エネルギー安全保障

「国際セミナー:太平洋島嶼国におけるエネルギー安全保障」再生可能エネルギー利用の島嶼地域向けの最適化への日本の貢献(結果)

平成27年6月25日

英語版 (English)

1 会議概要

  • (1)6月18日,東京において,外務省主催で「国際セミナー:太平洋島嶼国におけるエネルギー安全保障」を開催した(プログラム(PDF)別ウィンドウで開く)。政府関係者,エネルギー企業関係者,研究者,在京大使館,援助関係者,報道関係者等約150名が参加。
  • (2)冒頭,主催者である外務省を代表して,薗浦健太郎外務大臣政務官から挨拶(PDF)別ウィンドウで開くを行った。その後,市川雅一国際協力機構(JICA)理事(PDF)別ウィンドウで開く及び星尚志日本エネルギー研究所(IEEJ)理事(PDF)別ウィンドウで開くからそれぞれ挨拶がなされた。
  • (3)本セミナーは,国内外で再生可能エネルギーをめぐる重要性が高まる中,本年,我が国が,国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の総会議長をつとめ,また,第7回太平洋・島サミット(PALM7)を開催した経緯も踏まえつつ,我が国の再生可能エネルギー分野における国際協力強化の一環として開催したもの。
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2 各セッションの概要

(1)セッション1:太平洋島嶼国のエネルギー情勢(現状と課題)

ア マケレタ・ロマロマ・サウトゥランガ SPC(太平洋共同体)経済開発部エネルギー効率アドバイザー(資料(PDF)別ウィンドウで開く
島嶼国におけるエネルギーに関する地域,国家レベルでの連携を紹介し,各国のエネルギー構成,再生可能エネルギー導入の政策目標等を説明。電化率,グリッドへの接続状況,化石燃料への依存度等が島嶼国毎に異なることから,エネルギー政策の取組に島嶼国毎の相違があることを指摘。
イ シリア・キレポア・ウアレシ IRENA(国際再生可能エネルギー機関)太平洋コーディネーター(資料(PDF)別ウィンドウで開く
再生可能エネルギー導入に向けて,島嶼国で行われている系統安定化研究,バイオ燃料,規制等法制度の準備状況について紹介。島嶼国が遠隔・孤立していること,エネルギーの利用に関し島嶼国毎に特異性があること,島嶼国のエネルギープロジェクトが小規模であること等を言及。
ウ エサウ・グラハム・スティーブン トンガ電力公社財務部副社長(資料(PDF)別ウィンドウで開く
エ シャルウィン・アサイ パラオ電力公社再生可能エネルギー課再生可能エネルギー専門家(資料(PDF)別ウィンドウで開く
島嶼国の電力供給の実務を担う立場にある上記2名の方から,トンガ,パラオの電力需給状況,再生可能エネルギー導入事例を紹介。エネルギーアクセスの向上に向けて,中長期的に再生可能エネルギーを増加させていく意欲を提示。

(2)セッション2:日本の貢献の可能性(技術協力,レジリエンス,多様な環境への対応)

ア 山口馨 日本エネルギー経済研究所(IEEJ)新エネルギー国際協力支援ユニット研究理事(資料(PDF)別ウィンドウで開く
日本の過去の再生可能エネルギー技術開発の経験が,島嶼国でのエネルギー安全保障(化石燃料依存度の低減,多様性の確保,レジリエントなエネルギーシステムの構築等)に資することを示唆。自然災害からエネルギーインフラを守る技術における日本の経験・技術が島嶼国にとり重要と指摘。再生可能エネルギー導入支援はファイナンスにおいて長期的視野に立つ政府の関与が重要であり,日本は島国としての経験を活かした人材育成に貢献が可能と指摘。
イ 松永啓 JICA産業開発・公共政策部 資源・エネルギーグループ第1チーム課長(資料(PDF)別ウィンドウで開く
JICAが島嶼国において実施している分散電源システムのプロジェクトを紹介。島嶼国特有の課題である,高価格の化石燃料,再生可能エネルギーの自然変動の影響について指摘。自然変動する再生可能エネルギーに,低負荷で高効率なディーゼル電源を組み合わせて,電力供給を安定化できる「ハイブリッド・アイランド構想」を紹介。
ウ 高田和幸 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)スマートコミュニティ部主査(資料(PDF)別ウィンドウで開く
2011年の東日本大震災の際,仙台市マイクログリッド実証事業で設置されたガスエンジンが24時間以内に,緊急インフラである病院へ直ちに電力供給し電力網が回復するまで運用された事例や,ハワイ・マウイ島における,再生可能エネルギー(風力・太陽光)を電気自動車への電力供給に活用する実証試験の事例を紹介。
エ ジェフリー・ミラー 米国大使館エネルギー首席担当官・エネルギー省日本事務所代表(資料(PDF)別ウィンドウで開く
沖縄とハワイ間のクリーンエネルギー技術協力に関する覚書を紹介。スマートグリッド,ビルの省エネ,再生可能エネルギー,多分野人材交流といった分野ごとにプログラムが策定され,島嶼国の気候に合わせた技術の協力を通じて日米のさらなる関係強化に貢献していると指摘。
オ 安里貞夫 (株)沖縄エネテック常務取締役(資料(PDF)別ウィンドウで開く
沖縄の島々で進められている小規模分散電源のプロジェクト,タイでのプロジェクト,更に沖縄とハワイが培った再生可能エネルギーの知見を,マーシャル諸島へ展開するプロジェクトを紹介。

(3)セッション3 パネルディスカッション「日本の協力の展開に向けた方向性と課題」

モデレーター:山口 日本エネルギー経済研究所・研究理事
パネリスト:サウトゥランガ SPC経済開発部・エネルギー効率アドバイザー
ウアレシ IRENA太平洋コーディネーター
小川 JICA国際協力専門員
高田 NEDOスマートコミュニティ部主査
安里 沖縄エネテック常務取締役

ア パネルディスカッション

冒頭,JICAの“ハイブリッド・アイランド構想”,沖縄・ハワイ間のクリーンエネルギー技術協力,NEDOのマイクログリッド実証への関心が表明。島嶼国への再生可能エネルギーの導入にあたっては,ステークホルダーによる調和の取れたアプローチの重要性が強調。過去の再生可能エネルギー関連情報の共有に関しては,知見を分類化,指標化することで,個々の島嶼国への実情に合致する情報の適切な提供を可能ならしめると指摘。プロジェクトの冗長性も指摘されたが,個々の島嶼国の特殊性を考慮すると,推進するプロジェクトの有効性は,地域毎に異なり,必ずしも重複を避ける必要はないとの意見も。島嶼国の代表からは,先進蓄電技術であるNaS電池(ナトリウム・硫黄電池)へ関心が寄せられた。

イ パネル総括

再生可能エネルギーの太平洋島嶼国への導入について,以下のとおり総括された。

  • (ア)日本からの貢献としては,機器の提供のようなハード面での支援に加えて,保守・運用等のための技術支援等ソフト面での支援が有効。
  • (イ)島嶼国の多様性から鑑みるに,一つのプロジェクト形態を複数の国で実施してその有効性を検証する必要がある。
  • (ウ)過去の知見の分類化・指標化をすることにより,各々の太平洋島嶼国が適切なオプションを選択できる環境が提供可能。

3 評価

  • (1)本セミナーでは,再生可能エネルギーの普及促進に向け,太平洋島嶼国地域における潜在性,課題,ファイナンス・技術を含めた民間セクターへの期待,ステークホルダーとの連携の必要性等についての専門的かつ具体的な議論を通じて,実際的で有益な知見が共有された。
  • (2)特に,日本の沖縄,島嶼国等における経験から学んだ教訓や,それを活かした日本の技術や知見について,きめ細かな具体策が示され,セミナーに参加した太平洋島嶼国の関係者にとり,日本企業の魅力を感じるとともに,官と民がグローバルに連携する可能性について理解を得るといった有意義な議論の場となった。
  • (3)セミナーには多くの日本企業関係者の参加があり,太平洋島嶼国での再生可能エネルギー事業展開に対する高い関心が示されるとともに,島嶼国のエネルギー関係者と日本企業関係者との間での新たな人的ネットワークの機会を提供した。


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