エネルギー安全保障
国際エネルギー・フォーラム(IEF:International Energy Forum)の概要
令和4年10月3日
1 目的及び経緯
IEFは、石油・ガス等の産出国と消費国が閣僚レベルで、エネルギー市場の安定等について非公式な対話を行う枠組みです。産消対話を行うことにより、産消国双方が相互に理解を深め、健全な世界経済の実現や供給と需要の安定確保のために安定的かつ透明性のあるエネルギー市場を促進することを目的としています。
閣僚級会合は最も高いレベルの会合で、1991年に第1回会合をパリで開催して以降、1~2年毎に開催。2000年9月に、サウジアラビア・リヤドにおいて第7回IEFが開催され、日本からは総理特使として橋本元総理が出席しました。そこでアブドッラー・サウジ皇太子(当時)が同フォーラムの常設事務局をリヤドに設置することを検討すべきと提案し、その後、同常設事務局設置に賛同する旨の橋本特使発アブドッラー皇太子宛書簡を2001年4月に送付しました。2002年9月、大阪で開催された第8回IEFにて、参加国の同意が得られ、2003年12月、リヤドに設置された事務局に初代の事務局長(ノルウェー外交官出身のアーン・ウォルター大使)が赴任しました。
2 参加国
2011年に採択されたIEF憲章には89か国が署名しましたが、その後の脱退等により、2022年9月現在、71か国がメンバー国となっています。
3 事務局
現事務局長は米国出身のジョセフ・マクモニグル氏、事務局の職員数は約10名です。IEF閣僚級会合や地域会合の準備・開催、共同機関データイニシアティブ(JODI((注)後述))の運営、エネルギー関連調査などが主な事務局の業務です。
4 理事会
- IEFの意思決定機関として事務局活動の承認を行います。議長は閣僚級会合開催国が務め、現在はサウジアラビアです。
- 憲章においては、理事国30か国のうち、23か国が常任理事国として選出されます。残り7か国が非常任理事国とて2年毎に改選されます。
- 常任理事国としての資格を有し、希望する場合には、無選挙で理事国に選出されることとなります。
- なお、現在の構成は以下のとおりです。
- (常任理事国)
- アルジェリア、カナダ、中国、エジプト、仏、独、印、イラン、イラク、伊、日本、韓国、クウェート、メキシコ、ナイジェリア、ノルウェー、カタール、露、サウジアラビア(議長)、UAE、英、米、ベネズエラ
- (非常任理事国)
- バーレーン、エクアドル、モロッコ、ポーランド、南アフリカ、スーダン、トルコ
5 我が国にとっての意義
- 我が国はエネルギー消費大国でありながら、一次エネルギー需要の8割以上を輸入に依存するというエネルギー需給構造にあります。我が国のエネルギー安全保障を確保するためには、安定的なエネルギー供給及び合理的なエネルギー価格が維持されるよう、産出国側に働きかけていくことが不可欠であり、世界唯一の閣僚レベルの産消対話の場であるIEFは、我が国のエネルギー安全保障を強化する上で貴重な枠組となっています。
- 石油市場を安定化させるためには、石油市場の透明性を確保することが重要であり、IEFが取り組んでいる共同機関データ・イニシアティブ(JODI(注))をデータの質の向上と参加国の拡大を含め一層充実させていくことが重要です。
- また、事務局のホスト国を担い、IEFに積極的な貢献を行っているサウジアラビアは、世界最大規模の石油埋蔵量を有するとともに、我が国にとって最大の原油供給国でもあります。IEF常設事務局へ協力の姿勢を示すことは、サウジアラビアとの二国間関係を強化するためにも意義があります。
【注:国際機関共同データイニシアティブ(JODI)】
- 1 経緯
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- (1)2005年7月から、エネルギー関連の7つの国際機関(APEC、EU(eurostat)、IEA/OECD、IEF、OLADE(中南米エネルギー機関)、OPEC、国連)(ガス版については、右に加えGECF(ガス輸出国フォーラム))が協調し、各メンバーに対し、タイムリーな石油データの提出を呼びかけて、国際的な石油データを整備し、JODIホームページにおいてデータを公開。
- (2)JODIに関するデータの収集及びホームページの管理・運営は、IEF事務局が担当。元々は共同石油データイニシアティブ(JODI: Joint Oil Data Initiative)であったが、ガスに関するデータの収集に伴い、Joint Organisations Data Initiativeに名称が変更された。
- 2 参加国/地域
- 現在、我が国を含む世界約100か国/地域がJODIに参加。我が国は、APEC及びIEAの両機関を通じてデータを提出。
- 3 データの対象
- 対象品目は原油、石油製品(JODI Oil)及び天然ガス(JODI Gas)であり、対象内容は生産量、製油所処理量、消費量、輸入量、輸出量及び在庫量。