核軍縮・不拡散
日・フィリピン官民輸出管理フォーラム
2026年3月24日、日・フィリピン官民輸出管理フォーラムが日本外務省、フィリピン外務省及び貿易産業省の共催によりマニラで開催され、両国の企業関係者や政府関係者等約90人が参加しました。
1 背景・目的
フィリピンを含む東南アジア諸国は軍事転用可能な汎用品の主要な貿易拠点であり、半導体等の機微技術を用いた製品の製造拠点としても存在感を増しています。厳しい国際情勢を背景に、同地域を経由した不正調達のリスクが増しており、新興技術の適切な管理が喫緊の課題となっています。このような背景を踏まえ、本フォーラムは、在フィリピン企業関係者を主な対象として、新興技術を中心とした輸出管理への理解を深め、実務に役立つ取組を共有し、官民で課題解決の方策を検討することを目的として開催しました。
2 概要
(1)開会挨拶
横田直文在フィリピン日本国大使館経済公使から、2026年のASEAN議長国であるフィリピンが戦略的貿易管理(輸出管理)を優先課題として掲げる中で、本フォーラムの開催は時宜にかなったものであると述べ、日・フィリピン国交正常化70周年である本年、本フォーラムでの活発な議論を通じて両国間の協力が更に深化し、地域の安定と繁栄に貢献することへの期待を表明しました。
(2)不拡散政策と輸出管理
古本建彦外務省不拡散・科学原子力課長から、大量破壊兵器等の不拡散のための取組や課題、輸出管理における産官学連携の重要性、フィリピンをはじめとするパートナー国との協力の必要性等について説明しました。また、フィリピン外務省から、条約等の国際的な枠組みに基づく同国の不拡散政策や、国連安保理決議第1540号の履行を含む輸出管理の国内的措置について説明がありました。さらに、一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)から、輸出管理に関する政策提言や企業支援、国際セミナーや専門家派遣を通じた国際協力といった、産業界・学術界・政府の橋渡しを担う同センターの取組について説明がありました。
(3)国連安保理決議第1540号に関するアウトリーチ
国連軍縮部(UNODA)から、非国家主体への大量破壊兵器等の拡散防止を目的とする国連安保理決議第1540号の採択の背景や内容、不拡散関連の多国間条約を補完するものとしての同決議の位置付け、UNODAによるアジア各国への支援活動等について説明がありました。
(4)新興技術管理の現状と課題
経済産業省から、日本の新興技術管理の取組のほか、機微品目及び新興技術に関連する近年の輸出管理強化に関する説明がありました。また、フィリピン貿易産業省から、フィリピンの新興技術管理の取組のほか、新興技術の定義や特性に関する説明がありました。両者から、新興技術の効果的な管理のためには産業界・学術界の関与や省庁間の連携、国家間の協力が不可欠であることが強調されました。さらに、公益財団法人日本国際問題研究所から、新興技術が経済成長及び安全保障に与える影響や、日本とフィリピンの新興技術管理へのアプローチの違いに関する説明があり、新興技術を含む輸出管理において、各国の異なる規制メカニズムを調和させることの重要性が強調されました。
(5)パネルディスカッション:官民協働による輸出管理の着実な実施及び技術の適正管理に向けた今後の取組
企業参加者(日本企業のフィリピン子会社)から、同社における輸出管理のベストプラクティスと課題に関する発表が行われました。政府/規制当局との積極的な意思疎通による関連規則の明確化や日本の親会社の輸出管理部門との緊密な連携が成功要因として紹介されるとともに、政府に対する企業側のニーズとして、明確な実務ガイドラインの策定、チェックリストや研修教材等の実務資料の充実、政策決定への産業界の早期関与等が示されました。また、CISTECから、企業等が策定する輸出管理内部規程(ICP)のベストプラクティスに関する発表が行われました。これらの発表を踏まえ、日・フィリピン両政府の輸出管理担当者を交えた討論が行われるとともに、会場の参加者との活発な質疑応答が行われ、官民協働の重要性や継続的な対話の必要性が確認されました。
(6)閉会挨拶
フィリピン貿易産業省から、日・フィリピン両国の輸出管理の制度及び取組、国連安保理決議第1540号、新興技術への対応という3つのテーマについて有意義な議論ができたことへの謝意が表明されました。また、効果的な輸出管理には官民協働が不可欠であり、今後、政府と民間企業との間の連携を深めつつ、技術の進展や安全保障環境の変化に対応しながら輸出管理の取組を進める必要があるとの認識が示されました。

