核軍縮・不拡散

平成29年6月28日

 2017年6月22日及び23日,スイス・ベルンにおいて原子力供給国グループ(NSG)第27回総会が開催されました(議長はスイスのラグナ―大使。NSG参加国は48か国。欧州委員会及びザンガー委員会が常任オブザーバー参加。)。
 冒頭,ロイトハルト・スイス大統領が挨拶し,核兵器の拡散に対抗するための国際的な努力におけるNSGの中心的な役割などを強調しました。総会では,昨年の北朝鮮の核実験を受けて北朝鮮を非難したほか,NSGへの新規参加申請や非参加国に対するアウトリーチ活動等について議論されました。
 総会後,パブリック・ステートメント(PDF)別ウィンドウで開くが発出されたところ,その仮訳は以下のとおりです。

パブリック・ステートメント

 2017年6月22日及び23日に,第27回原子力供給国グループ(NSG)総会がベンノ・ラグナ―・スイス大使の議長の下,スイス・ベルンにおいて開催された。

 ドリス・ロイトハルト・スイス連邦大統領は,スイス政府を代表して参加国政府に対し歓迎の意を示し,核不拡散の原則が国際的な安定の中核にある中でNSGの活動に対するスイスのコミットメントを再確認した。また,同大統領は,核兵器の拡散に対抗する国際的な努力においてNSGが中心的な役割を果たし,NPTを中心とする国際的な核不拡散体制に対してNSGが貢献していることを強調した。

 NSGは2016年にソウルにおいて開催された前回総会からの進展について精査した。

 参加国政府は,国際的な不拡散体制の礎としてのNPTの完全かつ効果的な履行に対する確固たる支持を再確認した。NSGの権限の枠内で,NSGは,継続的な国際的拡散活動について情報を交換するともに懸念を表明し,また,核兵器その他の核爆発装置に寄与し得る規制対象品目又は技術の移転を抑止,阻止し及び予防するために緊密に協力を継続する決意を再確認した。

 参加国政府は,北朝鮮の核実験を強く非難した国連安保理決議第1718号(2006年),同第1874号(2009年),同第2087号(2013年),同第2094号(2013年),同第2270号(2016年),同第2321号(2016年)及び同第2356号(2017年)へのコミットメントを再確認した。NSGの権限の枠内で,参加国政府は,全てのNSG規制対象品目の北朝鮮向け輸出が上記決議により禁止されていることを留意した。

 NSGは,E3/EU+3及びイランが締結し,国連安保理決議第2231号(2015年)によって承認された包括的共同作業計画(JCPOA)の継続的な履行を歓迎した。前回の総会以降,NSGはJCPOAの調達ワーキンググループ(PWG)のコーディネーターから,JCPOA及び安保理決議第2321号に従って設置された調達チャンネルの作業について継続して報告を受けた。参加国政府は,さらなる報告を受けることに対する関心を表明した。

 参加国政府は,全ての国連加盟国に対し,警戒を怠らず, NSGの業務及び目的に関係する全ての国連安保理決議の効果的な履行を確保することを求めた。

 NSGは,これまで提出された参加申請について留意した。

 NSGは,「NPT非締約国のNSGへの参加に関する技術的,法的及び政治的観点」について議論した。NSGは,その議論を継続することを決定し,11月に非公式会合を開催するとの議長の意向に留意した。

 総会の会合において,NSGは,

  • NSG規制対象リストを明確化し,及び改訂するための多くの提案について意見交換し,合意することを通じて,規制リストの履行にとって重要な技術的な問題を集中的に取り扱った。
  • 世界的な安全保障環境の変化並びに原子力及び関連産業の急速な進展にペースをあわせてNSGガイドラインを改訂することの重要性について議論し,再確認した。
  • 透明性及び秘匿性に関するNSGの政策について議論した。
  • 審査及び執行について議論し,情報及びベスト・プラクティスを交換した。
  • 多くの国が自国の輸出管理システムとNSGガイドライン及び規制対象品目リストと整合させたことを歓迎した。
  • NSG非参加国に対するアウトリーチについての報告に留意し,その活動の有用性について合意した。
  • アウトリーチを拡大する選択肢について議論し,そうしたアウトリーチについての指針の改訂を承認した。
  • 2008年のインドに対する民生用原子力協力に関する声明の履行に関するあらゆる論点について継続して検討し,インドとNSGとの関係について議論した。

 NSG総会には,NSGガイドラインを遵守することにより原子力の輸出に関する供給国の責任ある取組を表明するため,全ての原子力供給国を招待し開催された。

 NSG総会では,協議グループ(CG)会合議長としてNSGに長期間にわたって尽くしたリチャード・グールビッチ氏に謝意を表明し,また,メキシコのディエゴ・カンダノ氏をCG会合の新たな議長として指命した。

 2017年6月23日
 ベルンにて



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