核軍縮・不拡散

令和元年7月11日

 2019年6月20日及び21日,カザフスタン・ヌルスルタンにおいて原子力供給国グループ(NSG)第29回総会が開催されました。
 総会後,パブリック・ステートメント(PDF)別ウィンドウで開くが発出されたところ,その仮訳は以下のとおりです。

パブリック・ステートメント
原子力供給国グループ総会
2019年6月20~21日,カザフスタン・ヌルスルタン

 2019年6月20日及び21日,カザフスタン・ヌルスルタンにおいて第29回原子力供給国グループ(NSG)総会が,カイラット・サリベイ・カザフスタン大使が議長を務め開催された。

 NSGは48の参加国政府から構成され,欧州委員会及びザンガー委員会が常任オブザーバーとして参加している。NSGの目的は原子力の平和利用にかかる国際協力を損なうことなく,原子力及び関連資材,汎用資材,機材,ソフトフェア及び技術の輸出管理の国内における履行を通じて核兵器の拡散を防止することである。

 総会の歓迎あいさつにおいて,カシムジョマルト・トカエフ・カザフスタン共和国大統領は,ヌルスルタン・ナザルバエフ初代カザフスタン共和国大統領の取組によって軍縮・不拡散分野におけるカザフスタンの貢献が世界的に認識されていることに留意した。トカエフ大統領は,NPTを国際的な安全保障体制の礎として言及し,同時に,全てのNPT締約国が平和目的の原子力エネルギーを利用することができる奪い得ない権利を脅かすことなく,国際的な不拡散体制を維持するためのNSGの重要な役割を認識した。カザフスタンは,厳格で包括的な国内の輸出管理体制を有し,ミサイル技術管理レジーム,オーストラリア・グループ,ワッセナー・アレンジメント等の他の国際輸出管理レジームを一方的に遵守しており,早期に参加国になることを期待している。トカエフ大統領は,カザフスタンが,NSG議長として公平な仲介者の原則「公正なブローカー」に従い,合意の原則の重要性を厳格に遵守することを保証した。

 NSGは2018年にユールマラにおいて開催された前回総会からの進展について精査した。

 特に,参加国政府は,世界的な拡散課題について情報交換するとともに,国際的な不拡散体制の礎としてのNPTの完全かつ効果的な履行に対する確固たる支持を改めて表明した。

 NSGは,2020年NPT運用検討会議のマージンにおいて,NSG及びそのガイドラインの理解を高めるため,関心のあるNPT締約国に向けた共同のアウトリーチを行うことの関心を確認した。

 参加国政府は朝鮮半島の完全な非核化及び恒久的な平和を達成するための現在進行中の外交プロセス及び努力を支持し,特に,全ての核兵器及び既存の核計画を完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法で直ちに放棄しなければならないことを再確認した国連安保理決議第2371号(2017年),同第2375号(2017年),同第2397号(2017年)及び過去の関連安保理決議の完全かつ包括的な履行に対するコミットメントを再確認した。NSGの権限の枠内で,参加国政府は,全てのNSG規制対象品目の北朝鮮向け輸出が上記決議により禁止されていることに留意した。

 参加国政府は,国連安保理決議第2231号(2015年)の国際社会の継続的な義務に留意し,その履行に関する参加国政府から示された全ての懸念に留意し,同決議義務に従うことを促した。前回の総会以降,NSGはJCPOAの調達ワーキンググループのコーディネーターから,調達チャンネルの作業について継続して報告を受けた。参加国政府は,更なる報告を受けることに対する関心を表明した。

 NSGは,これまで提出された参加申請についての議論が継続されていることに留意した。

 NSGは,「NPT非締約国によるNSG参加の技術的,法的及び政治的側面」についての議論に留意した。

 また,総会の会合において,NSGは,

  • NSGの規制リストを明確化及び改訂するための多くの提案について意見交換し,合意することを通じて,規制リストの履行にとって重要な技術的な問題を集中的に取り扱った。その結果は,INFCIRC/254/Part1,Part2の改訂としてIAEAのウェブサイトに公表されることになる。2018年のユールマラ総会及び2017年のベルン総会において合意された変更についても,NSGの慣行に従い,INFCIRCの改訂版に反映されることになる。
  • 国際安全保障環境の発展並びに原子力及び関連産業の急速なペースに遅れをとらないようNSGガイドラインを改訂することの重要性について議論し,再確認した。
  • 審査及び執行に関する情報や国内のベストプラクティス並びにNSGガイドラインの履行に関する国内の経験について意見交換し,議論した。

 アウトリーチ

  • 多くのNSG非参加国が自国の輸出管理システムをNSGガイドライン及び規制リストと整合させたことを歓迎した。
  • 2019年のNSG総会期間中にNSGウェブサイト中国語(簡体字)版が開始されたことを中国に感謝しつつ,留意した。
  • 2018年のユールマラ総会においてビデオのテキストが承認されたのに続き,NSGの説明ビデオ「NSGとは何か」の多言語への翻訳が完成し,アップロードされたことに留意した。
  • NSG非参加国に対するアウトリーチについての報告に留意し,その活動の有用性について一致した。
  • NSGの規制対象品目に関する産業界及び学術・研究機関の意識向上並びに交流に関する国内の実践例について継続して意見交換を行った。
  • 過去のプラクティスに従って,2020年NPT運用検討会議を見据えて,同会議の出席者の利益となるよう情報コミュニケーション文書を改訂及び改善することに一致した。
  • 2020年NPT運用検討会議におけるNSG議長によるアウトリーチ・イベントに関する計画について支持した。
  • NSGガイドライン及び規制リストの文脈における技術や産業発展等の特定事項について取り上げるため,2019年4月3日に開催された,グローバルな民生用原子力産業を代表する3つの組織に対するNSG議長のアウトリーチ・イベントに留意した。
  • NSG参加国政府の産業界代表との間でアウトリーチ・イベントを実施するというNSG議長の提案を歓迎した。
  • 2008年のインドに対する民生用原子力協力に関する声明の履行に関するあらゆる論点について継続して検討し,インドとNSGとの関係について議論した。

 NSG参加国政府は,全ての原子力供給国に対して,NSGガイドラインを遵守することにより原子力の輸出に関する責任ある取組を表明することを招請した。また,NSG総会は全ての国に対し,NSGの業務及び目的に関係する全ての国連安保理決議を完全に履行し,最大限の警戒を払い,いかなる品目や技術の輸出も核兵器計画に寄与しないよう努力することを求めた。

 NSG総会は,協議グループ(CG)議長としてNSGに貴重な貢献をしたメキシコのディエゴ・カンダノ氏に感謝し,独のミリアム・コーヘンドーファー女史を新しいCG議長として任命した。

2019年6月21日
ヌルスルタンにて



Get Adobe Reader(別ウィンドウで開く) Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAdobe Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

核軍縮・不拡散へ戻る