主要なエネルギー関係国際機関の事務局長等,さらに38の企業の代表者が参加した。

2 結果概要

  • (1)今次会合では,「変わり行く世界のエネルギー情勢:エネルギー対話の意義(「Global Energy Transition: An Enhanced Role for Energy Dialogue)」を主なテーマに,ア 石油市場,イ 天然ガス,ウ 再生可能エネルギーと省エネルギー,及びエ エネルギー・ガバナンスに関する各セッション,またオ 持続可能なエネルギー・アクセス,及びカ エネルギー安全保障にとっての技術の役割に関する各ラウンドテーブルにて,それらの現状と見通し並びにその課題等について議論された(IEF閣僚級会合アジェンダ(PDF)別ウィンドウで開く)。
  • (2)我が国からは,天然ガスに関するセッションにて,高木経済産業副大臣から,液化天然ガス(LNG)の最大消費国である我が国として,これまでLNG供給が地域的に3分割されてきた中,グローバルな市場の構築が期待されていること,中長期的なLNG市場の発展のためには,産消が協力してLNGの市場拡大に向けた方策を検討すべきであることを強調した。また,その具体策として,柔軟で流動性のある市場を作ること,天然ガスの緊急時対応の強化が必要であること,産消間の認識共有が極めて重要であり,このため,我が国はLNG産消会議を開催していること等を強調した。
  • (3)また,エネルギー・ガバナンスに関するセッションでは,岸田外務大臣のメッセージとして,エネルギー需要を増している新興国の存在や気候変動問題,シェール革命やエネルギー市場のグローバリゼーション等の世界のエネルギー情勢を巡る動きに言及し,世界を統合する国際的なエネルギー協力の枠組みが存在しない中,世界最大級のハイレベルの産消対話の場として,IEFがグローバル・エネルギー・アーキテクチャーの強化に果たす役割は重要性を増していると指摘した。また,我が国としての貢献として,IEF及びIEAの理事国を務めるほか,昨年の国際再生可能エネルギー機関(IRENA)議長国に続き,本年はG7議長国としてエネルギー分野を含む議論を主導し,さらに本年11月にはエネルギー憲章会議(Energy Charter Conferenceの議長としてエネルギー分野における国際協力の推進に積極的な役割を果たしていくこと,また同時に「グローバル・エネルギー・アーキテクチャーとアジアへの影響」と題するサイドイベントを開催し,今次IEF閣僚級会合を含む本年の同分野に関する議論を総括し,エネルギー対話の活性化に一層貢献していくことを強調した。
  • (4)最終セッションにて,今次閣僚級会合における議論を踏まえ,主催国であるアルジェリアから閉会宣言(Concluding Statement by Host Country)(PDF)別ウィンドウで開くが発出された。また,次回(第16回)IEF閣僚級会合は,2018年にインドにて開催されることとなった(中国及び韓国が共催国)。なお,本会合後に開催されたIEF執行理事会特別会合にて非常任理事国8か国(アルジェリア,アルゼンチン,バーレーン,ベルギー,エジプト,オランダ,ポーランド,トルコ)が承認された(注:我が国は常任理事国)。

3 評価

  • (1)今次閣僚級会合は,原油価格が低迷する中で,石油市場の安定に向けた取組が注目される中,世界の主要な石油・ガス生産国及び消費国のハイレベルが一堂に会する機会となり,会議と並行してOPECメンバー間の各種協議が行われた。その結果,9月28日に同地にて開催されたOPEC臨時総会では8年ぶりに減産合意に達し,IEFの国際エネルギー市場の主要国を集める対話の場としての有用性を改めて印象づけた。
  • (2)我が国からは,本年のG7伊勢志摩サミット及びG7北九州エネルギー大臣会合の成果など踏まえ,LNG市場の発展と流動性のあるLNG市場の必要性につき発言した。また,グローバル・エネルギー・アーキテクチャーの強化に向けた我が国の貢献を紹介し,引き続き同分野において積極的な役割を果たしていくことを強くアピールした。
  • (3)そのほか,今次会合の議論を通じ,中長期的なエネルギー安全保障の強化及び不確実性の除去に向け,上流部分を含むエネルギー投資の維持・拡大,市場の透明性の向上,国際機関共同データイニシアティブ(JODI)の拡充,IEA・IEF・OPECの3者間の協力の促進の重要性などが再確認された。


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