自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)
RCEP首脳会議の開催



本14日,ASEAN関連首脳会議に出席するためシンガポールを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,RCEP交渉参加16か国によるRCEP首脳会議に出席したところ,概要は以下のとおりです。
1 冒頭,議長のリー・シェンロン首相から,反グローバリゼーションの動きが高まる中,RCEPの重要性は高まっている,RCEP交渉は2018年に実質的な進展があり,交渉は最終段階に入っていることから,2019年に妥結する準備ができているとの発言がありました。
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(1)安倍総理は,発言の中で,議長国のリー首相のイニシアティブに謝意を表明しました。また,「実質的な進展」を歓迎し,「共同首脳声明」を支持しました。そして,保護主義的な動きが高まりつつある中,RCEPの戦略的重要性は一層高まっており,この地域に自由で公正なルールに基づくマーケットを作り上げ,自由で開かれたインド太平洋を実現すべき旨述べました。
(2)そして,TPP11については,日本が議論を主導し年内に発効するが,関税を実質的に削減し,ヒト・モノ・カネのやりとりを活発にすることが極めて重要であるとして,質の高いRCEP協定の早期妥結の重要性を強調しました。また,企業や個人が安心してビジネスを行える環境を整備する必要がある旨指摘しました。さらに,そのためには,知的財産を保護するとともに,企業や消費者が安全かつ自由に電子商取引を行うことができ,公正に競争できる環境を整備し,貿易を円滑にするための税関手続を整える必要があり,RCEP経済圏全体をイノベーション創出の拠点にしていくとともに,新しい時代の経済ルール作りを日本は力強くリードしていく旨述べました。
(3)そして,RCEP16か国のリーダーシップで,各国の経済を次のステージに押し上げ,全ての人に裨益する,包摂的なRCEPを実現すべき旨述べました。その上で,日本は,来年の議長国タイと協力してRCEP協定交渉を2019年に早期妥結させるべく,引き続き主導的な役割を果たす決意である旨述べました。
3 その他の出席者からは,以下のような発言がありました。
- 本年のASEAN議長国シンガポールのリーダーシップに感謝する。2018年のRCEP交渉は飛躍的に進展した。
- 保護主義的な動き等が高まる中,2019年のRCEPの妥結にコミットしていくことが死活的に重要である。
- RCEPは,世界の経済成長センターであるインド太平洋地域の更なる経済発展ばかりでなく,貧困の解消にも貢献する。
- RCEPはサービス貿易やデジタル経済といった現代的諸課題にも対処すべき。
- 包括的で,質の高い,商業的に意味のあるRCEPを追求すべし。
- RCEP交渉参加国の多様な発展段階やセンシティビティに配慮しつつ,柔軟性を発揮するべき。
4 会合後, 「RCEP交渉に係る共同首脳声明」(仮訳(PDF)/英文(PDF)
)が発出されました。
[参考]RCEP交渉参加国:ASEAN10か国(ブルネイ,カンボジア,インドネシア,ラオス,マレーシア,ミャンマー,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナム),オーストラリア,中国,インド,日本,韓国,ニュージーランド