核軍縮・不拡散
オーストラリア・グループ(AG)総会
令和5年9月20日
2023年6月5日~9日、パリにおいて、オーストラリア・グループ(AG)(生物・化学兵器関連物資・技術の拡散防止のための国際輸出管理レジーム)の総会が開催されました。同総会後に発出された議長声明(PDF)の概要は以下のとおりです。
1 主要な成果
- 参加国は、生物・化学兵器の使用は、時間、場所及び対象を問わずいかなる状況下においても国際法上容認できず、禁止されていることを再確認した。
- 参加国は、国際の平和及び安全を維持及び強化し、生物・化学兵器の拡散に対抗し、核供給国グループ(NSG)、ザンガー委員会、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)、ワッセナー・アレンジメント(WA)の活動を補完するAGの重要な役割を再確認した。
- 参加国は、現行の不拡散の取決めを強化するとともに正当な貿易を引き続き促進する協力的な取組を支持し、輸出管理レジームが信頼、信用及び安心を与えていることに同意し、輸出管理レジームが経済開発を促進し、世界の安定の強化に貢献することを確認した。
- 参加国は、すべての国に化学兵器に関する国際法上の義務の尊重を求め、化学兵器禁止条約(CWC)及び化学兵器禁止機関(OPCW)を支持し、第5回CWC運用検討会議の成果に留意し、同会議で特定された実行可能な事項の実施のため建設的に作業することに同意した。
- 参加国は、シリアにおける化学兵器使用を想起し、ロシア野党指導者等個人に対する化学兵器使用やイラン、北朝鮮等の拡散活動に懸念を表明した。
- 参加国は、2022年の生物兵器禁止条約(BWC)運用検討会議と新作業部会の設立を歓迎した。
- 参加国は、露によるウクライナ侵略の悲惨な結果を嘆く国連総会決議の想起、露による生物・化学兵器使用の脅威についての議論、及びAG参加国であるウクライナや米国に対する主張を含め、生物・化学兵器に関する露の根拠のない主張への強い非難。
- 生物・化学テロの脅威の継続やテロ活動を支援する可能性のある調達への警戒、非国家主体による生物・化学的技術や設備の悪用防止の必要性の認識。
- 特にテロを目的とする非国家主体への拡散対抗に関して、国連安保理決議第1540号及びその後継決議への支持の想起、1540委員会のマンデート延長を歓迎。
- グローバル・パートナーシップ(GP)や 化学兵器の使用に対する不処罰に対抗する国際的パートナーシップ(International Partnership against Impunity for the Use of Chemical Weapons)の業務を歓迎。
2 技術的な事項
- 審査及び執行の専門家は、機微で汎用性のある化学物質、生物材料及び関連機器・技術の拡散を防止するための経験及び最良の慣行を共有した。また、効果的な無形技術移転(ITT)管理の重要性についても議論した。
- AG参加国は、急速に進展する汎用技術に対応するための取組を共有し、新たな運搬システム、新たな化学物質の製造、新興技術の誤用リスク等について議論した。
- AG参加国は、AG規制リストが国際的な最良の慣行の基準であることに留意し、AG規制リスト上の生物・化学品目に適用される管理の精査を継続した。
- AG規制リスト及びガイドラインは、AGのウェブサイト(英語)
で閲覧が可能である。
3 アウトリーチ
- AG参加者は、生物・化学兵器の拡散を防止する努力をさらに強化するため、AGの一方的遵守国を含む非参加国に対する積極的なアウトリーチ活動を継続・関与することで合意した。
- AG参加者は、アジア輸出管理セミナー(The Asian Export Control Seminar)、汎用品輸出管理地域会合(The regional Conference on Dual-Use Trade Controls)、キャッチオールセミナー(The Catch All Controls Seminar)を含む、AG議長およびAG事務局による重要なアウトリーチ活動及び、2023年2月にローマで開催されたAG中間会合のアウトリーチセッションに参加した非参加国との交流の機会を歓迎した。
- AG参加者は、新しい科学技術開発の影響と進度についての理解を深めるために、産業界、アカデミア、国際機関へのアウトリーチと関与の価値を強調した。
- 事務局の招待により、INTERPOL及びストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のゲストスピーカーが発表した。
4 遵守
- AG参加国は、輸出管理措置の整備国、主要な通過及び積替え拠点を有する国を含むできるだけ多くの国がAGガイドライン及び規制品目リストを適用することの重要性を再確認した。一方的遵守国には、AG議長および参加国との交流を通じて、生物・化学的輸出管理における世界的な最良の慣行の実施を支援するための幅広い情報が提供される。
- AG参加者は、一方的遵守に関心のある諸国家との更なる関与を期待した。
5 次回の中間会合及び総会
- AG参加者は、2023 年 2 月 22日から24 日において、ローマで中間会合を主催したイタリアに感謝の意を表し、次回総会の前に実施される中間会合の価値について合意した。
- AG参加者は、次回総会をパリで開催するとのフランスの申し出を受諾した。