核軍縮・不拡散
原子力供給国グループ(NSG)ユールマラ総会
2018年6月14日及び15日,ラトビア・ユールマラにおいて原子力供給国グループ(NSG)第28回総会が開催されました。
総会後,パブリック・ステートメント(PDF)が発出されたところ,その仮訳は以下のとおりです。
原子力供給国グループ総会におけるパブリック・ステートメント
2018年6月14日~15日,ラトビア・ユールマラ
2018年6月14日及び15日,ラトビア・ユールマラにおいて第28回原子力供給国グループ(NSG)総会が,ヤーニス・ズラメツ・ラトビア大使が議長を務め開催された。
NSGは48の参加国政府から構成され,欧州委員会及びザンガー委員会が常任オブザーバーとして参加している。NSGの目的は原子力の平和利用にかかる国際協力を損なうことなく,原子力及び関連資材,汎用資材,機材,ソフトフェア及び技術の輸出管理の国内における履行を通じて核兵器の拡散を防止することである。
エドガルス・リンケービッチ・ラトビア外相は,ラトビア政府を代表して参加国政府に対し歓迎の意を示し,拡散を始めとする国境を越えた安全保障上の課題に取り組むための強いルールに基づいた国際秩序の重要性に言及した。また,同外相は,国際的な核不拡散体制におけるNSGの重要性を再確認した。
NSGは2017年にベルンにおいて開催された前回総会からの進展について精査した。
特に,参加国政府は,世界的な拡散に関する課題について情報交換するとともに,国際的な不拡散体制の礎としてのNPTの完全かつ効果的な履行に対する確固たる支持を改めて表明した。
北朝鮮に関し,参加国政府は,2017年のベルン総会以降の進展について留意し,特に,全ての核兵器及び既存の核計画を完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法で直ちに廃棄すべきであることを再確認した国連安保理決議第2371号(2017年),同第2375号(2017年),同第2397号(2017年)及び過去の関連安保理決議へのコミットメントを改めて確認した。参加国政府は,最近の南北首脳会談及び米朝首脳会談について前向きに留意した。NSGの権限の枠内で,参加国政府は,全てのNSG規制対象品目の北朝鮮向け輸出が上記決議により禁止されていることに留意した。
イランに関し,参加国政府は,E3/EU+2及びイラン・イスラム共和国による包括的共同作業計画(JCPOA)の継続的な履行に留意した。参加国政府は,国連安保理決議第2231号(2015年)へのコミットメントを改めて確認した。前回の総会以降,NSGはJCPOAの調達ワーキンググループのコーディネーターから,調達チャンネルの作業について継続して報告を受けた。参加国政府は,更なる報告を受けることに対する関心を表明した。
NSGは,これまで提出された参加申請についての議論が継続されていることに留意した。
NSGは,2016年のソウル総会で開始された「NPT非締約国によるNSG参加の技術的,法的及び政治的側面」についての議論が継続されていることに留意した。
総会の会合において,NSGは,
- NSGの規制リストを明確化及び改訂するための多くの提案について意見交換し,合意することを通じて,規制リストの履行にとって重要な技術的な問題を集中的に取り扱った。
- 世界的な安全保障環境の変化並びに原子力及び関連産業の急速な進展にペースをあわせてNSGガイドラインを改訂することの重要性について議論し,再確認した。
- 透明性及び秘匿性に関するNSGの政策を強化した。
- 審査及び執行に関する情報や国内のベストプラクティスと,NSGガイドラインの履行に関する国内の取組について議論した。
アウトリーチ
- 多くの国が自国の輸出管理システムをNSGガイドライン及び規制リストと整合させたことを歓迎した。
- NSG非参加国に対するアウトリーチについての報告に留意し,その活動の有用性について一致した。
- NSGの規制対象品目にかかる産業界及び学術・研究機関の意識向上及び情報交換に関する国内の実践例について意見交換を行った。
- 2018年4月10日の世界原子力発電事業者協会(WANO)及び世界原子力協会(WNA)との間のアウトリーチ・イベントに留意し,今後のアウトリーチに対する産業界の関心を歓迎した。
- NSGウェブサイトに新しい内容とセクションを追加して,改訂・更新することを決定した。
- 2008年のインドに対する民生用原子力協力に関する声明の履行に関するあらゆる論点について継続して検討し,インドとNSGとの関係について議論した。
NSG参加国政府は,全ての原子力供給国に対して,NSGガイドラインを遵守することにより原子力の輸出に関する責任ある取組を表明することを招請した。また,NSG総会は全ての国に対し,NSGの業務及び目的に関係する全ての国連安保理決議を完全に履行し,最大限の警戒を払い,いかなる品目や技術の輸出も核兵器計画に寄与しないよう努力することを求めた。
2018年6月15日
ユールマラにて